冬の高校スポーツ全国大会 駅伝女子 成長の軌跡を都大路で示す大分東明 【大分県】
女子駅伝の大分東明は、けが人を抱えながらも全国高校駅伝(都大路)の県予選を乗り越え、ようやくフルメンバーがそろいつつある。選手たちの士気が高まる中、藤井裕也監督は選手たちにこう語りかける。「自分のために走ることが、結果的にチームのためになる」。この一言には、選手それぞれが自立し、自分の役割を果たすことの大切さが込められている。藤井監督は選手に自主性を求め、自分で日々のコンディション調整を行うよう促している。
とはいえ、練習中はアドバイスを送るなど細やかに選手に目を配る。監督として選手に寄り添い、「スポーツ選手としての本質を見失うな」と繰り返し伝える。礼儀作法や学校生活の基本を守ること。それは競技者としてだけではなく、高校生としてのあるべき姿だと説く。小さな行動をごまかしなく日々積み重ねることが、やがて大きな成果に繋がるのだと、藤井監督は熱心に語る。
県予選では少数精鋭で都大路の切符をつかんだ
選手たちはこの教えを胸に刻み、ウオーミングアップやジョギング、ペース走など、日々の練習に真剣に取り組んでいる。練習の意味を一つ一つ問い直し、「何のための練習か」を考えることで、ただ指示を受けて動くだけの選手から、自己を見つめ直し成長を遂げる選手へと変わりつつある。その成果を象徴するのが、1年生の柴田歌音だ。入学当初はけがに苦しんだが、原因を深く考え、生活リズムを正すことで成績を伸ばしてきた。「なぜけがをしたのかを考え直し、自分を見つめ直した」(柴田)。県予選ではメンバー入りを果たせなかったものの、「ずっと憧れていた場所。走ってみたい」という都大路への強い思いを抱きながら日々成長している。
2週間前には、都大路のコースをチーム全員で試走し、コースの特徴を肌で感じ取った。昨年は1区でトップとなる選手がいたが、今年は目立ったエースこそいないものの、チーム全体の総合力は確実に向上している。選手たちの表情には昨年の17位という結果を超えたいという強い意志が浮かぶ。「昨年を上回る成績を」と選手たちの心は一つだ。
昨年の17位超えを目指す
(柚野真也)