【静岡の高校サッカー戦後史Vol.76】浜名が1970年度、全国総体で初出場初優勝!部への昇格から5年目の快挙
【浜名③】初の全国 いきなり頂点
※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。静岡サッカー応援アプリ「シズサカ」でまとめてご覧いただけます。
春の広島遠征で自信を深めた1970年(昭和45年)度の浜名は、“初出場初優勝”の快挙に突き進む。
まず、県スポーツ祭。1回戦の東海大一を皮切りに、中部勢をことごとく退けて決勝に進出した。相手は創部以来、背中を追い続けてきた藤枝東だった。ここで、広島遠征の成果を発揮、1−0で勝って目標の“打倒藤枝東”を果たし、初の県制覇もやってのけた。
清水東を撃破して初の全国へ
次いで臨んだ全国総体県予選。やはり中部勢を連破し、決勝で清水東と対戦した。V決戦は互いに譲らず0−0で引き分け、再試合に持ち込まれた。2度目の対決もがっぷり四つの展開となった。だが、後半13分、相手最終ラインの裏を突いた主将の内山和久(浜松浜北北部中校長)が決勝点をもぎ取り、1−0で競り勝って、初めて全国へ名乗りを上げた。
春以降、成長著しいといっても初めて踏む全国舞台。従って「2回くらい勝てれば」というのが、監督・美和利幸(浜松市南区在住)の偽らざる思いだった。ところが、全国総体開催地の和歌山県で、浜名の進撃速度は一段と加速する。
関東の難敵に次々勝利
2回戦から登場し、相模台工(神奈川)本郷(東京)を下して8強入り、準々決勝で浦和市立(埼玉、現・さいたま市立浦和)と顔を合わせた。前半の2失点にも慌てず、後半、沢柳光雄(現・美野、岩手県大船渡市在住)の2得点で追い付く。そして延長前半2分、CKを長身スイーパーの馬淵剛行(日立製作所)が豪快に頭でとらえてゴールを奪い、3−2で逆転勝ちした。
準決勝は広島市商(広島)と対戦。後半10分、田中通恵(現・太箸、浜松市立教)が決勝点をたたき出し、1−0で決勝進出を決めた。この試合は土砂降りの中で行われた。創部以来、浜名は雨でも練習を休まないことで知られ、「雨の方がやりやすかった」と決勝点の田中は重馬場を歓迎した。
沢柳のゴールで全国制覇
決勝は前年度三冠王の浦和南(埼玉)と激突した。難敵が相手だったが、「負ける気がしなかった」(田中)といい、0−0の後半23分、頼母木直幸(ヤマハ発動機)のパスを沢柳が右トーキックで押し込み、勝利をもぎ取った。
部昇格からちょうど5年目の全国制覇だった。創部当初、「5年計画」を掲げた美和だが「5年くらいで戦えるチームになれば―と言うのが本音。まさか全国優勝なんて」と、41年前の快挙をかみしめ直した。(敬称略)
【1970年度全国高校総体決勝先発メンバー】
GK
青山正志
FB
新井恵二
馬淵剛行
斉藤久治
大村嘉宣
HB
伊藤啓己
田中通恵
頼母木直幸
FW
内山功
沢柳光雄
内山和久