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ではガンダム初見勢はジークアクスを最後まで楽しめたのか? → 初見勢「ダサくないですか」

ロケットニュース24

彗星のように到来して、隕石のごときスピード感で駆け抜けていった、ガンダムシリーズ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。

こんなに毎週、視聴後に他のものとネットだけでなくリアルでも盛り上がれたガンダムシリーズは、キッズの頃に超流行っていた『新機動戦記ガンダムW』以来だ。

ところで、私の周囲には相当に純度の高いガンダム初見勢の若者が複数いる。ジークアクスは最後まで過去作の知識が輝くシーンが多かった。はたしてシリーズの知識が皆無な初見勢は楽しめたのだろうか? ほら、ちょうどやってきたので聞いてみよう。

・ガンダムおじさん

私の周囲には私より年上のガンダムおじさんもおり、毎週水曜日には全員寝不足でジークアクスの話をする流れが定番となっていた。

彼らは映像化作品を全て見ているし、漫画や小説も大体読んできたし、死ぬまで消化しきれないであろう数のガンプラを積みつつ性懲りもなく新しいガンプラを買い、最新のソシャゲであるU.C.EngageとGジェネもやっているような……つまりはよくいるガンダムおじさんだ。

彼らとの会話の中身は、おおむねTwitter(X)に流れているTLと変わらないので、特筆すべき点は無い。ガンダムおじさんというのは、どこの誰でも大体同じような話をするものなのだ

私自身もその手のガンダムおじさん。3話が終了した時には初見勢の若者の1人を『機動戦士ガンダム』を見ないよう誘導してニチャついていた。

6話では、バスク・オムとサイコガンダムをぽっと出の敵モブおじさんと、やられ役の敵ロボットだと思っている初見勢が、来たる悲劇にどのような反応を見せるのかを想像してニチャついていた。

まあ、結果はご存じの通り。ガンダムおじさんの完全敗北……! GQバスク・オムはマジでぽっと出の敵モブおじさんだったし、GQサイコガンダムはほぼ何もせず瞬殺されてしまった。

い、いや違うんだ。あれはシャリア・ブルとキケロガが規格外であって、本来であればサイコガンダムは圧倒的な破壊をもたらし、我らがバスク・オムもこのような成果で終わることは無く……いや、みっともない抵抗はやめよう

その後も、最終話まで、ガンダムに相当な心血を注いできた世界中のガンダムおじさん達の予想が、終ぞ当たることが無かったのは皆さんご存じの通り

おいどうすんだよ。お前ら(私もだが)この40年くらいずっとクワトロ・バジーナのメガ・バズーカ・ランチャーの命中率をイジって来たのに、お前らのジークアクス予想の命中率も情けないものじゃあないか……!

・おじさんの感想

しかし私のようなガンダムおじさんは、初代もZもZZも逆シャアも、MS IGLOOも観ていたおかげで、赤い三角コーンやシャア専用ヅダで笑うことができた

それに、予想がことごとく外れるというのは、それはそれで楽しいものなのだ。この、製作者の掌で転がされている感じ、嫌いじゃあない。

きっとそう感じたガンダムおじさんは、私だけではないだろう。結局のところ、笑うしかないような意外な展開が最も楽しいのだ。「SEED FREEDOM」だってズゴックのパージは大爆笑でテンションがブチ上がっただろう。

最終話を終えて、職場に集った私を含むガンダムおじさん達は、おおむね高評価。幸せになれるララァが見れていいじゃないかと

シャアも、自由な身分は嫌いじゃないだろう。軍籍を離れていると思しきガルマとは、良い友人として付き合い続けるのでは。

アルテイシアは1人で自在に泳げなさそうな立場になってしまったが、ランバ・ラルがいるなら大丈夫だろう。何よりあの兄にジオンを仕切らせたら不味いことはアルテイシア自身も良く感じ取っているだろうし。

マ・クベ? そんな大層なことができる器ではないと思うんだよな。いい陶器の器を見抜く審美眼はあると思うけど。

いくつかよくわからない点が残っているようにも思ったが、なにも全てが解説されなければならないというものでもない。

GQ時空は正史で起こる多くの悲劇が回避されたし、シロッコやハマーンなども大人しくするだろうし、主人公のマチュさんがハッピーそうなのでオールオッケーって感じ。

しかし、私のようなものの視点からだと、過去作の知識が必要とされる楽しみ方が目立つがゆえに、初見勢はついて来れなかったのではと思えてしまう

しかも私の周囲にいる初見勢はマジモンの初見だ。まずNTを知らなかった。そしてMSとかMAでは通じないので、ガンダムとかロボットと言わないといけない。作中の人型のロボットは全部ガンダムだと思ってるふしもある

・履修無しでは無理だったのか?

そこで、いつものようにひそひそとガンダムの話をしているおじさん達に近づいてきた若者らに聞いてみることにしたのだ。やあやあ、そこの若者らよ。ジークアクス最終話は見たんだろう? で、どうだったね?

若者A「あの最後の建物ダサくないですか?」
おじさんA「えっ、あぁ……ズムシティの公王庁」
おじさんB「元は昭和のアニメのデザインだから……」
「いきなりそこか……(いきなりそこか……)」
若者A「あの女の人がアルテイシアであってます?」
おじさんB「そうだよ。シャアの妹だね」
「顔が出たのは初めてだったか」
おじさんA「シャリア・ブルが擁立するって言ってただけだったね」
若者B「ララァちゃんが報われて良かったなぁ!」
若者A「シャアも良い人そうだよね」
おじさんA「ララァちゃん呼びは新鮮」
若者C「凄くさわやかな最終回だった!」
若者A「やっぱりハッピーエンドがいいよね」
若者B「わかる」
若者C「マチュにはどっかでちゃんとママに叱られてから、抱きしめられてほしい」
「けっこう過去作の知識が必要みたいなの多かったけど、楽しめた?」
若者C「皆さんは毎週予想とかしてましたけど、当たったんですか?」
「^^」

的な感じで、三十分くらいワイワイやったのだが、ガンダムの一角というよりは、普通に一つの独立したアニメとして、初見勢は初見勢なりに楽しめていた様子

特に主人公のマチュの即断即決でタフな感じと、全体のスピード感と、ハッピーエンドだったことが最近の若者には好意的に受け入れられているようだった。

マチュが好感度高いのはなんとなくわかる。最近の若者は、プリキュア等で強い少女像を見て育っているしな。

スピード感については、もう12話増やして長くやってもいいのではないかと思う側面もありつつ、しかし、私の脳には凄まじいスピード感で駆け抜けた超名作『サイバーパンク: エッジランナーズ』の体験も焼き付いている。

ジークアクスは、何だかんだで12話で終わって良かったんじゃなかろうか。今と昔ではアニメの消費のされ方も違う。ジークアクスは短期決戦型に特化していて、これも正解の1つなのではないかと。

ハッピーエンドについても、これまでの宇宙世紀はあまりに争いと悲しみに満ちているので、ジークアクス時空の輝きは良いものだ。

そしてガンダムおじさんらが楽しんできたオマージュの類はジークアクス本編に無関係で、本編で重要な過去作の知識が必要だと思われる部分も大体は最終回までに説明されたか、ガンダムおじさんでもわからないままかだろう。

知っていたら独特な楽しみ方ができるが、知らなくても本編の理解には、最終的にはおおむね影響が無くなる……そういう上手い作りになっている。よく考えられてるよなぁと。

なんだかんだで我々ガンダムおじさんは、知っているがゆえの楽しみ方しかできていないのだ。初見勢の感じた楽しみが、我々の感じた楽しみとはまったく別種のものであることは明らか。

それはガンダムおじさんにはどうやっても体験できないものゆえに理解は困難かもしれないが、初見勢は我々とは別の方向で、我々と同じくらいに楽しんでいたようだった

若者B「もとのシャアとかが出てくるガンダムも、こんな感じなんです?」
おじさんB「こんな感じとは?」
若者B「こういうさわやかな感じっていうか、大人も子供も格好いい感じの」
おじさんB「……」
「ネトフリに全部あるから見ると良い」
おじさんB「さわやk」
「僕らが毎週ワイワイやっていた理由も明らかになるよ」
若者C「今期アニメ終わりますし、見てみようかな」
「もうすぐ同じ宇宙世紀の『閃光のハサウェイ』ってやつの続編もやるんだよ。ほら(公式HPを見せながら)」
若者B「この子(ギギ)かわいいですね!」
「彼女と、主人公と、この男も加わって、三角関係になるんだ」
若者C「ラブストーリー的な? 見てみようかな」
「初見でも楽しめる作りだし、お勧めだよ」

参考リンク:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ、機動戦士Gundam GQuuuuuuX
執筆:江川資具

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