猫の『鼻の色』は変わることがある!?考えられる原因3選 そもそも鼻の色は何パターン?
1.心理状態
まずは、猫の鼻の色にはどんなものがあるのか、簡単に確認しておきましょう。猫の鼻の色は、大きく分けて5つのタイプに分かれています。
猫の鼻でみなさんがパッと思いつくのは、艶やかなピンク色の鼻かもしれません。ピンク色の鼻と言えば、白猫(鼻まわりが白い毛の猫も)が代表格です。
茶色やオレンジ色の鼻はキジトラやサバトラ、茶トラ柄の猫に多く、白黒猫や三毛猫、サビ猫にはまだら模様の鼻を持っている子もいます。
ちなみに、黒猫は黒い鼻、グレー猫は灰色の鼻といったように、被毛の色と鼻の色が一致するパターンもあります。
では、猫の鼻の色が変わるのは、いったいなぜなのでしょうか?
実は、猫の鼻は、心理状態によってさまざまに変化します。
わかりやすく白猫の鼻を例に挙げれば、通常時は光沢のあるピンクですが、おもちゃ遊びなどで興奮状態になると、血行が促進され、赤みがかってきます。逆に、爪切りなどの苦手なことを強いられたときは、色を失ったかのように、白っぽく変わることもあります。
つまり、激高したら真っ赤に染まり、恐怖に怯えたら青ざめる人間の顔色と同じで、興奮したり、極度に緊張したり、感情の浮き沈みによって血流も変化するため猫の鼻の色も変化するということです。
2.成長過程や老化によっても変化する
2つ目の要因として考えられるのは、成長過程や老化現象による変化です。
猫の鼻の色を決める要素は、メラニン色素の量です。被毛の色と同じように、メラニン色素の量が多ければ多いほど、色合いが濃くなります。
子猫の鼻の色が薄いピンクになりがちなのは、メラニン色素の生成がまだ十分に発達していないからです。成長するにつれて、メラニン色素の生成が活発化すると、鼻の色味がだんだん増していくこともあります。
一方、シニア猫の場合では、色素沈着のために、鼻の色が濃くなってしまう場合があります。色素沈着とは、メラニン色素の過剰な増加によって、皮膚の色が濃くなること。人間のシミと同様に、加齢だけでなく、紫外線などの要因も関わっています。
同じシニア猫でも、鼻の色が薄くなるケースもありますが、次項でも説明する貧血を除けば、ほとんどは老化による結果であり、特別に心配する必要はありません。
3.貧血や扁平上皮癌などの可能性も
前述した通り、猫の鼻の色が変わる過程には、心理状態や成長度合いなどが深く影響していますが、なかには、病気を疑ったほうがいい例もあります。
たとえば、貧血状態に陥った猫は、鼻が白っぽくなったり、歯茎や唇の色が薄くなったりします。貧血の原因には、ケガによる出血や寄生虫感染、タマネギ中毒、慢性腎臓病などが挙げられます。
もうひとつ注意したいのは、「扁平上皮癌」の可能性です。
「扁平上皮癌」は、扁平上皮(皮膚や粘膜の表層部分)にできる悪性腫瘍で、初期段階では抜け毛や皮膚炎として表れますが、病状が悪化するにつれて、黒いかさぶたや赤い潰瘍が生じる場合があります。口腔内をはじめ、顔、鼻、耳などの部位に起こりやすい病気です。
このほかにも、猫の鼻の色が赤くなる例としては、「好酸球性肉芽腫症候群」や「肥満細胞腫」などの病気があります。
興奮状態や老化の理由以外で、愛猫の鼻の色が変わり始めたら、念のために動物病院に相談し、適切な処置を受けてもらってください。
まとめ
かわいい尽くしの猫のなかにあっても、その可憐な鼻はひときわ魅力を放つ部位です。
今回は、猫の鼻の色が変わる理由として、「心理状態」「成長過程や老化現象」「貧血や扁平上皮癌などの病気」を取り上げました。
本文でも述べた通り、たとえ愛猫の鼻の色が変わっても、気持ちの変化や加齢によるものなので、心配するケースはごくまれです。もし万が一、深刻な病気の兆候が表れた際は、ただちに愛猫を動物病院に連れていってあげてください。
愛猫の健康を守るためにも、日頃から細やかな観察を通して、微妙な変化に気づけるようにしておきましょう。
(獣医師監修:葛野莉奈)