鉄道駅の「サインシステム」に注目 駅名標だけじゃない!鉄道サインに宿る文字とデザインの魅力とは?
text & photo:鉄道ホビダス編集部
レイル・ファンのなかでも、いわゆる「撮り鉄」や「乗り鉄」以外に、駅の案内表示に注目し、用いられている書体などを中心にそのデザインを楽しむ方々がいるのをご存知でしょうか。「文字鉄」とも言われるこのジャンルにおいて、主役となりがちなのはやはり駅名標です。ですが、駅はじめとした鉄道施設内にはほかにもたくさんの案内標示が設置されています。
例えばホームには番線標、コンコースには方面標示などがあります。これらのサインには古いフォーマットのものや、駅員が独自に作成したものなどがあり、見どころが満載です。そこで、今回はあえて駅名標以外に注目して、駅のサインシステムの世界を詳しく見ていきたいと思います。
【写真】紹介したもの以外にも見どころはたくさん!オールドスタイルの駅サインいろいろ
■東京メトロ東西線・改札口のサイン
東京メトロのサインシステムは基本的に紺色がベースカラーですが、ここのところ白色ベースのものが登場しています。これは「非電照式サイン」と呼ばれるもので、近年の鉄道サインたちのトレンドのひとつ。蛍光灯を用いないスタイルのため、視認性確保のために白地で製作されたものです。
■営団時代の残り香 東京メトロ大手町駅の「地下鉄」表示
東京メトロの駅ではしばしば、前身の営団地下鉄時代に設置されたサインが今も見られます。特に規模の大きな駅やビルとの接続部分などでは、古いものが残っているケースが多くあります。営団地下鉄がなくなってから20年以上が経過していますが、これらを探してみるのもまた楽しいでしょう。
■東急目黒線 目黒駅の案内表示
各線を走る車両のカラーリングをモチーフにした傑作です。特に目黒線、5080系を想起させるデザインが素敵です。路線ごとの案内にはラインカラーを用いるということは最近では当たり前になっていますが、「この見た目の車両は〇〇線」という案内の仕方もアリだと感じさせるサインですね。
■福島交通 飯坂温泉駅のサイン
ここまでは都心のものばかりご紹介してきましたが、ここでは角度を変えて福島交通を取りあげてみます。こちらの案内表示器、斜めから見てみると文字がわずかに浮き出ているのがわかります。これはアクリル製の切り抜き文字を使用しているからで、昭和期までには比較的よく見られた形態です。都心に残っている事例はなかなかありませんが、地方私鉄の駅などで今も目にすることができます。
このように、駅サインはそのデザインや外見、製作技法など様々な切り口から楽しむことができます。設置場所も多岐に亘っており、地下通路やビルの入口、時にはエレベーターの中でも目にすることができます。「乗りつぶし」の要領で駅構内を隅々まで歩き回り、駅サインをじっくり見てみるというのも楽しいかもしれません。