山中市長インタビュー 暮らしやすい環境創出 あらゆる世代に配慮
本紙では2025年度のスタートにあたり、山中竹春横浜市長にインタビューを行った。山中市長は「あらゆる世代の皆様が暮らしやすい環境づくり」のため、地域交通の拡充など4つの柱を重点施策に掲げた。GREEN×EXPO2027については地球規模の課題解決に向けた横浜の取組を世界に発信したいと意欲を語った。一方、任期満了に伴う市長選への出馬については、市政運営に専念する姿勢を強調し、明言を避けた。
新年度予算について山中市長は「任期4年間の総仕上げ」と位置づけ、「あらゆる世代の皆様が暮らしやすい環境づくりを加速させたい」と思いを語った。
中でも「地域交通の拡充」、「防犯」、「防災」、「子育て支援」を4つの柱として重点施策に掲げた。
4つの柱
地域交通の拡充については、日常生活での移動のしやすさに向けた取組として、バス停や駅まで一定以上の距離がある「交通空白地」の解消、敬老パスの利用範囲の拡大を進めるとした。
防犯対策では、「全国でさまざまな犯罪が増えている」点を危惧。自治会町内会に対し新たに緊急補助を行い、防犯カメラの設置などへの支援を強化していくと語った。
防災対策では、「避難所となる小中学校の体育館への空調設置やトイレ洋式化の完了に向け、トップスピードで取り組む」方針を示した。
また、「避難所の備蓄品を大幅に充実させる」と語り、飲食料の備蓄量を大きく増やすほか、福祉避難所では、介護食としての流動食やきざみ食を新たに備蓄するとした。さらに、プライバシー確保のためのパーティション、簡易ベッド、衛生用品など、これまで備蓄していなかった品目を配備する。
子育て支援では、商業施設などでの短時間預かり、公共施設などでの一時預かり、24時間365日の預かりなど、どのような場面でも預けやすい体制を整備。
また、昨年、放課後キッズクラブ・児童クラブで実施した夏休み期間中の昼食提供が「好評だった」ことから、冬休み、春休みにも実施する。
さらに、サービス向上のため4月にリニューアルが始まった中央図書館や野毛山動物園に続き、市内の動物園や図書館についても「横浜の財産であるので、生まれ変わらせたい」と意欲を語った。
来年度から始まる中学校での全員給食では、生徒の意見を取り入れたメニュー開発や有名レストランとのタイアップなども進め、満足度の一層の向上につなげていく。
横浜から世界へ発信
開幕まで2年を切ったGREEN×EXPO2027について、「横浜市が目指す『持続可能なグリーン社会の実現』のためのロードマップ上に位置付けている」と語る山中市長。こうした取組に共感する企業や団体から、多くの出展や寄附の申し出がある現状に触れ、「温暖化など地球規模の環境課題解決に向けたアクションを横浜から発信し、盛り上げていきたい」と熱を込めた。
残りの任期に全力
7月20日告示、8月3日投開票に決まった市長選については、「市民の皆様から託された残りの任期で、しっかり成果をお返しすることに全力を注ぐ」と述べ、出馬についての明言は避けた。