「性的暴行多数」「13人を殺害」「最後は獄中死」実在のストーカー殺人鬼が登場?A24『MaXXXine マキシーン』の衝撃
A24ホラー三部作の最終章『MaXXXine マキシーン』
A24の手がける壮絶スプラッタ映画『X エックス』(2022年)、『Pearl パール』(2023年)に続く最新作にして最終章『MaXXXine マキシーン』が、6月6日(金)より全国公開中。これにて三部作がついに完結することとなる。
タイ・ウェスト監督と主演ミア・ゴスが丁寧に、そして残虐に紡いできた同三部作。『MaXXXine マキシーン』は1980年代のハリウッドを舞台に、『X エックス』の主人公マキシーンの“その後”を追うストーリーになっている。
そんな本作には、実在の連続殺人鬼“ナイトストーカー”をモデルにしたと思しきキャラクターが登場することも重要なポイントだ。
“夢のハリウッド”で殺意が交差する
『MaXXXine マキシーン』の舞台は1985年のロサンゼルス。ポルノ業界から本物の映画スターを目指し上京したマキシーンが夢をつかむべく奮闘するが、街では謎の殺人鬼が次々と事件を起こしていた。劇中では「ナイトストーカー」なる名前が出てくるが、これは実際に80年代のLAで人々を恐怖に陥れた殺人鬼、リチャード・ラミレスのことだろう。
性的暴行の常習犯だったラミレスは80年代半ばに残虐な犯罪を繰り返し、無差別に人々を殺すことで恐れられたシリアルキラー(少なくとも13人を殺害したとされている)。本作はラミレスの犯罪を直接描くわけではないが、彼の存在はストーリーに大きな影響を及ぼすことになる。ミア・ゴスも本国メディアに対し、実在の犯罪者をモデルにすることで映画にリアリティを持たせ恐怖を際立たせる狙いがあったと明かしている。
なおラミレスに関してはNetflixのドキュメンタリー『ナイト・ストーカー:シリアルキラー捜査録』に詳しい。
『X エックス』から『Pearl パール』、そして『MaXXXine マキシーン』へ
『X エックス』は70年代の米テキサスが舞台。ポルノ映画の撮影をしようとする若者たちが、孤立した農場で恐ろしい出来事に巻き込まれる物語だ。ミア・ゴスは若きポルノ女優マキシーンと、農場に住む老女パールの二役を演じた。
続く『Pearl パール』は、その老女パールの過去を描いた続編で、ぐっと時代をさかのぼり1920年代が舞台。スターを夢見る少女が次第に狂気に取り憑かれていく様子を描いており、古典的なホラーのスタイルを取り入れつつ心理的な恐怖にも焦点を当てている。
それぞれ異なる時代を舞台にしながらも、「名声への憧れ」と「狂気」の関係を一貫して描いてきた『X エックス』三部作。なかでも『MaXXXine マキシーン』は、実在した連続殺人鬼を登場させることで現実とフィクションの境界を曖昧にし、より深い恐怖を生み出してみせた。
三部作だが時系列バラバラで観ても楽しめるので、まずは『MaXXXine マキシーン』を劇場で体験してみては?
『MaXXXine マキシーン』は6月6日(金)より全国公開中