Yahoo! JAPAN

戦争の記憶をつなぐ 「熱い、痛い」 今でも耳に 金沢区在住 志村瑞雄さん

タウンニュース

戦争体験を記した著書を手に持つ志村さん

1945(昭和20)年8月15日の終戦から今年で79年。太平洋戦争を語り継ぐ世代が貴重な存在となっている。金沢区大道在住で、幼少時に横浜大空襲などを経験した志村瑞雄さん(83)に話を聞いた。

横浜大空襲の記憶

志村さんは太平洋戦争が始まる3カ月前の41年9月に生まれ、幼少時は南区東蒔田町に住んでいた。

横浜大空襲があった45年5月29日、志村さんは当時3歳8カ月だったが「おんぶされていた時から記憶がある」といい、あの日のこともよく覚えているという。朝からB29が上空を埋め尽くし、爆撃が始まってすぐ、自宅から500mほど離れた堀ノ内町の坂の上にあった横穴式防空壕に、臨月の母ら一緒に暮らしていた家族5人で駆け込んだ。その途中で機銃掃射で亡くなった人、子どもを何人も見たと話す。

防空壕のむしろのすき間から外を見下ろすと、黒い煙と猛火の海で、火に包まれている我が家を見た。「あの燃えている家がぼくの家ですよ、よく覚えておきなさい」と話す凛とした母の表情と情景が忘れられない。爆撃後もガスタンクが爆発する音が続き、夜中まで燃え続けていた。

翌日の早朝、高台から見下ろすと、見渡す限り焼け野原で、約3Km先の横浜港まで見えた。午前9時頃に焼け跡に戻ると金庫がポツンと残り、倉庫はまだ火がついていた。

体験を著書に

臨月の母の入院先が磯子区滝頭にあった友愛病院だった。家族5人で母と同室で暮らすことに。病院はコンクリート造りだったが、ガラス窓は爆風で半分以上なかったように記憶している。「熱いよ」「痛いよ」「苦しいよ」。病室が満室で廊下でうなり、苦しむ人たちの声が当初は聞こえたが、日に日に静かになっていった。

母が無事に出産後は同区岡村の家に間借りし暮らすように。8月15日の「玉音放送」の時は皆が泣いていたことを覚えている。幼児から少年時代に体験した戦中・戦後の十年を記憶した著書「横浜大空襲と戦後の疎開生活」を昨年1月に出版。戦争について「お腹がすいたしかなかった。ただ恐ろしかった」と振り返る。

◇◇

本紙では、次代に語り継ぐ「戦争の記憶」を不定期で紹介します。ご自身やご家族の「戦争」にまつわる体験談など情報お待ちしています。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【100年前にスマホを予見?】天才ニコラ・テスラが遺した未来の予言とは

    草の実堂
  2. 奈良県産小麦粉『古都麦(みやこむぎ)』、関西最大級のグルメイベント『シェフェスタ』で堂々お披露目!【旭製粉株式会社】

    奈良のタウン情報ぱーぷる
  3. Novel Core 自身初のアリーナ単独公演のゲスト第2弾としてBE:FIRSTのSHUNTO、RYOKIの出演を発表

    SPICE
  4. 【2024京都恒例イベント】11月4日まで絶賛開催中☆百万遍知恩寺『秋の古本まつり』

    キョウトピ
  5. 哲学仕掛けの世界を描いたデ・キリコの展覧会、神戸市立博物館にて開催中、ナカムラクニオによる公式レポート到着

    SPICE
  6. 村上和成ボイコットなど大会前からハプニング続出! 11/5『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.31』新宿FACE大会の見どころはここだ!

    SPICE
  7. ジェラピケの福袋、抽選販売開始!2025年の福袋はぜんぶで3種類。

    東京バーゲンマニア
  8. トルコで安価な髭移植を受けたフランス人男性(24) 無資格者に施術されて命を絶つ

    Techinsight
  9. 三代目 J SOUL BROTHERS「R.Y.U.S.E.I.' 10th Anniversary REMASTERED ver.」を11月10日に配信リリース!

    WWSチャンネル
  10. 【アルゼンチン共和国杯】AIは2頭に鉄板級の評価! 伏兵候補にも印を打ち買い目は10点を推奨【動画あり】

    SPAIA