認知症の要因、「加齢」よりも「老化」が大きい?
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、2月26日の放送に認知症専門医の内田直樹が出演した。福岡県在住であり、今年、著書『早合点認知症』を発売した内田が、認知症の要因や対策について解説した。
大竹まこと「認知症の患者さんはいま、どれぐらいいるんですか?」
内田直樹「当院の患者でいうと、いま福岡市内で1200人、毎月、訪問診療をしています」
大竹「1200人! 私は団塊の世代ですけど、この年齢が増えていますよね?」
内田「そうですね。いま日本全体でいうと認知症の状態にある人が400数十万人、今後も2060年まで増える、といわれます」
大竹「私たちは認知症になったらどうしよう、と怖がっています。そういう私たちと、先生の認知症のイメージは違うんですか?」
内田「ずいぶん違うのではと思います。多くの人はやはり、認知症を『なりたくない』『怖い』と思っているかなと」
大竹「おっしゃるとおり!」
内田「認知症の専門医として、発症する最大のリスク因子は何か、ということからお伝えすると。人口のうち何%が認知症か、という割合が5歳刻みで倍になる。90歳から94歳だと5割の人が認知症の状態に。そういう意味で、認知症発症の最大のリスク因子は加齢なので、ならないためには、年を取らないようにすればいいんです、と」
大竹「それは無理です!」
内田「無理なんです。ただ在宅医療をしてつくづく思ったんですけど、うちの患者さんの平均年齢82歳とかですけど、80歳と90歳の人、見た目で区別がつかないんですよ」
大竹「つかないねえ」
内田「でも5歳と15歳が見た目で区別つかないことないじゃないですか。老化のスピードの個体差が大きくて。だから年を取ること自体が最大のリスク因子ではなく、老化が認知症発症の最大のリスク因子、というふうに思うんです」
大竹「なるほど」
内田「そういう意味だと老化を止めると認知症にならなくて済む」
大竹「そう簡単に止められませんよ」
内田「これがいま医学、科学の分野でホットなところです。老化は止めることが将来的に、できそうなんです。老化しない動物っているので。不老不死の不死は無理でも不老はできそう。ただ私が生きている間に実現できるかというとわからない、というのが前提です」