物価高 食料支援団体、運営に苦慮 「届けたくても、叶わない」
記録的な物価高騰が、日々の生活をじわじわと締め付けている。中でも生活困窮者へ食料支援を行う団体や地域の子どもたちへ食を提供するこども食堂などの支援団体は顕著にその影響を受けている。終わらない値上げに反比例して、減少する食料の寄付。先行きが見えず、今後の運営を不安視する声も挙がる。市内の現状はどうか。記者が追った。
「これまでの寄付のおかげで何とか賄えているが、将来はどうなるか分からない」。横須賀市池上で子ども食堂を運営する「よこすかなかながや」の和田信一代表はひっ迫した状況に不安を募らせる。
なかながやでは市内外のフードバンク団体や個人からの寄付を子ども食堂という形で分配している。そのため、第三者からの寄付が先細りになると、支援を必要とする人に届けられなくなる。「ここ1〜2年で食料の支援は徐々に減少している。状況の悪化に歯止めがかからない」
食堂の運営とは別に、週に1度、市内の子どものいる生活困窮にある35世帯へ日用品や食料を届ける活動も行っている。「お米がもっとほしい」。ここ数ヶ月、訪問する先々で米不足を訴える声が多くなったが、食堂の運営もあり、切り詰めるしかなかった。そんな状況を打破すべく、政府の備蓄米にも申請したが、手続きが進まず立ち行かない状況だ。
継続的な支援を
孤食防止、居場所づくりを目的とした子ども食堂などをメインとした「横須賀みんなのカレー食堂」の主宰である村尾直人さんも同様に運営に苦慮。米以外の材料費の値上げも重なり、「ギリギリの運営」と話す。「困窮するひとり親家庭や障害者、高齢者、外食する余裕がない人などが集う場になっている。今後もサポートをしていくため継続的な支援をしていただければ」と呼びかける。
アルファ米の寄付増
全国の世帯が購入する財やサービスの価格変動を示す消費者物価の総合指数、とりわけ生鮮食品を含む指数は昨年まで3年連続で前年比2〜3%台の上昇率を示した。
中でも米価格への影響は大きい。農林水産省が取りまとめた、全国約1000店舗のスーパーの米の週間販売価格は2025年3月31日からの週で4214円/5kg(前年同時期比103%)と2倍以上の値上がりを見せている。
横須賀市でも市内外の企業やNPO法人などからの譲渡品を、要請のあった関係事業者などへ提供するフードドライブを行っているが、昨年末ごろから米の支援数は激減。最近では炊飯後に乾燥させて作った加工米の「アルファ米」を代替として寄せるケースが増加傾向にあり、不足感が強まっている。