「年収2,000万円の生活が手放せない…」浮気夫と我慢して暮らす44歳バリキャリ女性の分岐点【冷酷と激情のあいだ〜女性編~】
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
【冷酷と激情のあいだ〜女性編~】
44歳、事実婚8年目
44歳の茜さん(仮名)は、4歳年上の夫のヒロツグさん(仮名)と事実婚8年目を迎えました。
ふたりとも結婚当初から子どもを望まなかったことから、共働きのフルタイムで経済的に安定する結婚生活を第一に考えて、生活してきたそう。
しかし茜さんは、ヒロツグさんの“ある癖”に長年にわたり悩まされてきました。
浮気癖に悩む日々
「夫は、とにかく浮気癖がすごいんです。
最初に浮気がわかったのは結婚して2年目に入った頃。相手の女性が思い詰めた様子で家に訪ねてきて、裏切りがわかりました。
すったもんだのドロ沼に発展した挙句、別れずに事実婚を継続しましたが…、それからも私が知っているだけで3回も浮気をしています」
コロナ禍の期間中はヒロツグさんの浮気癖は収まっていて、茜さんは「この感じなら、事実婚を継続しても大丈夫だろう」と判断していたそうですが…。
ここへきて再びヒロツグさんの浮気がわかり、夫婦関係を継続するべきか真剣に迷っていると話します。
体力の衰えを痛感
「これまで離婚をしなかったのは、経済的な面を優先してきたから。いわゆるパワーカップルって言うんですかね?
お互いに年収は1,000万円ほどありますから、日々の生活は恵まれているほうだと思います。
だけど私は40代に入ってから、以前ほど体力がなくなっていて…。今までのようにガツガツと働く自信がなくなりました。
だから本音では、そろそろ仕事をセーブしつつ、収入もこれまでの半分くらいの仕事に転職したほうが、カラダのためにはいいんじゃないかなって思っているんです。
でも、そうなると離婚をした途端に生活水準を下げなくちゃいけないでしょう? それがイヤで、このまま一緒に暮らすべきかを真剣に迷っています。
夫は、現在進行形で浮気を続けているんですけどね」
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夫は浮気の反省ゼロ
茜さんと夫とは、すでに何年も前からレス状態で、お互いに相手との肉体的なつながりは求めていないそう。それもあって茜さんは夫の浮気をたびたび許してきたと言います。
しかし40代半ばに差し掛かっている今は「浮気性の男に嫌悪感を抱きながら生活をするか、生活水準を下げてでも快適でストレスのない生活をするか」の二択で悩んでいます。
「答えが出ない理由のひとつには、夫が浮気について反省していないところにもあります。
彼にとって、浮気はあくまでも“遊び”。だから妻である私が気を揉む必要はないというスタンスなんですよ。今どき、こんな昭和っぽい価値観の男もいるんですねぇ…。
私は現代の価値観を大事にしたいタイプなので理解できません」
許せない。けれど離婚を決められない
茜さんは、夫の顔を見るとうんざりする日も増えてきているそう。ため息まじりに、自分の決断力のなさを嘆きます。
「でも生活水準をスパッと下げる勇気も出ないから、結局は今の暮らしをズルズルと続けてきちゃった。
そうは言っても、これ以上の先延ばしはダメですよね。50歳になってから環境を変えるのって、今よりもしんどいんだろうなって気がするんです。
だからぼちぼち、はっきりと決断をしたいんですけどねぇ…。
夫の考え方がイマイチわからないのもあって、離婚するだけの原動力が見つからない。時間を無駄に過ごしているのではと、焦りだけが募ります」
気力はあっても、体力が失われつつあると痛感していると話す茜さん。コロナ禍が明けてからも、バイタリティが湧いてこない自分にも戸惑っているそうです。
以前なら、浮気男を見限って、すぐに新生活へと切り替えられたのにと感じているのだとか…。
◇ ◇ ◇
では、夫であるヒロツグさんは夫婦関係をどう捉えているのでしょうか。次回に続きます。
(並木まき/ライター・エディター)