東日本大震災から14年、新宿アルタが閉店して最初の追悼式典の日
2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災から14年が経過した。毎年、この日この時間に、私(佐藤)は東京・新宿アルタ前に来ている。しかし今年はこれまでとは状況が異なっている。というのは、2月28日をもってアルタは閉店したのだ。
それでももしかしたら震災のあった時刻に、追悼の言葉を掲出するのではないかと考えて、毎年のようにアルタ前にやってきた。
【動画】2025年3月11日14時46分、新宿アルタ前の様子
・アルタが閉店して
1980年4月1日に開店したアルタは、新宿の待ち合わせスポットとして親しまれ、「笑っていいとも!」の生中継をする場所としても全国的に知られている。45年もの長きにわたって営業を続け、最終営業日には約500人ものファンがその最後を見送ったそうだ。
建物の最後にそれほどまでの人が集まるとは、アルタが本当に親しまれていたからこそではないだろうか。
震災時刻の約10分前に建物を見上げると、すでに「明太子かねふく」の看板にまで足場を組まれている。いずれはこの看板も見えなくなるのだろう。
ビジョンはまだ足場で覆われておらず、もしかすると、黙とうの時刻には映像が出るのかも? と勝手に期待しつつ、LINEアプリのライブ配信で追悼式典の黙とうのタイミングを待った。
だが、そのときが来てもビジョンは沈黙したまま、1分間は過ぎた。
まわりでは私と同じく、例年のことと、足を止めてビジョンを見上げる人の姿が見受けられた。立ち止まって、あの日あの時を思い出す人たちがいる。
できれば、ずっとここがその場所であって欲しかったけど、昨年閉館が発表された段階では、再建は困難とのこと。ここでビジョンを見上げることはもうない。
しかしながら、きっとずっとスタジオアルタの願いは変わらないはず。
「被災地の新たな再生を、強く願って 再生への新たな一歩を踏み出している被災地の皆さまのご健康をお祈り申し上げますとともに、三越伊勢丹グループとして、明るい未来のために力を合わせてまいります。 株式会社スタジオアルタ」
今一度、私はあの日を思い出す。その記憶は決して快いものではなく、被災していない私でさえもあの瞬間は戦慄し恐怖し、数日眠れなくなったほどだ。
それでもその怖さを知っているからこそ、備えることができるし、いつでも起こり得ると考えることができる。あの日の記憶を糧に、せめて年に1度、立ち止まって防災のことを考えたい。
参考リンク:スポーツ報知
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24