誰もが感じる不安の正体とは? 事前準備をすることで不安と上手につきあう
「今の会社で働き続けてもいいのだろうか?」「老後の生活が不安でしょうがない……」など、多くの人が心に不安を感じて生きています。仕事や対人関係などについて、何か対策をしなくてはならないと感じながら、対策をせず、不安という感情が生まれるのです。
岩井俊憲氏の『感情を整えるアドラーの教え』(大和書房刊)は、アドラー心理学をベースにした感情のコントロール方法を、著者自身の豊富なカウンセラー経験より解説しています。不安を感じた場合、どうやってコントロールしたらいいのでしょうか?
不安とは?
岩井氏は不安について「未来(近未来)に直面しなければならない課題がある。だが、その内容が明確ではないため、向き合わなければならないと思いながらも、十分な対処ができないでいる感情」と定義しています。
不安の特徴は以下の通りです。
未来に属する時間軸の感情対象が漠然として、手立てがはっきりしない何らかの対処を迫る感情
不安は悪いことばかりではありません。建設的に活用することで未来について考え、行動できるようになります。
不安と上手につきあうにはどうすればいい?
【不安と上手につきあう方法①】行動のための準備をする
「不安を感じる元となっている課題について、できるだけ具体的な対策を立てるのです」と岩井氏は言います。例えば大地震が来ると言われている地域では、常に地震の恐怖に怯えています。しかし、事前に対策を講じることで、実際に地震が起きた場合でも慌てずに済みます。
また対策を立てる場合、他者に相談することで、解決の糸口を見つけることが可能です。ビジネス関連の課題なら、同僚や先輩、それ以外なら家族や友人に相談することがおすすめ。他者からアドバイスをもらえることで、自分の立ち位置がわかります。
【不安と上手につきあう方法②】優先度の高いものから着手する
岩井氏が推奨するのが優先度のマトリックスです。課題を重要度と緊急度の高低で4つに分類します。不安に該当するのが「緊急度が低く重要度が高い項目」。この課題を解決することで不安を解消するのに効果があります。課題が明確になったらすぐに行動しましょう。「どうするか」がわかれば不安はなくなります。
【不安と上手につきあう方法③】不安を期待や信頼へ置き換える
岩井氏によると、人は将来についてマイナス要素を感じると不安を覚えるそうです。
たとえば、以下のような場合です。
「転職してもうまくやっていけるのか?」
しかし、このようなマイナス要素があったとしても以下のように未来をポジティブに変換することで不安をコントロールできます。
「新しい会社で自分の温めていた企画を実現しよう」
不安の対象が人であったとしても同じです。部下の仕事ぶりに不安を感じたとしても部下を信頼することで不安は解消されます。
課題について、あれこれ心配するより、実際に取り組んでみると克服できるものがほとんどであると覚えておきましょう。
どうしても相手を心配してしまう人
とはいえ、中にはどうしても相手を心配しすぎて不安を感じる人もいます。そうした場合の対処法として岩井氏は「尊敬」「信頼」「共感」の勇気づけで解決できると言います。
例えば作業が遅い同僚に対し、心配する感情の背景には「この人はスケジュール管理能力が足りないのかも」といった相手に対する信頼や尊敬の欠如があります。相手を尊敬し、「どんなことがあっても対処できるし、相談もできる」と信頼できれば、心配する気持ちはなくなるはずです。
心配しすぎて「あせる」人
心配の原因となっている課題を放置すると、やがて不安は「あせり」へと変わります。
あせりを感じやすい人には以下の特徴があります。
せっかちである完璧を求める自分を怠け者と思っているあせっている夢を見やすい
では、こうした「あせり」をコントロールするにはどうすればいいのでしょうか? 岩井氏はあせりの一歩手前である不安を感じている段階で対処することをすすめています。前述したマトリックスを使い、優先順位が高い課題に取り組んでおけばあせりもなくなります。
早めに準備をし、他者へ相談することで不安は解消されるはずです。
この記事では、岩井俊憲著『感情を整えるアドラーの教え』から、不安をコントロールする方法を要約・抜粋してご紹介しました。