「熟年離婚」のその後…親子関係が壊れないためには?経験者たちに聞いた #2「引け目もやっぱりあるから…」
40代後半や50代に入ってから選択する「熟年離婚」は、子どもがいてもすでに社会人として自立している場合が多く、「迷惑をかけない」と思えることが、決断の後押しをすることもあります。
それでも、子にとって親の離婚は無関係ではなく、離婚自体に反対だったり、独身となった親たちとどう関わっていいかわからず悩んだりするケースも、少なくないと感じます。
熟年離婚の後、子どもの葛藤とどう向き合ったのか、親子関係が上手くいっている人たちのリアルをご紹介します。
「身内で自営業をしている義実家とはずっと上手くいっておらず、会社員の私を馬鹿にする夫とも、そのうち離婚しようと思っていました。
我慢したのは娘たちのためで、『俺たちの店がなかったら進学もさせてやれない』と収入をひけらかす父親に、娘たちもいい感情はなかったと思います。
次女が就職で県外に行ってから離婚の準備を進め、娘たちにも話していました。
離婚後は市内にある実家に戻るからと伝えたら、『帰省したらおばあちゃんに会えるね』とふたりが言ってくれてうれしかったです。
離婚を切り出したら、やはり夫は『養ってやったのに、恩を仇で返すのか』と義母たちの世話をしないことを責めてきましたが、『お金があるならヘルパーを雇えるでしょ』『娘たちも賛成しているから』と返したらさすがにショックを受けているようでしたね。
家を出てから娘たちは夫と話しておらず、そのことも私のせいだと言われていたので、溜飲が下がる思いがしました。
急いで離婚しなくてもまずは別居でいいと思っていたので、荷物をまとめて家を出たときは本当に心が軽かったです。
結局、向こうの身内が出てきて財産分与を迫り、その後、自分の資産も持っていかれると気付いた夫は早々に離婚届を渡したいと言い出して笑いました。
このことを娘たちに話したら『うわ』と引いていましたが、『私たちへのお年玉もケチってたもんね』と笑ってくれて、離婚後はやっぱり元夫とは連絡を取り合っていないようです。
長女が『三人でご飯を食べようね』と言ってくれて、今度こそ親子関係をやり直せると、ふたりの気持ちを大切にしようと思います。
逆に言えば、ふたりからすれば頼れる親は私だけになったのも同然で、これからもしっかりと支えていくのが私の役目です。
お金の管理や仕事のことなど、娘たちとはなるべく話す時間を取るようにしています。
大きくなってから片親になってしまった引け目もやっぱりあるし、今まで以上にコミュニケーションを意識していきたいです」(女性/50代/総務)
身勝手が過ぎて、子どもたちからも遠ざけられる親は決して少なくありません。
それでも子どもたちに家庭を選ぶ力はなく、耐えてきた反動が離婚後には出ると感じます。
父親を抜いて母娘三人でこれからを楽しんでいこうとするのは、子が生き方を選択できる大人になったからといえます。
親子関係をやり直せるきっかけも、熟年離婚にはあるのですね。
(ハピママ*/弘田 香)