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船から大型魚を狙う『落とし込み釣り』 エリアごとのシーズン・ターゲット・釣り方・タックルを解説

TSURINEWS

ヒラマサ(提供:週刊つりニュース西部版 高原稔)

落とし込み釣りはサビキに付いた小魚をそのままエサにして大型魚を狙う釣りで、初心者でも大物を狙いやすい釣りです。今回はそんな落とし込み釣りの基本の釣り方、仕掛けや、エリアごとのタックル・ターゲットなどを紹介していきます。

落とし込み釣りとは?

落とし込み釣りは、サビキ仕掛けを使って生きたベイト(小魚)を掛け、その小魚をそのまま泳がせてフィッシュイーターを狙う釣法です。

この釣り方の大きなメリットは、ベイトを元気な状態でエサとして使用できることと、ベイトの群れに同種のエサを投入できるため、魚に違和感を与えにくい点にあります。そのため、シンプルな釣り方ながら、比較的簡単に大型魚を掛けられ、エキサイティングなやり取りを楽しめるのが大きな魅力です。

また、青物や根魚、ヒラメ、マダイなど、多彩な魚種に出会えるのもこの釣りの特徴となります。

落とし込みは様々な魚種が狙える(提供:天力丸)

地域ごとに狙える魚が変わる

落とし込み釣りは、元々九州で発祥した釣法ですが、現在では全国に広がっています。地域によって呼び方が異なり、「タテ釣り」「食わせサビキ」「アンダーベイト」など、さまざまな名称で親しまれているのも特徴です。

地域ごとに狙える魚種や水深などが異なるため、ライトタックルで挑めるのか、パワータックルが必要なのかなど、道具面も変わってきます。そこで、主要な地域ごとの特色についてもご紹介します。

狙う魚種によりタックルも変わる(提供:週刊つりニュース西部版APC・飛高宏佳)

九州の落とし込み釣り

玄界灘や響灘を中心とした九州地方の落とし込み釣りは、深場での釣りが多く、80号から100号程度のオモリを使う船宿が多いのが特徴です。また、ヒラマサやクエなど、掛かると強烈なパワーで根に走る魚もターゲットになるため、パワフルなタックルや根に走らせないためのやり取りが重要になります。

大型ヒラマサ(提供:寿風)

シーズン

九州地方の落とし込み釣りのシーズンは、主に夏から初冬にかけてです。シーズンが進むにつれてベイトが大きくなり、それに伴って釣れる魚も大型化する傾向があり、特に10月~12月頃が最盛期となります。

ターゲット

主なターゲットはブリ、ヒラマサ、カンパチといった大型の青物です。さらに、大型のマダイやクエ(アラ)、キジハタ(アコウ)なども混ざり、多彩な魚種を狙えるのが魅力です。

九州地方ではヒラマサがよく釣れる(提供:週刊つりニュース西部版APC・飛高宏佳)

タックル

ロッドはヒラマサなどとのやり取りに備えて、専用ロッドのMHやH以上など、硬めの番手が推奨されます。リールは電動リールが必須で、ダイワなら500番、シマノなら3000番クラスの大型リールを選びましょう。ラインはPEラインの4号から6号を使用します。

九州地方の落とし込みタックル例(提供:週刊つりニュース西部版APC・飛高宏佳)

東海のタテ釣り

伊勢湾や遠州灘などを中心とした東海地方の落とし込み釣りは「タテ釣り」と呼ばれています。九州地方に比べると浅場を狙い、中型の青物がメインターゲットとなることが多く、ライトタックルで挑める船宿も多いのが特徴です。

シーズン

エリアによっても少し異なりますが、8月~11月ごろの夏から秋にかけてイワシが回遊し、それに伴って青物が活発になりハイシーズンを迎えます。

ターゲット

ターゲットは、ワラサ、ブリ、サワラ、カンパチなどの青物、ヒラメ、クエやハタ類などの根魚を中心に多彩な魚種が狙えます。

クエなどの根魚も好ターゲット(提供:長栄丸)

タックル

専用ロッドの場合M以下などの比較的ライトなものが主流です。また、船宿が指定するオモリ号数に合う汎用船竿も使用できます。リールはやり取りの効率を考えると電動リールが最適ですが、浅場がメインのエリアでは手巻きリールでも対応できます。電動リールであればシマノなら1000番、ダイワなら300番程度がおすすめです。ラインはPEの3号から4号程度が一般的となります。

東海地方の落とし込みタックル例(提供:週刊つりニュース中部版APC・峯卓)

関東の食わせサビキ釣り

相模湾を中心とした関東の落とし込み釣りは「食わせサビキ」とも呼ばれ、専門船は少なく、釣れた魚を泳がせるスタイルが可能なコマセ五目船やアジ船で楽しむケースが多いのが特徴です。一部、深場でサバを付けて大型ブリを狙う船も存在しますが、基本はイナダやワラサクラスの小~中型青物がメインターゲット。そのため、ライトタックルで挑める船が多いのが魅力です。

また、専門船ではない場合、潮の流れが速い場合など、サビキ仕掛けを使えないこともあるので注意が必要です。

シーズン

関東地方では、9~12月頃の秋から冬にかけてが食わせサビキ釣りのシーズンです。専門船以外では青物が回ってきているタイミングのみ食わせサビキができる場合も多いので、船宿に確認してから釣行しましょう。

ターゲット

ターゲットはイナダ、ワラサ、ショゴ(カンパチ)などの小~中型青物や、ヒラメ、根魚などが中心です。一部、大型ブリを狙う船もあります。

関東ではイナダなどがメインに(提供:週刊つりニュース関東版 編集部)

タックル

ライトタックルで楽しめる船が多いです。専用ロッドを使わずとも、汎用ライトゲームロッドや汎用船竿でも対応できます。オモリの号数は釣り物により異なり、五目船では50~80号、ビシアジ船では130号などが使用されることもあります。オモリの号数に合わせたロッドを用意しましょう。リールも釣り物によって小型リールか中型リールが必要か決まり、水深によっては電動リールが必須な場合もあります。

関東地方の落とし込みタックル例(提供:週刊つりニュース関東版APC・木津光永)

関西の落とし込み釣り

関西地方では、幅広く落とし込み釣りが楽しまれており、「アンダーベイト」とも呼ばれることがあります。大阪湾から和歌山・中紀にかけては、比較的浅場で釣りが行われ、ライトなタックルで楽しめるのが特徴です。一方、和歌山の太平洋側では深場を狙うことも多く、ブリやカンパチなどの大型魚が狙えるため、硬めのタックルが必要になることがあります。

関西方面ではカンパチが釣れることも多い(提供:TSURINEWS関西編集部・松村)

シーズン

関西地方では、夏から秋にかけてが落とし込み釣りのベストシーズンです。早いところでは6月頃から出船している船宿もあります。

ターゲット

メインターゲットはハマチ、ブリ、カンパチ、マダイ、ハタ類などの根魚になります。

タックル

大阪湾や瀬戸内海方面では浅場中心にライトタックルで楽しめるので、ライトゲームロッドや汎用船竿でも問題ないことが多いです。ただ、和歌山方面では根に潜るカンパチがメインターゲットになることも多く、大型カンパチを確実に取りたい場合は専用ロッドのMHクラスなどややパワーのあるタックルが必要になります。

関西地方の落とし込みタックル例(提供:TSURINEWS関西編集部・松村)

落とし込み釣りキホンの仕掛け

落とし込み釣りでは専用のサビキ仕掛けが使用されます。サビキの装飾にはサバ皮、フラッシャー、平打ちの空針、ウィリー、スキンなどさまざまな種類がありますが、ベイトの種類や活性、光量などに応じて反応が変わります。

たとえば、イワシには空針、アジにはサバ皮系、サバにはフラッシャーなどが有効です。ベイトがサビキに掛からなければ始まらないので、複数の仕掛けを用意し、アタリがない場合は色々試せるようにしておきましょう。また、エリアごとに傾向が異なる場合もあるので、船宿の推奨仕掛けを購入するのもおすすめです。

持参する仕掛け個数としては根掛かりやラインブレイクなどで仕掛けが消耗することも多い釣りで、特に歯の鋭いサワラが回っている場合などは枝針がどんどんなくなっていきます。最低でも5個ぐらい用意しておくと安心です。

市販仕掛けのバリエーションは豊富(提供:週刊つりニュース中部版APC・峯卓)

ハリスの号数

ハリスの号数については中型青物なら8~10号前後、大型青物なら12号以上、ヒラメなどがメインなら6~8号程度が基準になります。また、ベイトが低活性の場合やアジがターゲットの時は、ハリスの号数を落とすと効果的です。ただし、その後の本命魚がヒットした際のやり取りを考慮して、適切な強度の仕掛けを選びましょう。

針の大きさ

サビキ針の大きさも意外と重要な要素。陸っぱりのサビキ釣りでも、活性が低いときや魚の口のサイズに針の大きさが合っていないときは、見切られたり、掛かりにくかったりが頻発します。落とし込みではその後の本命に掛ける必要があるので、極端に小さい針は使えませんが、掛かりが悪いときはある程度針をサイズダウンするのも有効な手段です。

ただし、大型狙いの場合は小針だとヒット後に伸ばされたることが多いので、ベイトのことは考えずに太くて大きい針を使うのも一つの選択肢。こちらもやり取りを考慮して、適切なサイズを選びましょう。

仕掛け全長

仕掛けの全長は、市販品で2mから4m程度まで幅広くラインナップされています。スタンダードな仕掛けは、5本針で全長約3mが一般的です。長めの仕掛け(4m程度)は針数が多く、広範囲のタナを探ることができるため、ベイトが掛かる可能性が高まります。一方、短めの仕掛け(2m程度)は、ライトタックルでも扱いやすく、針数が少ないためトラブルが少なくなります。

針数が多いほどベイトが付く期待値は高くなりますが、その分オマツリなどのトラブルも増える可能性があるため、仕掛けの長さを選ぶ際は、使用するロッドの長さや潮の速さ、ポイントの状況なども考慮することが重要です。初心者には短い仕掛けがおすすめですが、慣れてくれば長い仕掛けの使用も検討すると良いでしょう。

オモリの号数

使うオモリの号数は水深やベイトの大きさなどによっても変わり、30号から130号程度まで様々。潮の速さなどによって当日使い分けることもあるので、船宿予約時に準備するオモリの号数を必ず確認しておきましょう。また、天秤釣りなどと違い、胴付き仕掛けはオモリをロストする機会も多いため、予備のオモリも複数用意しておくのがおすすめです。

落とし込み釣りキホンの釣り方

仕掛けを投入する前に、船長が「何mから何m」といったベイトを掛けるタナ(水深)をアナウンスするので、よく聞いておきましょう。仕掛け投入の合図が出たら、魚探反応のあった群れに仕掛けを入れられるよう、素早く仕掛けを指示ダナの範囲に落とし、そのままアタリを待ちます。

アタリを待っていてもベイトが掛からない場合は、指示ダナ上限まで巻き上げてから、フリーフォールで仕掛けを再度落とし込むか、1mごとにステイしながら落とすなどの「フォールの誘い」が効果的です。どのような誘いに反応するかはベイトの活性にもよるので、サミングでフォールスピードを変えるなどしながら、当日の当たりパターンを見つけ出しましょう。

ベイトが掛かると竿先が小さく揺れたり、ラインに変化が出るので、その動きを見逃さないように注視しておきます。

ベイトが付いたあとの釣り方

ベイトが掛かれば、フィッシュイーターの泳層である海底まで仕掛けを落とし、根掛かりしないように50cm〜3mなど船長から指示があった分、底を切って本命のアタリを待ちます。エサとなる小魚は弱りやすく、弱るとフィッシュイーターの食いは悪くなります。仕掛けを底に下ろす際は、ベイトがなるべく弱らないように、サミングしながらゆっくり落とすことがポイントです。

また、ベイトを付けるときも、理想としてはベイトがサビキに素早く複数付くのがベストですが、付きが悪い状況なら1匹でも掛かった時点で、元気な内に底まで落としてしまいましょう。しばらくアタリがないときは、まだ船下にベイトの反応が残ってる場合に限りますが、強くシャクって弱ったベイトを外し、再び指示ダナでベイトを掛け直すのも有効です。

アタリの兆候は、まずベイトが暴れ始め、竿先が揺れる「前アタリ」から始まります。この段階でアワセを入れるのではなく、竿先がしっかりと引き込まれるまで待ってからアワセを入れます。この際、大きなアワセは不要で、聞き上げるようにスイープにアワセるのが効果的です。

やり取りのコツ

ヒット後はリールのドラグをしっかりと締めておき、魚をできるだけ早く底から引き離します。大物であれば途中でドラグを少し緩めてやり取りすることもありますが、小~中型の魚であれば、オマツリを避けるために遊ばせず、速巻きで引き上げましょう。

初心者にはやり取りしやすい電動リールがおすすめ(提供:週刊つりニュース中部版APC・峯卓)

魚を取り込んだあとは、船長がオマツリ防止やベイト反応の有無を見て再投入可能か判断します。また、回収時にベイトが元気でもそのまま投入するとオマツリの原因になるため、ベイトは付いていない状態で投入しましょう。

基本的な釣り方は以上ですが、船宿によってはタナの指示や再投入の手順が異なる場合もあるので、船長のアナウンスをしっかり確認して釣りを楽しみましょう。

ベイトの種類と攻略法

落とし込みはベイトを掛けないことには始まりません。最後に、代表的なベイトになる魚種と攻略法も紹介します。

イワシ

落とし込み釣りにおける定番のベイトです。食いは良いものの、特にカタクチイワシは非常に弱りやすいのが特徴です。そのため、仕掛けを慎重に操作してベイトを長持ちさせる工夫が求められます。サビキには平打ちの空針が特に好反応を示すことが多く、効果的な選択です。

多くの海域でベイトになることが多いイワシ(提供:週刊つりニュース西部版APC・飛高宏佳)

アジ

アジは食いもよく、丈夫で長時間生き続けるのが特徴。ただし、アジはハリスの太さに敏感なため、特に活性が低いときには細めのハリスを使用することが有効です。サビキに関しては、サバ皮やスキン系など小さい装飾がある仕掛けの方が食いが良いです。

サバ

サバは生命力が強く、弱りにくいベイトです。ただし、左右に激しく走るため、大きなサイズのサバが掛かるとオマツリの原因になりやすいです。サイズが大きそうなら、ベイト付けのときに多数掛かるまで待たないなど工夫してみましょう。また、サビキには派手な色や装飾が効果的で、特にフラッシャー付きのサビキが有効です。

<TSURINEWS編集部>

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