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SCANDAL ガールズバンドならではの華やかかつキュートな魅力と、音楽そのもので勝負するライブバンドとしての底力を見せつけた東京公演をレポート

SPICE

SCANDAL

SCANDAL TOUR 2025 “LOVE, SPARK, JOY!”
2025.04.05 Zepp DiverCity (TOKYO)

「めっちゃ熱かった、今日! 楽しかったですか? 私たちはめっちゃ楽しかった!」

アンコールを求める観客に応え、メンバーたちが再びステージに戻ってきたとき、HARUNA(Vo, Gt)が思わず言った、その第一声がこの日のライブの成果を物語っていた。

3月5日にリリースしたEP『LOVE, SPARK, JOY!』をひっさげ、全国各地のライブハウスとホールを回ってきた『SCANDAL TOUR 2025 LOVE, SPARK, JOY!』の、本来だったらファイナルになるはずだった4月5日(土)の東京・ZeppDiveriCity公演。

HARUNA(Vo, Gt)

「振替公演ができて、6月まで(ツアーが)続くことになりました! 楽しみが増えちゃった」とHARUNAは言ったが、そのHARUNAをはじめとするメンバーたちも、そして彼女たちと対峙する観客ともに、これがファイナルだと思いながらライブに臨んでいることは明らかだった。ソールドアウト公演となった会場が一つになって、目指すのは完全燃焼だ。

とにかく観客の熱狂が尋常ではなかった。2階席で見ていると、空調がききすぎていると思うことが多いZepp DiverCityで、ここまで暑いと感じたのは初めてだったかもしれない。

1曲目の……いや、振替公演を楽しみにしている人もいると思うから、ネタバレは避けよう。その1曲目が始まってすぐ、「東京!」とコールしたHARUNAに対して、「ウォー!」と割れんばかりの歓声が沸き、そのまま拳を振りながらの「オイ! オイ! オイ! オイ!」というコールに変わる。そして、そこから曲を繋げていくバンドに応え、観客はハンドクラップ、ジャンプ、ワイプも交えながら会場を揺らしていった。

曲と曲の間もメンバーの名前を呼ぶ声が止まらない。

MAMI(Gt,Vo)

「いつだって一公演一公演、大事にやっているけど、ファイナルは特別な感じがしちゃう。その感じは、みんなからも伝ってきてる。手の振り方がすごい。ここからはそれ以上のパワーを思いっきりぶつけてください。私たちもタイトル通り思いっきりハジけたいと思います!」(HARUNA)

序盤からすでにクライマックスなんじゃないかと思える盛り上がりが生まれていたが、観客の気持ちにさらに火をつけたのが前掲のHARUNAの言葉と、歌謡ロックンロール調の「LOVE SURVIVE」をはじめ、4人がたたみかけていったアップテンポのキラーチューンの数々だ。

HARUNA、MAMI(Gt,Vo)、TOMOMI(Ba,Vo)――フロントの3人がステップを踏みながら演奏したダンスポップナンバー「テイクミーアウト」から、RINA(Dr,Vo)のカウントで繋げた「瞬間センチメンタル」では、HARUNAがマイクをオフって、サビを丸々、観客に歌わせながら、その歌声を響き渡らせるという心憎い演出も。それができるのは、観客のことを信頼しているからこそだが、その信頼は彼女たちがライブを重ね、一回一回、観客の気持ちをしっかりと掴みながら作り上げてきたものであることは言うまでもないだろう。

「最高だね! 今日、みんなかっこよ。ほんとにかっこいいと思っちゃった!」というHARUNAの言葉からは、思いきりハジけるバンドとともにライブを作り上げる観客がSCANDALのメンバーたちにとって誇りであることが窺える。

TOMOMI(Ba,Vo)

この日、2時間にわたって、『LOVE, SPARK, JOY!』の全4曲を含む新旧の19曲を披露しながら、SCANDALが見せつけたのは、音楽そのもので勝負するライブバンドとしての底力。しかも、それをガールズバンドならではの華やかかつキュートな魅力も絶対欠かせない自分たちらしさとして、ともに見せるのだから、バンドとしての在り方はもはや唯一無二と言ってもいいのでは。

ディレイを掛け、音色を際立たせたイントロの単音リフ以上に、歪みをきつめに掛けながらMAMIが鳴らしたバッキングのコードストロークが印象的だった『LOVE, SPARK, JOY!』収録のメランコリックなポップソング「Soundly」をはじめ、中盤は序盤から一転、テンポを落として、曲に滲むメランコリーをじっくりと味わわせる。

同期でシンセを鳴らしながら、浮遊感のある音像を作ったセンチメンタルな「eternal」、メランコリックなメロディをファンキーなサウンドに落とし込んだ「ハイライトの中で僕らずっと」。そして、エモいギターロックナンバー「HARUKAZE」では、メランコリーにポジティブなフィーリングを滲ませながら、じわじわと温度を上げていく4人の演奏に観客が声を上げ、いつしかハンドクラップが始まった。それもまた、ライブならではの光景だ。

「3人に出会えてよかったと思えたツアーでした」と今回のツアーを振り返りながら、「ここからは目指せ結成20周年。ここに来てくれた人たちは来年、絶対(20周年を)一緒に迎えてくれるんだろうなと安心感もありつつ、絶対離さないぞという気持ちにもなっているので、来年は何かでっかいことをやりましょう!」とHARUNAが語った抱負が観客を沸かせてからなだれこんだ終盤戦。クライマックスにふさわしい盛り上がりを作ったという意味では、コール&レスポンスを交えながら、「ジャンプも声ももっと行こう! 東京、もっと! もっと!」とHARUNAが観客を煽った歌謡ファンクなロックンロール「EVERYBODY SAY YEAH!」、あるいはタオルを回しながら会場が一つになったノスタルジックなポップナンバー「太陽と君が描くSTORY」が見どころだったのかもしれないが、ライブバンドとしてのポテンシャルを印象づけるという意味では、『LOVE, SPARK, JOY!』収録のファンキーなポップナンバー「どうかしてるって」を忘れることはできない。

RINA(Dr,Vo)

バッキングのフレーズをトレブリーに鳴らすMAMI、ファンキーなリズムを刻みながらフレーズを重低音でうねらせるTOMOMI、挑発的にキメを加えるRINA――ハジけるようなHARUNAの歌声を含め、ポップな曲調とは裏腹に音源よりもアグレッシブな音像が前述したクライマックスにふさわしい盛り上がりを作り出すための起爆剤になったことはまちがいない。しかも、それが最新EPからの曲というところが頼もしいではないか。

因みに、この日、「EVERYBODY SAY YEAH!」のイントロでパワフルなサウンドをアピールした自身2本目のシグネチャーモデル、HARUNA TELECASTERだけをプレイしたHARUNAをはじめ、棹隊の3人のギターおよびベースの持ち替えが以前に比べ、減ってきたように感じられたが、それは彼女たちの鳴らしたい音がこの数年、さらに研ぎ澄まされてきたからだろうと今更ながらに思ったりも。

8月21日に大阪・なんばHatchで『SCANDAL 19th Anniversary Live “真夏のキラーチューン祭り“』を、RINA曰く「過去一ヤバいセットリストで」開催することを発表して、観客に声を上げさせてからのアンコールは、再び観客のシンガロングを響き渡らせた「SCANDAL BABY」他のキラーチューンを披露して、本編に負けない盛り上がりを作り上げる。そして、ライブは熱狂が醒めないままエンディングを迎えたが、8月21日のライブを、結成19周年ではなく、「20年目のスタート」と言ったRINAの言葉をはじめ、振替公演を残しながら、4人の気持ちが結成20周年、そしてその先に向かって、すでに走り出していることを確信させるライブだったことを最後に記しておきたい。

結成20周年を1年後に控え、いま、SCANDALはバンドとして絶好調と言える状態にあるようだ。

取材・文=山口智男 撮影=Takeshi Yao

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