今年で20回目を迎えた「東京―北京フォーラム」。これまでどのような対話が行われてきた?
7月19日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーで、特定非営利活動法人 言論NPO代表・工藤泰志氏を招き、「東京―北京フォーラム」での中国との対話について話を伺った。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「民間シンクタンクとして世界の知識人たちと意見交換を続けてきた言論NPOですけれども、中でも『東京-北京フォーラム』であるとか『北京―東京フォーラム』という形で中国との対話を続けてきたのが工藤さんでありまして。その工藤代表が先週、中国を訪問してきたということで、その辺りの報告も含めて今日はお話を伺っていきましょう」
長野智子「今回の中国の訪問はどういう目的だったんですか?」
工藤泰志「交渉に行ったんですね。あの中国と対話するわけで大変だったんですが。政府間外交もほとんど断絶っていう時期も何年もあったし。ただ、どうしても対話したいと思ったので、20年間、何が何でも(東京-北京フォーラムを)続けたんですね。ただ10年ごと契約していたんですね。で、今年20年目なんで、次の調印をしなければいけないわけなんですが、我々としてはなんとしても、この対話をここで終わらせたくないので、もう1回やりたいと思っているんですが、それを中国は本当にやる気があるのか、それを交渉に行ったんですね。真剣でした」
長野「それは、その結果とか伺っていいものなんですか?」
工藤「はい、大丈夫ですよ。いや、結果としてOKになったんですが、ただ5日間いたんですが、全然ダメで。最後の日の帰る間際になって『次の調印を行うことを賛同する準備を始めたい』というメッセージが届いたっていうことだったので、最後までハラハラだったんですね。で、我々は今まで20年やってきたけど、延長して対話をやりたいと思ってないんですよ。いまこんなに世界が大変だし、中国の状況もおかしいし、そうなってくるとやっぱり新しい対話を作りたいと。そのことを中国側に呼びかけていったんですね。ただ、ひょっとしてダメかなとも思ったのですが、最後に『OK』ってきたので、もうギリギリ」
長野「先方はどういうレベルの方なんですか?」
工藤「中国の民間の対話外交っていっても、民間ってないわけですね。だからメディアの巨大な組織がカウンターになるわけですが、その上には中国政府や共産党があるわけですね。それとカウンターの人たちは自分で決められないから、上に相談するんですね。たぶん上に相談して、答えが出なかったんだと思うんですね。で、最後に(返事が)きたので。ようやく中国は指導部としてもこの対話を認めたんだなと、責任感じてますね」
長野「先細っている日本との対話の中で、このパイプを持っておこうと?」
工藤「そうなんですよ。これがよくわからないんですよ、私も。我々は友好っていう言葉を使ってないんでね。もう喧嘩なんですよ。喧嘩で議論してやってるんだけど『なぜOKなんだ?』ってみんな言うんですね。ただ、我々の喧嘩には意味があるんですね。このアジアとか世界のために何かできないかとか、お互いの困難を乗り越えないか、っていうことを絶対譲れずにやってきたんですね、20年」
長野「たとえばどんなテーマが?」
工藤「尖閣諸島。尖閣諸島で戦争になりかけたときに、中国の軍関係と日本の軍関係を集めて会にしたんですよ、あれは東京でやったんですけども。喧嘩だったんですね、日本と中国が。でも、そのうちに日本と中国の軍関係の人たちが『我々は何のためにここに来たんだ?』と。『喧嘩のためじゃないじゃないか』と。『我々は解決のためにここに来たんだ』とか言ってるんですよ、本当に」
長野「それは理想的な議論の形ですね」
工藤「感動しましたよ。そういう対話が成り立つんですよ、あの中国と。本気になれば」