【甲子】飯沼本家‐千葉県 ー おいしい酒づくり、たのしい場づくり
地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。今回は、千葉県印旛郡酒々井町(いんばぐん しすいまち)の飯沼本家を特集します。
奉納の酒から、未来の一杯へ
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
飯沼本家が酒々井に住み着いたのは400年ほど前。元禄年間に江戸幕府より神社に奉納する酒造りの許可を得たことが日本酒造りの始まりです。文献には明治初期に地元以外の地域に日本酒を流通させる記録が残されています。その後も技術継承、機械化の導入など、さまざまな変化を経て現在の「地域に開かれた酒蔵」へ、進化を遂げてきました。
「甲子正宗」から「Kinoene」へ
飯沼本家の代表銘柄である「甲子正宗」を「甲子 -Kinoene-」と改め、2023年4月よりブランドイメージやボトルデザインなどをリニューアル。「甲」の漢字の成り立ちを示す亀(長寿の象徴である蓑亀)と、干支の「子」に由来する鼠をシンボルに掲げ、「おいしい酒づくり、たのしい場づくり」という原点に立ち返った理念のもと、気持ちを新たに歩みはじめました。
―代表銘柄は?
「甲子」
日本では古くから、干支の一番目にあたる「甲子」の日(年)にはじめたことは、良い運気や流れを持ち続け、発展していくと考えられてきました。
わたしたちは「甲子」の精神に基づき、ひとつの言葉を掲げます。
はじまりに、いろどりを。
宴が幕を開けるとき、季節が変わり新たな生活が訪れるとき、心躍るその体験のはじまりを、いつも鮮やかに彩る日本酒・酒蔵でありたい。
「甲子」に込めた想いを、私たちの商品、私たちの場を通してお届けしていきます。
「 甲子 純米吟醸 はなやか 匠の香」
アルコール度数:16%
原料米:山田錦/五百万石 58%
日本酒度:-2.5
お薦めの飲み方:冷やまたは常温
おすすめのペアリング:白身魚や海老、帆立など魚介類を使用した料理や淡白な味付けの料理
静かに挑み、鮮やかに香る
―酒造りで心がけていることは?
杜氏兼工場長の川口幸一を中心に、5名の蔵人によって醸される甲子。日本酒という製品に真摯に向き合い、製法、味わい、見た目にもこだわっており、他社とはひと味違う魅力を醸し出しています。
伝統的な酒造りの手法を守るとともに、常に新しいタイプの酒造りにチャレンジする気持ちも忘れません。型にとらわれず、現代の食や嗜好にあった酒造りをめざしています。
弊社の日本酒は、発酵時に生じる二酸化炭素ガスのガス感がそのまま残っており、フレッシュな飲み口が特長です。また、ボトルや酒票(ラベル)なども、モダンなイメージを大切にしています。商品パッケージを見ただけでも、「他の日本酒とは違うな」と感じていただけると思います。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
飯沼本家では日本酒の魅力を多くの人に知ってもらうため、「開かれた観光蔵」というコンセプトを提唱しています。
日本酒を楽しんで頂くための敷地の活用(カフェやキャンプ場、飲食店)やイベント開催(田植え・稲狩り体験、ブルーベリー狩り、新酒祭や大試飲会)に取り組んでいます。
酒々井は文字通り『酒の井戸』が由来の町。酒という文字がついている町は、日本で2つしかありません。飯沼本家が発展すれば酒々井が発展し、酒々井が発展すれば飯沼本家が発展する。そんな相互関係を大切にしたいと考えています。
一般向け酒蔵見学の期間:10月~12月、3月~4月頃まで ※1~2月は休み
今回ご紹介した酒蔵について
【千葉県】
株式会社飯沼本家
千葉県印旛郡酒々井町馬橋106
https://www.iinumahonke.co.jp/