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深すぎる猫愛が生んだユニークな「飼い猫博物館」創設者は晩年を猫に捧げた夫妻 米国

ねこちゃんホンポ

人生の後半で目覚めた「猫愛」

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米国ノースカロライナ州にある「The American Museum of the House Cat」(米国飼い猫博物館)をご存じですか?2017年にHarold W. Sims Jr.博士がオープンしたユニークな博物館です。猫をテーマにした約1万点の展示物が並べられ、年間数千人の来場者を迎えています。

Haroldさんはたいへんな愛猫家です。猫に関するあらゆることに熱中し、「殺処分ゼロの動物保護施設をつくること」に財産を注ぎこみ、同博物館まで設立しました。

彼は人生の後半になってから「猫への愛」に目覚めためずらしい人です。フロリダのコミュニティカレッジで教師として勤め上げた後、妻Kayさんとともにノースカロライナ州西部に移住することを決意しました。

リタイアして自由になった時間を使って動物保護施設ボランティアを始めた彼は、猫の世話を担当しました。ちょうど同じ時期に夫婦はBuzzyという名のペルシャ猫も飼い始めたのです。

人道的な保護施設を運営

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猫を飼う人にありがちですが、1匹から2匹、3匹、4匹と増えていき、最終的に夫婦は13匹の猫を家族にしたのです。

「猫は戦争を起こしません。宗教を持たず祈る神様もいません。環境破壊もしません。ただ生きているだけです」と語る彼。自然体で生きる猫の魅力に心を奪われていきました。

Haroldさんは、アイデアにあふれ実行力のある人物でした。地元の保護施設が動物を安楽死させていることを知ると、「もっと人道的な保護施設を自分で開設する」ことを決意しました。

最初は裏庭の小屋でしたが、2002年までに1200平方メートルの家へと拡張することになりました。彼は退職金15万ドル(約2300万円)を使って、キャットタワーや小部屋、さまざまなおもちゃを揃えました。しかし猫を閉じ込めるケージは決して設置しませんでした。

「野良猫や飼い主に捨てられた猫は、犯罪を犯したのではありません。それなら、なぜ猫が刑務所(ケージ)に入れられなければならないのでしょうか?」

2017年に制作されたドキュメンタリー「Little Works of Art」の中で、彼はそう語っています。

飼い猫博物館が大人気に

画像はイメージです(TRAVELARIUM - stock.adobe.com)

彼と妻はその保護施設を「Catman2」と命名しました。これは自由気ままな夢想家の間で現代の楽園として有名なネパールの首都カトマンズをもじった名前であるとともに、地元の人々が彼につけたニックネームでもあるのです。

すぐに彼は最大で70匹もの猫を飼うようになり、毎週乗用車で大量の猫砂を運び続けて後部のベアリングが割れてしまうほどでした。これまで30年近くにわたりCatman2は5000匹以上の猫に里親を見つけて送り出しています。

これで満足しないHaroldさんは、妻とともに飼い猫博物館をオープンしました。博物館の最初の場所はノースカロライナ州カルロウィーのアンティークモールでしたが、来館者が多くてすぐに手狭になったため、2023年シルバに博物館の建物を建設しました。

「みんなは頭がおかしいといいます。猫の博物館なんてだれも来ないといわれました。でも、実は多くの人が望んでいたのです」という彼。

猫は人間よりすぐれた存在

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博物館では、壁一面に飾られた猫をテーマにした絵画、アンティークの猫のおもちゃが詰まった展示ケース、子供サイズの猫をテーマにしたメリーゴーランドなどを楽しむことができます。

展示品の中には不気味なものもあります。16世紀イギリスの煙突で発見された化石状態の猫や、古代エジプトのミイラ猫も展示されています。ミイラの包帯の下に実際に猫の遺体があるかどうかを確認するため、ちゃんとレントゲン撮影も行ったとか。

Haroldさんの猫愛は「猫は多くの点で人間よりもすぐれている」という信念から生まれたそうです。

「学べば学ぶほど、猫は人間よりも賢いと信じるようになりました。猫は差別しません。あなたが白人か黒人か黄色人種かなんて気にしません。さらに、猫はほかの猫が何を持っているかなんて気にしません。猫は自分が持っているもので十分満足なのです。猫が世界を支配できたらいいのに。そうなったら、わたしたちの世界はこんな混乱状態には陥っていなかったでしょう」という彼。

残念ながら妻のKayさんは2021年に逝去し、その後Haroldさんは2024年11月17日にノースカロライナ州シルバの介護施設で亡くなりました(享年89歳)。しかし夫婦の生み出した博物館と保護施設は、その遺志を引き継いだ人々によって、いまも運営され続けています。

出典:Harold W. Sims Jr., Whose Museum Honored the House Cat, Dies at 89

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