神奈川県議会 新議長に長田氏 海老名から145年ぶり
神奈川県議会の本会議が5月22日に開催され、海老名市選出の長田進治氏(自民・5期)が第118代県議会議長に選出された。県議会で海老名の議員が議長が選ばれたのは、確認できる限り明治初め以来145年ぶり。副議長には同じく県央地域で大和市選出の谷口和史氏(公明・4期)が選ばれた。慣例による任期はいずれも1年間となる。
長田氏は海老名市議を経て、2007年に県議に初当選し現在5期目。議会運営委員会委員長や予算委員会委員長、自民党県議団団長などを歴任しており、23年の改選後は議長の有力候補とされていた。
古い記録のため県議会議会局でも詳細を確認できないが、複数の関係者の話によると、現在の海老名市域出身では、1880(明治13)年から1年間、第3代議長を務めた、今福元頴(もとひで)以来の議長輩出となる。
今福は、明治12年に県議に当選。自由民権運動の最前列で国会開設の署名集めに奔走した。政界引退後も、大洪水で被害を受けた中新田の堤防修復工事の出納責任者を務めるなど、地元に大きな足跡を残した。
県央地域の広域連携も
22日の本会議で議長に選出された長田氏は議場で、全議員の前であいさつに登壇した。
長田氏は「921万県民の負託を心に刻み、臆することなく重責を果たしていく」と述べた上で、「頻発する大規模災害への備え、物価高騰への対応、地域経済の発展、脱炭素社会など持続可能な社会の実現など、引き続き課題が山積している」と指摘。「県議会としても、全力で諸課題に対応すべき審議や必要な提言をしていきたい」と抱負を述べた。
さらに、今年11月に日本で初開催される「東京2025デフリンピック」を引き合いに出し、「今年は県手話言語条例の施行から10年の節目となる。障害のあるすべての方々が暮らしやすい『ともに生きる社会かながわ』の実現に向けた取り組みを皆さんとさらに進めていきたい」と、障害者福祉の推進に意欲を見せた。
本紙の取材に長田氏は「長年、議員を続けてきた中での一つの評価として大変うれしい」と喜びの言葉を口にする一方、「光栄なことだが、その喜び以上に責任がある」と気を引き締めた。新議長就任の抱負を語る中、県内の2工場も閉鎖候補となっている日産自動車(株)(横浜市西区)の問題にも触れ、「まだ不確定な要素が多いが、県内の2大工場が閉鎖になると県内経済は大きな影響を受ける」とし、緊張感の高まりを口にした。
副議長が同じ県央地域から谷口県議が選出されたことには「あくまでも神奈川県全体のこと」と前置きしつつも、「同じ県央地域であることは、非常に心強い。ぜひこの県央地域の広域連携の役に立つことができれば」と思いを語った。
喜びの声も続々
地元から145年ぶりの議長が選出されたことに、関係者も喜びを語っている。長田氏の後援会長を務める伊田勝義さん(72)は「後援会長は私が3人目。歴代の会長さんをはじめ私や後援会役員の念願だったので喜びは隠せない。しかし、事の重大性に後援会としても責任の重さを感じている」と話す。
海老名市の内野優市長は「第118代神奈川県議会議長にご就任されたこと、心よりお祝い申し上げます。あわせて、大和市選出の谷口県議会議員が第119代副議長に就任され、県央地域にとっても大変意義深いことと存じます。県政のさらなる発展のためご尽力されることを心から期待しております」とコメントを寄せた。
有馬中学校同級生の神部保雄さん(59)は「議長就任、おめでとうございます。裏表のない性格で、クラスを引っ張るリーダータイプでした。中学生の頃から変わってないですね」と感慨深く話した。