デイタイム救急隊 現着時間、前年より短縮 中原署 配備から1年
救急需要の高い日中の時間帯に出場する「デイタイム救急隊」。昨年4月に、川崎市消防局が同救急隊を中原消防署に配備し、1年が経過した。課題だった現場到着時間が1分以上短縮され、その効果が表れているという。
中原署に配備されたデイタイム救急隊は、土日祝日を含む、午前8時30分から午後5時15分までの日中の時間帯のみ、5人で毎日運用。市消防局によると、昨年4月1日から12月31日までの出場件数は1242件(中原区外への出場も含む)だったという。
中原署でこれまで運用されていた救急隊は3隊で、2023年の救急件数は1万3002件だった。デイタイム救急隊が増隊されて4隊となった24年は1万3004件(速報値)と前年とほぼ横ばい。その1割弱をデイタイム救急隊が担ったことになる。
市内でも救急出場の多い中原区では、救急隊の現場到着時間が22年(4月1日〜12月31日)は11・1分だった。一方で、デイタイム救急隊が配備された昨年(同)は10分と1分以上短縮された(23年はデイタイム救急隊の試行期間だったため、比較できず)。
デイタイム救急隊配備の狙いは、この現場到着時間の短縮だ。市内の救急出場件数は23年が8万7591件、24年が8万9114件と増加し、24年は過去最多だった。年々出場件数が増え続ける中で、日中の時間帯における救急出場件数は夜間よりも多い傾向にある。特に中原区、高津区は、日中の現場到着時間が川崎市が目標とする8・4分を超えていることから、日中の救急需要に対応するためにデイタイム救急隊が昨年、市内で初めて配備された。市消防局の担当者は「昨年と比較して1分程短縮できており、効果が出ている。日中の忙しい時間帯に1隊増えたことで、現場の負担も軽減できている」と評価する。
高津署にも配備
4月には、中原区同様に、救急隊の出場件数が多い高津区でもデイタイム救急隊が配備された。「すでに配備されている中原区と情報交換し、連携しながら円滑な運用を行っていきたい」と同担当者は話す。
市内の救急隊の数は31隊となったが、国が示す人口数の算定基準の34隊にはまだ及んでいないのが現状だ。「救急車の数に限りがあるため、市民の方々には適正な利用をお願いしたい」と呼び掛けている。