「取り急ぎ」の意味は?正しい使い方や例文、言い換え表現を紹介
「取り急ぎ」とは、業務の進捗を伝えたり、情報を周知したりする際などに使える便利な表現です。この記事では、「取り急ぎ」の意味や使い方、使う際のポイントなどを例文とともに紹介します。ビジネスでも活用できるため、正しい使い方をぜひ覚えておきましょう。
「取り急ぎ」の意味とは
「取り急ぎ」は とりあえず・なにはさておきなどの意味を持つ「取り」と「急ぎ」を組み合わせた言葉 です。「急ぐ」の意味を強める際に用いられます。
「取り急ぎ」のシーン別の使い方や例文
「取り急ぎ」は基本的には手紙やメール、チャット等で使うのが一般的ですが、口語でも使える言葉です。 緊急性のある情報を伝えるときや一時的に回答をするとき に使い、ビジネスでも活用されます。 進捗を伝える、近況を伝える、日程変更の連絡をする、予告をする際など、さまざまな場面で使うことができます。
以下ではシーン別の使い方と例文を紹介します。
業務の進捗を伝える場合
業務の進捗状況をメールやチャットで伝える際に活用できます。ただし、詳細を全て伝える際には「取り急ぎ」を付けるのは適切ではありません。全てを伝える場合には、「まずはご報告のみで失礼いたします。」や「以上、ご報告申し上げます。」と、言い換えて伝えるようにしましょう。
例
「○○の業務の進捗状況を取り急ぎお知らせします。現在、テスト段階に入り、初期結果は良好です。引き続き経過を監視し、詳細は後ほどご連絡いたします。」 「○○の業務の進捗状況を、取り急ぎお知らせいたします。現在、予定より1日早く進行しております。具体的な進行状況は、午後の会議でご説明いたします。」
急な日程変更や予定変更があった場合
打ち合わせやイベントなどの急な日程、予定の変更があった場合は、関係者にできるだけ早く情報を伝える必要があります。「取り急ぎ」はそのような場面でも使うことができます。
例
「取り急ぎご連絡いたします。イベントの開始時間が変更になりました。新しい開始時間は14:30です。詳細は追ってご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。」 「打ち合わせの場所が変更になりましたので、取り急ぎご連絡いたします。新しい場所は本社ビル3階会議室です。詳細は後ほどお知らせいたします。」
情報を周知する場合
「取り急ぎ」は社内で重要な情報を周知する際にも使用可能です。業務や提出の締め切りの連絡やトラブル、問題の周知などに用いられます。
例
「システムメンテナンスが予定より早く完了したため、取り急ぎご報告いたします。現在、通常どおりご利用いただけます。詳細は後ほど社内メールにてお知らせいたします。」 「取り急ぎご連絡いたします。新しい規定が本日より施行されました。詳細は社内ポータルに掲載しておりますので、ご確認ください。追って説明会の案内をお送りします。」 「皆様へ、取り急ぎお知らせいたします。現在、ネットワークの不具合が発生しております。復旧作業中ですので、進展があり次第、改めてご報告いたします。」
一時的な回答をする場合
「取り急ぎ」は、すぐに回答することができない連絡に対して、確認や調査の時間をもらう際にも使用できます。その場合は、確認後すぐに回答の連絡をしましょう。また、「外出先で詳細の回答ができませんが、内容は確認しました」という旨を伝える際にも使うことができます。外出先で業務の進捗や完了などを簡単に共有・報告するときにも使用可能です。
例
「お世話になっております。ご依頼の件、担当者に確認中ですので、取り急ぎ受領のご連絡のみさせていただきます。結果は本日中にお知らせいたします。」 「お問い合わせありがとうございます。現在外出中のため、取り急ぎ内容を確認しました。詳細な回答は帰社後に対応させていただきますので、しばらくお待ちください。」
ビジネスで「取り急ぎ」を使う際のポイント
ここでは、ビジネスシーンで「取り急ぎ」を使う際のポイントを紹介します。
要点のみを簡潔に伝える
緊急性が高い場面で使う表現のため、相手に情報が速やかに伝わるよう用件のみをまとめるようにしましょう。長い説明を入れず、要点を絞って伝えることが大切です。そして、詳細は後ほど伝えるようにしてください。
改めて連絡を入れると伝えるのがマナー
必要最低限の情報を伝えたあとは、詳細を伝える連絡を入れるのを忘れないようにしましょう。最初の連絡の時点で、改めて詳細を伝える旨も記載します。すぐに詳細を伝えられず、最初の連絡から2~3日以上空く場合、「取り急ぎ」は使用しないほうが望ましいでしょう。
お礼やお詫びの連絡には使用しない
短い文章でお礼やお詫びを伝えたい場合に使う場合もあります。しかし、簡単に済ませているような印象を相手に与えてしまうこともあり、失礼だと感じる人もいるため注意が必要です。
メールでお礼を伝える際には、「お伺いするのではなく、メールで失礼します」といった気持ちが含まれた 「略儀ではございますが、メールにてお礼申し上げます。」 という言葉に言い換えるのがおすすめです。
「取り急ぎ」の類語や言い換え表現
「取り急ぎ」の類語や言い換え表現を、例文とともに紹介します。シーンにあわせて使い分けてみてください。
「略儀ながら」
「略儀(りゃくぎ)」は、正式な手続きを省略して簡略化したものという意味を持ちます。直接お礼に伺えず、メールで済ますときなどに「略儀ながら~」と添えることで、丁寧な印象を与えられます。基本的に口頭で使うことはありません。
例
「貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。略儀ながらメールにてご挨拶とさせていただきます。今後とも変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。」 「この度のプロジェクト成功にあたり、皆様のご尽力に深く感謝いたします。略儀ながらメールにてご挨拶申し上げますが、引き続きご協力のほどお願いいたします。」
「~のみで失礼いたします」
「取り急ぎ」と同じく、急ぎの連絡で使用することができます。目上の人やお客さんに対して急ぎで伝える情報などがある場合、「~のみで失礼いたします」と言い換えれば、より丁寧な印象を与えることができます。
例
「お問い合わせいただいた件ですが、初期調査の結果をお知らせいたします。問題が特定できましたので、現在対応中です。まずは調査結果のみで失礼いたしますが、進捗があり次第ご報告いたします。」 「ご注文いただいた商品の在庫状況を確認し、すぐに手配可能であることをお知らせいたします。このご連絡のみで失礼いたしますが、発送の詳細については追ってご連絡いたします。」
「まずは」
最初に、初めになどの意味を持つ言葉で、「取り急ぎ」の言い換え表現として使えますが、やや緊急性が低めなシーンに適しています。取り急ぎと同じく、次のステップや追加の連絡が必要となる言葉です。
例
「ご依頼いただいた件につきまして、まずは確認が完了した部分のみご報告いたします。残りの詳細については、明日までにお知らせいたします。」 「プロジェクトの進捗について、まずは概要をお知らせいたします。詳細な情報は後ほどお送りいたしますので、ご確認をお願いいたします。」
「一旦」
「一旦(いったん)」は、ひとまず、一時的という意味がある言葉です。「取り急ぎ」の言い換え表現として、ビジネスでも使うことができます。
例
「現在の進捗状況を一旦まとめましたので、添付ファイルをご確認ください。ご不明点があればお知らせいただければと思います。」 「ご提案いただいた内容について、一旦社内で検討させていただきます。」
「取り急ぎ」に関するよくある質問
「取り急ぎ」に関するよくある質問を紹介します。迷った際にぜひ参考にしてみてください。
目上の人に「取り急ぎ」は失礼?
「取り急ぎ」は目上の人にも使用できる言葉ですが、 文末で省略して使用する「取り急ぎまで」という言い回しはやや丁寧さに欠けるため、使用しないようにしましょう。 目上の人に急ぎの連絡をしたい場合は、「取り急ぎ、~いたします」や「取り急ぎの~ですが、」と言い回しを変えて配慮をすることが大切です。
例
「取り急ぎ、日程を調整いたしました。ご確認のほどよろしくお願いいたします。」 「取り急ぎのご連絡ですが、システムメンテナンスが予定より早く完了いたしましたことをお知らせいたします。」 「取り急ぎのお礼にて失礼いたします。ご支援いただいたおかげで、無事にプロジェクトを完了することができました。」
「取り急ぎご連絡まで」のメールに返信は必要?
「取り急ぎご連絡まで」というメールを受け取った場合、基本的に返信は不要です。メールの相手が目上の人や取引先の場合は、「迅速なご連絡をいただき、誠にありがとうございます。内容を確認いたしました。」などと簡単な返信をしてもかまいません。
詳細の連絡がなかなかこない場合は、必要に応じて連絡を入れましょう。その際には、「恐れ入りますが」などのクッション言葉を入れて、丁寧な言い回しで相手に配慮することが大切です。
まとめ
この記事では「取り急ぎ」の意味や使い方、例文、使う際のポイント、言い換え表現などを紹介しました。
「取り急ぎ」は、ビジネスにおいて緊急の情報を迅速に伝達するための便利な表現です。使用するときは要点を簡潔にまとめ、後から詳細を補足することが大切です。また、目上の人にはより丁寧な言い回しを心掛けることで、相手への配慮を示すことができます。類語や言い換え表現も活用し、状況や相手に応じて適切に使うと、円滑なコミュニケーションを図ることが可能になるでしょう。
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