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植木鉢から電気が生える!?植物発電の驚きの技術

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街はイルミネーションが賑やかですが、光熱費の高騰やエネルギー問題を背景に、通常の電気を使わない「エコなイルミネーション」も広がりつつあるようです。

目黒川の桜並木、天ぷら油で輝く

まずは、目黒川沿いのイルミネーションについて、「目黒川みんなのイルミネーション」事務局の横山 珠理さんに伺いました。

「目黒川みんなのイルミネーション」事務局 横山 珠理さん

(今、ライトが綺麗に点灯してますけど、どのような仕組みで光っているんですか?)

単なるイルミネーションではなくて、地域の飲食店などから集めた「使用済みの食用油」を使っています。天ぷら油もそうですし、唐揚げを揚げた後の油から、「バイオディーゼル燃料」に精製していただいて、そのバイオディーゼル燃料をもう1回ここに持ってきて、その燃料を「発電機」の中に入れて灯しています。

2011年の震災が起きたときに、「地元はまだまだ大変なのに東京はこんなにキラキラしてて」というツイートがあって、どうにかできないかと。遠慮しないで使える、自分たちで作ったエネルギーで自分たちで灯す、「地産地消型」のイベントができたらいいんじゃないかっていうところがスタート。

<「目黒川みんなのイルミネーション2024」。2024年11月15日(金)~2025年1月13日(月)まで、五反田駅から大崎駅間の目黒川沿いが「桜色」の電飾に染まっています>

目黒川沿いの桜並木が、天ぷら油で光っています。地域の飲食店や、一部家庭で使用した食用油を回収して、「バイオディーゼル燃料」に生まれ変わらせているのですが、このバイオディーゼルは軽油の代替となるだけでなく、二酸化炭素の排出量が軽油よりも少なく、環境に配慮した燃料として注目されています。

イルミネーションは来年1月半ばまで開催。期間中の60日間で、およそ2200リットルの燃料を精製して、五反田から大崎駅の1駅分の電飾を光らせています。

実は10年以上続くイベントで少しずつ地域の人々に知られてきていて、目黒の冬の風物詩として定着しつつあるそうです。

電源不要!土から発電する「植物発電」

このエコなイルミネーション。もう一つ、環境面だけでなく経済面でも注目されているまったく新しい発電方法も登場いています。商業施設などの植栽演出を手がける、株式会社グリーンディスプレイの豊岡 怜衣子さんに聞きました。

株式会社グリーンディスプレイ・事業推進室 豊岡 怜衣子さん

「ボタニカルライト」というものでして、簡単に言うと「植物発電」。

土の中にいっぱい微生物、いろんな種類がいると思うんですけれども、その中の一つで、でんぷんを食べて「電子」を出す微生物っていうのが土の中にいて、その微生物が出した電子を回収して光に変えているような仕組みになっております。

通常の電気は、コンセントから電気を取ったりとかする必要があるんですけど、そういったコンセントの電気を必要としないのが、大きな違い。

<ボタニカルライト。コンセントには繋がれず、土の中からLEDのケーブルが「生えて」いました>

<遠目から見ると、優しく光っているのがわかります>

<看板>

具体的には、植物は成長するとき、根っこから「デンプン」を土の中に出します。このデンプンを微生物が食べると、「電子」が発生するのですが、あらかじめ土の中に特殊な装置を埋めておくと、この電子を集めて、「電気」に変えることができるんです。

電力としては乾電池3本分くらいですが、それでも小さなイルミネーションを光らせるには十分な量。

しかも、土の中の微生物が元気でいる限り発電が続くので、植物が健康であればずっと発電できる。電源がない場所でも使えるのがポイントです。

この時期、渋谷の商業施設「ヒカリエ」や、東京ミッドタウン日比谷のプランターで導入されていて、たしかにコンセントと繋がっていないのにライトが光っていました。

<「東京ミッドタウン日比谷」の6階の一部プランターに、ボタニカルライトが採用されています>

タコ足配線から解放!土から電力を取る農業のIT化

ただ、この植物発電、実はイルミネーションではなく、ある意外な場所で使うために開発されたそうなんです。この技術を開発した、電子基板を扱う会社株式会社ニソールの代表取締役、田崎 勝也さんに伺いました。

株式会社ニソール・代表取締役 田崎 勝也さん

例えばトマトとかの茎の水分を計測して、計測した情報から「水をあげる」「肥料をあげる」っていうことをコントロールして、甘いトマトとかを育てるっていう場合に、従来はビニールハウスの中にコンセント、タコ足配線だらけ、っていうような状態になってしまう。

それを、土の中から電源を取ることによって、それぞれ一つ一つに電源をつけられる。

好きなところから電源を取って、いろんな情報を取れる。そういった農業寄りのものを想定してました。

イルミネーションの方がいっぱい使ってもらって、想定してなかったですけど、嬉しいですよね、人に見てもらえる… (笑)

きっかけは、農業だったんです。「センサーをつけたくても、広い農地では電源を確保できない」という農家の悩みを解決するために植物発電を開発したため、イルミネーションは想定外の使われ方だったそうです(農業の方は絶賛、実験中とのこと)。

さらに、植物発電は防災の面でも注目されています。停電時には携帯電話の充電には十分な出力を持たないものの、暗闇を照らす明かりとして使用できるため、災害時の活用が期待されています。

イルミネーションだけでなく、防災や農業といったさまざまな分野で、植物発電の可能性が今後さらに広がるかもしれません。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:田中ひとみ)

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