シャトー・パプ・クレマンの2021ヴィンテージは ~UGCB「ヴィンテージ2021 トレード・テイスティング」レポート②
ボルドーの格付けシャトーを中心とした優良シャトーが参加している、生産者協会のユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー(Union des Grands Crus Bordeaux:UGCB)。2024年11月18日には、東京都港区の八芳園でUGCBによる試飲会が開催され、来日した69シャトーの2021ヴィンテージがお披露目された。
今回は、試飲会に出展していたシャトーの中から、シャトー・パプ・クレマン(Château Pape Clément)でアジア・セールス・ディレクターを務めるジャン・クレマン・カッセ(Jean Clement Casse)氏に伺った、シャトーや2021ヴィンテージについて紹介する。
ジャン・クレマン・カッセ氏
シャトー・パプ・クレマンとは
—―シャトー・パプ・クレマンについて教えてください。
私たちは、ボルドーの4つのグラン・クリュ格付けシャトーを所有しているベルナール・マグレ(Bernard Magrez)の一員です。グラーヴ格付けを持つシャトー・パプ・クレマンの他に、シャトー・ラ・トゥール・カルネ(Chateau La Tour Carnet、メドック格付け第4級)、シャトー・フォンブロージュ(Chateau Fombrauge、サン・テミリオン地区のグラン・クリュ・クラッセ)、クロ・オー・ペイラゲイ(Chateau Clos Haut Peyraguey、ソーテルヌ・バルサック格付け第1級)がいます。
シャトー・パプ・クレマンの初収穫は1252年で、ボルドーで最も古いぶどう畑の1つに数えられます。もともとはフランス初の教皇クレマン5世が所有していたことから、シャトーの名前が付けられました。白ワインの生産は非常に小規模(年間1万2000本未満)ですが、赤ワインはグラーヴ格付けの中で最大規模を誇ります。
また、シャトーはボルドー市内からほど近いペサック市に位置しており、ボルドーのワイナリーとしては珍しい「都市型ワイナリー」と言えます。
—―2021ヴィンテージの出来はいかがですか?
2021年はフレッシュなヴィンテージです。穏やかな夏が続き、赤ワインも白ワインも若いうちから楽しめるように育ちました。オーク樽の影響を最小限に抑え、熟成期間を短縮することで、ぶどうと土地の本来の品質を反映させることができました。
2021年の主役は、メルローとソーヴィニヨン・ブランです。成熟が安定しており、「何も過剰ではない」ことが、2021年の特徴だと言えるでしょう。
—―日本のワインファンはどんな存在ですか?
私はワイン愛好家との交流が大好きです。日本のワインファンは、非常に熱心で、好奇心旺盛だと感じています。また、地元の輸入業者やディストリビューターが素晴らしい仕事をしており、ワインへの共通の情熱と知識を広めてくれていますね。
日本に来たり、シャトーに日本からの訪問者を迎えたりするたびに、彼らが製品そのものへ深い情熱を持っていると感じます。ビジネスだけではなく、製品そのものに対する愛情が伝わってくるのです。
シャトー・パプ・クレマンのワイン
ここからは、会場でサービスされていた2本のワインについて、カッセ氏のコメントを紹介する。
シャトー・パプ・クレマン・ブラン 2021
品種:ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ソーヴィニヨン・グリ
原産地呼称:AOCペサック・レオニャン
アルコール分:13.0%
2021ヴィンテージの特徴は、かんきつ系の香りだけでなく、トロピカルフルーツの香りも感じられることです。70%使用しているソーヴィニヨン・ブランが主導し、フレッシュさと生き生きとした酸味を与えています。寿司と一緒にペアリングしてみたのですが、とてもおいしかったです。私は日本料理の大ファンなのですが、生魚は間違いなく素晴らしい組み合わせだと思います!
シャトー・パプ・クレマン・ルージュ 2021
品種:メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン
原産地呼称:AOCペサック・レオニャン
アルコール分:13.5%
まだ若いヴィンテージということもあり、味わいには高いタンニンと黒い果実味が感じられます。冷涼なヴィンテージならではの、バイオレットのような花の香りが特に気に入っています。ステーキと一緒に楽しむのがお薦めです。