猫がかかりやすい『肝臓病』5選 意外と多い肝臓のトラブル、予防方法も
猫がかかりやすい「肝臓病」5選
1.急性肝炎
猫の急性肝炎とは、その名の通り肝臓に急性の炎症がおこることで症状を示します。「ウイルス」「細菌」「寄生虫」「中毒」といったものが原因で発症し、原因を取り除かない限り症状は改善しません。
下痢や嘔吐などの症状が出て、放置しておくと慢性肝炎へと進行し、最悪の場合昏睡状態に陥る可能性もあります。
2.慢性肝炎
慢性肝炎は、ウイルスなどの細菌感染だけでなく、薬剤投与や免疫異常、銅の蓄積などが原因で肝臓に持続的な炎症や壊死ができる状態です。
この慢性肝炎が進行することにより、肝臓が線維化して硬くなってしまい肝硬変を引き起こします。
慢性肝炎は、わかりやすい初期症状が出ないのが特徴です。気付いた時には進行しているといった場合も多いので、定期的な健康診断を受けることで早期発見に努めるようにしましょう。
3.胆管炎・胆管肝炎
肝臓と腸をつなぐ管を「胆管」といい、胆管炎とはその管が炎症を引き起こした状態のことを指します。胆管炎には、細菌が原因で起こる「化膿性胆管炎」と、自己免疫疾患などが原因で起こる「非化膿性胆管炎」の2種類あります。
胆管炎が肝臓まで達し、肝細胞に影響を及ぼし始めると「胆管肝炎」へと進行していきます。
胆管炎にも目立った初期症状はなく、進行することで食欲の低下によって黄疸などの症状が出てきます。
4.肝リピドーシス
肝リピドーシスとは「脂肪肝症候群」とも呼ばれ、肝臓に脂肪が溜まってしまうことで起こる病気です。肝細胞に脂肪が蓄積することで肝臓が肥大してしまい、肝機能の低下や黄疸などの症状が出てきます。
進行すると肝性脳症を引き起こし、死に至る危険もあるので注意が必要です。
肥満が原因となることも多いようですが、ストレスや他の疾患から発症することもあるようです。
5.肝外胆管閉塞
胆管は肝臓の中と外に通っていますが、肝臓の外を通る胆管が何らかの原因により詰まってしまうことを「肝外胆管閉塞」と呼びます。食欲不振や黄疸、便が白くなるといった症状が出るのが特徴です。
胆管が詰まることで胆汁が逆流してしまい、肝障害を引き起こします。
内科治療と外科治療の2種類がありますが、閉塞の状態や病態によって治療は変わってきます。
猫の「肝臓病」は予防できる?
肝臓病は初期症状が出ないことも多いので、日頃から肝臓へ負担をかけないように注意してください。ご飯やおやつの量を管理し、肥満にならないように気をつけましょう。
また、定期的に健康診断を受けることもお忘れなく。見た目ではわからない数値の変化もあるので、若い猫であれば年1回、シニア猫は年2回を目安に健康診断を受けるようにしましょう。
病気により薬を服用することで肝臓にダメージを与えている場合もあります。異変を感じているにもかかわらず、いつもの薬だからと服用を続けるのは危険です。
年齢や食生活の変化などで肝臓への負担が蓄積してしまう可能性もあるので、食欲不振などの異変を感じた場合はすぐに獣医師に相談するようにしましょう。
まとめ
肝臓病は早期で発見・治療を行えば機能が回復する可能性が十分ある病気です。しかし、進行状況がわかりづらく、肝硬変になってしまうと肝機能の回復が難しくなる怖い病気でもあります。
日常生活でどれだけ肝臓の負担を減らせるかが大切なので、食事や運動などの管理を徹底して行うようにしましょう。
また、些細な変化も見逃さないよう、毎日のコミュニケーションを大切に愛猫の健康を守るようにしてくださいね。
(獣医師監修:加藤桂子)