0・1歳児【赤ちゃんの下痢】 受診4つのポイントとホームケア4つの注意点 小児科医が解説
赤ちゃんの「下痢」について小児科医・岡本光宏先生取材。体調不良時の対応やチェックすべきポイントや受診の目安など。 「0~1歳児の赤ちゃんのホームケア」シリーズ(全11回の2回目)。
「赤ちゃんの下痢」 受診のチェックポイントとケア方法を小児科医が解説赤ちゃんの体調不良のときにチェックしておくポイントや、家庭での対応、受診の目安などを「おかもと小児科・アレルギー科」院長・岡本光宏先生にお聞きしました。2回目は、赤ちゃんの下痢についてです。
兵庫県三田市にある「おかもと小児科・アレルギー科」院長・岡本光宏先生。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。新生児から思春期の心の疾患まで、幅広く診察している。
下痢のチェックポイント
赤ちゃんの下痢は、おもに下記のような原因から起こります。
・母乳、ミルクの飲みすぎ、食べすぎ
・おなかの冷え
・細菌やウイルスによる胃腸炎
・食物アレルギー(まれ)
「一般的に食物アレルギーで下痢することはほとんどありません。専門家の受診なしに自己判断で食べ物を除去することは避けましょう」(岡本先生)
受診の目安
離乳食開始前の赤ちゃんは、もともとうんちがゆるめで回数も多いため、下痢かどうかの判断が難しいかもしれません。そこで、赤ちゃんの様子やうんちの状態(回数・形状・色・におい)から、受診の目安をチェックしましょう。
〈様子見でOK!〉
・うんちはゆるいけど水分はとれている
・下痢のうんちが2日以上続いているけど元気はある
・1~2回下痢便が出たけど機嫌がいい
イラスト/オヨネ
〈小児科を受診〉
・お腹を痛がる
・血便が出る
・下痢便が白っぽい、または水っぽい
・咳や発熱などの症状がある
〈時間外でも受診を〉
・激しい下痢が12時間以上続いている
・元気がない、ぐったりしている
・水分がとれない
・おしっこが出ない
※おむつの濡れ具合やトイレに行く回数をチェックしましょう
〈受診の準備〉
・症状が始まった時期や下痢の回数、うんちの状態(回数・形状・色・におい)をメモしておく
・全身の状態(熱、食欲、機嫌など)を観察しておく
・下痢のうんちの写真を撮っておく
「赤ちゃんの体重が増えているかどうかをチェックするために、小児科で体重を測って健診時と比較することがあります。母子手帳を忘れずに持っていきましょう」(岡本先生)
ホームケアの注意点
次は赤ちゃんが下痢のときの注意点です。
【1】こまめに水分補給をする
とくに1歳以下の赤ちゃんの場合、下痢が続くと脱水症になりやすいです。卒乳前は、粉ミルク、もしくは母乳で十分です。
卒乳している場合は、水分とあわせて乳児用のイオン飲料や経口補水液を与えると、電解質や塩分、糖分を補うことができます。
写真:アフロ
【2】無理に食べさせなくてもいい
食欲がないときは、水分補給のみでOK。赤ちゃんが食べたがる場合は、量を控えめにし、消化にいいものを与える。
【3】こまめにおむつ替えをする
下痢のうんちは肌への刺激が強いため、うんちをしたら早めにおむつを替える
【4】下痢便がついたおしりを洗って清潔にする
ぬるま湯で絞ったガーゼで拭くのもOK
写真:アフロ
注意したいポイント
次は覚えておきたい注意したいポイントです。
・赤ちゃんが嘔吐した場合は、水分を与えるのは吐き気が始まってから30分~1時間経過してからにしましょう
・自己判断でミルクの濃さを変えるのはNG。かえって症状が悪くなる可能性がある
「赤ちゃんのおむつを替えたら、そのたびに手をしっかり洗いましょう。胃腸炎のウイルスはアルコールに強いことが多いため、必ず石鹼・流水で洗ってください」(岡本先生)
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赤ちゃんが下痢をしたときの受診の目安やホームケアのポイントを押さえておくことで、病院を受診する際も落ち着いて準備ができそうです。
ただし、これらのポイントはあくまでも目安です。「様子見に当てはまるし、ホームケアの手当てをしているけど、なんとなく気がかり」と感じたら、かかりつけ医を受診しましょう。赤ちゃんのお世話をしているママパパだから気づく点もあるはずです。
赤ちゃんのホームケア次回3回目は、赤ちゃんの「発熱」についてお届けします。
取材・文/畑菜穂子