<問題児、怒る?見守る?>乱暴な子におびえる小2の娘。原因は⇒本人?もしくは……親?【まんが】
私はサヤ(40)。娘のリエと夫のマサユキと3人で暮らしています。リエは今年小学2年生になりました。1年生のときからクラスも担任の先生も持ちあがりで、慣れた環境なのはいいのですが、気がかりなことがあります。リエのクラスにはいわゆる「問題児」と呼ばれる子がおり、暴言も暴力も激しいのです。正直、その子とは別のクラスになりたかったと考えてしまう自分がいます。親はわが子がかわいいもの。リエが被害にあわないか心配です。
1年生のときから何かと激しい言動が目立ったユウトくん。はじめは「そんな子もいるよね」という雰囲気でした。でも行動はエスカレートする一方で、クラスの子を叩いたりひっかいたりして怪我人が出ています。担任のミホ先生はユウトくんやユウトくんの保護者とよく話し合ってくれているようですが、一向に状況が改善されません。
夜。私は夫のマサユキに相談しました。
今のマサユキに乱暴なところは見当たりません。もし、ユウトくんも大人になるにつれ穏やかになっていく子で、その過程で乱暴になっているのであれば目をつむるべきなのでしょうか。
親として、ユウトくんやユウトくんを育てているご両親の気持ちを考えます。暴言や暴力の話はクラスで何度も話題になっていますから、当然ご両親も思うところがあるでしょう。 クラスの行事に参加するとき、いつもうつむいているユウトくんのお母さんの姿を思い出しました。ほかの保護者も、ユウトくんの家庭と距離を取りはじめている気がします。 でも、ユウトくんの言動がなおらないのはご両親にも何か問題があるのでは? そう考えてしまう自分も正直いるのです。
ついに恐れていた事態が!大切な娘が殴られ「許せないッ!」
担任のミホ先生の話では、ユウトくんが何やら暴言を言い、リエが反応してイヤな顔をすると、それに怒ったユウトくんがリエを殴ったとのこと。拳が目に当たったということでした。
リエは保健室で右目に保冷剤をあててもらいながら泣きじゃくっています。保健の先生の話も耳に入りません。そこへミホ先生がやってきます。
ミホ先生の言葉でわれに返りました。今はまずリエの目が心配です。私はミホ先生や保健の先生への挨拶もそこそこに、リエをおんぶしてランドセルを持ち、眼科へと向かいました。近所の眼科は優しいおじいちゃんの先生で、問診や診察を丁寧にしてくれて、視力などに問題が出ることはないだろうと言ってくれました。
学校への電話を切ったあと、ソファに横になっているリエの隣に座りました。リエは黙ったまま私の手をにぎります。目に異常がなかったといっても、クラスメイトに殴られてさぞ怖かったことでしょう。 私は自分の子どもが被害に遭うまで、積極的な行動を起こさなかったことを悔やみました。こんな思いをしている子がほかに何人いるのでしょう。このことがきっかけでリエが学校へ行きたくなくなったり、生活に支障が出たりするかもしれません。 クラスの平和のためにも、大人が立ちあがらなければならないと思いました。
「話を聞かせて」夫の言葉に加害児童が涙。暴力の理由は……?
娘のリエはユウトくんが怖いとのことで一緒には来れず、話し合いの間は私の母が付き添ってくれています。一連の流れを見て私が感じたのは、慣れているな、という印象でした。担任のミホ先生、そしてユウトくんの母親の謝罪の言葉にウソはないでしょう。しかし、こういった問題に慣れてきてしまって、困っているだけのように見えました。
ユウトくんは、マサユキの顔をじっと見てしばらく沈黙し……震える声で話しはじめます。
ユウトくんは泣き出しました。その涙を見て、私のなかの激しい怒りの感情が、少しずつおさまっていきました。
泣きじゃくりながらのユウトくんの話を聞いたところによると、どうやら昔、家庭で父親が母親に対し、手をあげる場面を目撃した経験があったようです。
その後、ミホ先生とユウトくん、ユウトくんの母親は話し合いを重ね、ユウトくんはカウンセリングを受けることになりました。乱暴な行動は徐々に落ち着き、クラスで笑顔を見せるようにもなったそうです。 リエも、もうユウトくんを怖がることはなくなりました。ユウトくんから、「ごめんなさい」と気持ちをつづった手紙を渡されたのだそうです。リエの目の傷もすっかり治り、心にも傷は残っていないようです。 リエのこともユウトくんのことも、今後を見守りたいと思います。