Yahoo! JAPAN

青山学院大が箱根駅伝連覇を果たした要因は?「駅伝男」の存在と「天下の険」完全制覇

SPAIA

イメージ画像,Ⓒsportpoint/Shutterstock.com

駅伝男の活躍でレッドゾーンから復活

第101回箱根駅伝は、前回王者の青学大が10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8度目の総合優勝を果たした。原晋監督が言う駅伝にめっぽう強い「駅伝男」の存在と、「天下の険」と呼ばれる箱根の山を制した力が連覇をもたらした。


5区の途中から首位を譲らず、2位の駒大とは2分48秒差。記録的には圧勝だが、序盤は楽な展開だったというわけではない。1区は10位と出遅れた。そして、3区を終えてトップの中大には2分24秒差をつけられ、原監督が「レッドゾーンに入りかけた」と振り返るほどだった。ただ、苦しくなる度に「駅伝男」が青学大の息を吹き返せらせた。

1区の嫌な雰囲気を振り払ったのは2区の黒田朝日だった。前回2区区間賞の黒田が今回は区間新(区間3位)マークし、一気に3位に浮上した。同区間では駒大の篠原倖太朗、国学院大の平林清澄とライバル校のエースが集ったが、3人の中で力を出し切れたのは黒田だけ。トラックのスピードも十分だが、大一番での黒田の「駅伝力」はライバルを圧倒した。

それでも3区で流れに乗り切れず、中大の独走態勢の予感が漂う中、逆転への流れをつくったのは、駅伝では「外す」ことがない4区の太田蒼生だった。青学大は歴代、トラックレースでのスピードはそこまで速くなくても、ロードで強い選手を育成するのがうまい。太田がまさにそうだ。箱根には1年生から出場し、区間賞1回、区間2位2回。確実に結果を出してきた。

そして今回も太田は外さなかった。1時間0分24秒という4区の日本選手最高記録で区間賞を獲得し、2位へ浮上。トップ中大との差を45秒にまで縮めた。

難関の山でW区間新

平地で中大の背中をとらえた後、勝負を決めたのは「山」だった。

箱根駅伝の難しさを語る上で外せないのが、標高800メートルを超える「山」だ。これまで多くの大学がこの山にはじき返されてきた。特に近年では山を制する大学が箱根駅伝を制することが多かった。今年の青学大がまさにそうだった。

5区の山上りで若林宏樹が区間新の快走でトップに立つと、6区の山下りでも野村昭夢が区間新をマークして、独走態勢を築いた。青学大が初優勝した91回大会以降のデータを見ても、5、6区両方で区間賞を獲得し、優勝した大学はない。今回の青学大は山を完全制覇した。それも、両区間とも区間新だ。これでは他大学は太刀打ちできない。

6区を終えて2位中大とは3分49秒差。7区で2位に浮上した駒大に1分40秒差まで縮められたが、慌てる必要はなかった。実質、6区を終えてほぼ勝負は決着していた。

際立つ原晋監督の育成力

「駅伝男」と「山の完全制覇」。この二つが今回の青学大優勝のキーワードだが、それをもたらしたのは原監督の育成力だろう。

トラックのスピードでは上位にこない選手でも、駅伝で力を出し切る選手を毎年のように育てている。山に関しては言えば、原監督は「ポテンシャルよりも適性が発揮される」と語っており、平地では現れにくい適性を見抜いて育成している。

この原監督の「メソッド」を崩す大学が現れない限り、青学大が常勝軍団であり続けるだろう。

【関連記事】
・大学3大駅伝の歴代優勝校 出雲、全日本、箱根の3冠達成は5校、青山学院大が連覇で8度目V
・箱根駅伝優勝回数ランキング 最多は中央大、101回大会は青山学院大が8度目V
・第101回箱根駅伝登録選手の出身高校ランキング 20年の変遷に見える駅伝の「歴史」

記事:鰐淵恭市

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【三条市・越後三条・高城ヒメサユリ祭り】ヒメサユリの群生地でイベントを開催

    日刊にいがたWEBタウン情報
  2. ブルックリンで人気、日本テーマのミニマーケット「50 Norman」が拡張

    タイムアウト東京
  3. 豊岡激辛パラダイス!出石の奥地で美味辛『四川麻婆豆腐』に沼る週末 豊岡市

    Kiss PRESS
  4. 【死去した伯母と養子縁組を画策】新潟中央区に住む飲食店経営の男性(56歳)を電磁的公正証書原本不実記録などの容疑で逮捕

    にいがた経済新聞
  5. ブールミッシュと鴨志田和泉氏がコラボした第5弾となるカーネーションとアナベルのリースの『ピースフルマカロン』が登場

    舌肥
  6. 広がる「骨髄バンクドナー休暇制度」 健康経営と社員の社会貢献支援のために895の企業など導入

    月刊総務オンライン
  7. バナナマン「柏餅争奪!鬼武者VS日村!」

    TBSラジオ
  8. 【ちくわに詰めて巻いてみな?】「旨すぎて作った瞬間なくなった…」簡単なのに家族が大絶賛したやみつきおかずレシピ

    BuzzFeed Japan
  9. 神ゲー「クッキークリッカー」が家庭用ゲーム機に登場 5月22日発売

    おたくま経済新聞
  10. 佐藤隆太、牧島 輝らが出演 神戸「あの時」を巡る物語、兵庫県立芸術文化センター開館20周年記念公演『明日を落としても』の詳細発表

    SPICE