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【静岡県の転出超過】なんと全国ワースト4!若者中心に首都圏へ人が流出...!県内の実情と地方創生の今後の展望に迫る!

アットエス

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡県の転出超過」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2025年2月18日放送)
(山田)今日は、静岡県の人口流出の話ですね。

実は昨日番組で、静岡県は現在、移住希望地ランキング年間4年連続1位というニュースを取り上げました。しかも令和5年度は、移住者数が2890人と過去最高だということで、「ようこそ静岡へ」なんて話をしていたんですが。

(橋本)移住先として人気なのは承知してます(笑)。ただ、やっぱり移住者に限ると、そんなに数は多くないんですよね。進学や就職、転勤で出ていく方がやっぱり多くて、移住者が多少増えても全体では入ってくる人数より出ていく人数の方が多いために、県の人口も減っていく一方だということです。

2月1日付朝刊1面の記事で紹介しましたが、総務省が公表した2024年の住民基本台帳人口移動報告によると、静岡県は、転出者が転入者を上回る転出超過が前年より1117人増えて7271人となり、3年連続で拡大しました。都道府県別の転出超過数は、全国でワースト4位です。

静岡県への転入者が5万6379人だったのに対し、転出は6万3650人で、特に本県と東京圏との移動では7485人の転出超過で、前年から676人増えたということです。

年代別で見ると、20〜24歳の転出超過が最多で、4473人でした。以前から指摘されていますが、静岡県から進学や就職を機に首都圏に流出する若者が多いということがはっきり表れていると言えます。

(山田)静岡県が全国ワースト4位というのは、ちょっと心配というか、悲しくなりますね。

(橋本)ただ、注意しないといけないのは、このデータは住民登録している外国人の移動も含めた数字なんです。日本人だけに限ると、本県の転出超過は前年比935人増の7695人で、全国最多でした。

県内に進学先や就職先が少ない、あるいは若者が、首都圏の進学先や就職先をより魅力的に感じてしまっているというのは、この数字から見ると間違いないんだろうなと思います。

(山田)一つは大学ですよね。あと、静岡にもたくさんいい企業はあるのに皆さんに知られていないことが多いのかなと、個人的には感じています。

(橋本)そうですね。やはり、職種や企業そのものの数は圧倒的に首都圏の方が多いので、地元に企業があっても首都圏の有名企業の方に目を向けてしまうことはやむを得ないところがあると思います。ただ、転出防止策という面では、その辺りが鍵になってくるのではないかと思いますね。

外国人の転入者数は多い

(橋本)一方で、今回、総務省は国内移動だけではなく、国外からの転入と国外への転出を含めた社会増減についても発表しました。それを加味すると、静岡県の増減は1209人減ということです。国内だけでの移動を見ると7000人以上の転出超過になるんですが、外国から入ってくる方が多いということです。

(山田)そういうことか。

(橋本)それを差し引くと、減ってはいるんだけど、減り方がだいぶ少なくなるということになります。

外国人の海外からの転入増というのは静岡県に限ったことではないですよね。中には、外国人の転入が多いために全体でも転入超過になったという自治体もあります。日本に入ってくる外国人労働者の増加が全国的に影響していると考えられます。

(山田)首都圏にみんな集中するのはわかるんですが、「リモートワークもできるから」とか「静岡は東京近いから」っていう理由で、東京一極集中にブレーキがかかったみたいな話も一時期ありましたよね。

(橋本)そうですね。内閣府の資料を見ますと、2020年の7月から21年2月までは東京都の転出超過が続いたという時期がありました。

(山田)これ、コロナ禍ですよ。

(橋本)「とにかく出勤しないように」「リモート勤務にするように」などと指示を出していた企業も多かったですからね。リモート勤務で出社しなくて済むようになって、地方のゆとりある空間や時間の中で生活したいという人が増えたということもあったと思います。当時の新聞記事を見ると、「この流れは、もうそう簡単に変わらないのではないか」という専門家のコメントも載っていました。

当時は、コロナはいつどのような形で収束するのか全くわからない時期だったので、専門家の方がそうしたコメントをしたのも致し方ないのかなとも思います。ただ、こうしてコロナ禍が収束してみると、東京一極集中に戻るのも早かったなと私は感じています。

(山田)早いですよね。

(橋本)あれだけ推奨していたリモート勤務をやめさせ、出社を義務付けた企業もあります。日常生活がコロナ禍前に戻りつつあるということはいいと思うんですが、東京一極集中の流れが変わるんじゃないかと期待した地方としては、残念な状況かもしれませんね。

(山田)ということは、あの頃静岡に住んでリモートで働いていた人はまた東京へ戻って、バリバリ仕事してるわけですよね。

(橋本)そういうこともあるかもしれませんね。新幹線通勤している人もいるし、企業側が、リモートをすべてやめるわけではなく一部認めているということもあるかもしれないので、全てが元通りではありませんが、やっぱりちょっと戻りが早かったなって感じますよね。

地方創生は、今後進むのか…?

(山田)東京一極集中にブレーキがかかると思いきや、再び、ということですが。一方で、石破総理は地方創生をアピールしていってるわけじゃないですか。ここでも矛盾が生じていますよね。

(橋本)石破さんは初代の地方創生担当大臣を務めたこともあり、地方創生に思い入れが強いことは間違いないとは思います。ただ、「地方創生2.0」と銘打ち、所信表明などでも力点を置いていましたが、まだ従来の延長線上のことをやっているという感じで、何か画期的な政策に取り組もうという感じは今のところはあまりないかなと思います。

今回、今後10年間の地方創生の基本構想をまとめるそうですが、そこで実際に効果のある政策が打ち出せるかどうかが夏の参院選にも影響する可能性があると思います。

(山田)なるほど。

(橋本)これまでの地方創生の状況を見ると、東京一極集中を転換するということについて、コロナ禍は影響しましたが、政策によって何か流れが大きく変わったという感じはありませんよね。だから、相当思い切ったことをしないと、この流れはなかなか止められないかなと思います。

(山田)地方創生って、やっぱり東京の協力がないとやれないことですよね。東京自体は、この一極集中に対してどう思ってるんですか。

(橋本)これは、いつも全国知事会で意見が対立するところですね。他の46都道府県が「東京一極集中を何とか国の課題として取り組まなきゃいけない」ということを提言しようとしても、それに対して東京都が反対することが多いというのが実情です。

(山田)東京都からしたら、人がたくさんいた方がいいと。でも、東京の協力なしでは課題解決は無理だということですね。

(橋本)そこのギャップを埋めていかないと、先ほど話したような効果的な政策というのは、なかなか打ち出せないのではないかと思います。

県内の働く場所・学ぶ場所の充実が、流失防止には必要!

(山田)あとは、国だけでなく静岡も、もっともっとこれに力を入れていかないと。

(橋本)ちょうど今は、今年の市や町など自治体の予算が発表される時期ですね。単純に県内へ入ってくる人を手厚く補助するだけでは、なかなか効果が薄いと思います。

並行して、働く場所、学ぶ場所を充実させる。あるいは住環境を向上させる。こうしたことをしっかりやっていくことが不可欠なのではないかと思いますね。

(山田)あと、外国人の増加についても、当然ウェルカムでいいことだとは思うんですが、いろいろ考えさせられる点もありますよね。

(橋本)そうですね。反対される方もまだいますしね。ただ、いろんなところで人手不足が深刻なのは事実です。

国民の理解があまり進んでいないにもかかわらず、外国人の方が来て働くという実態だけがどんどん先行してるって感じがします。そこは国が、目の前の状況だけ見て場当たり的な対応をしていては、そういう矛盾が大きくなっていくだけなので、これから先日本人の人口がどんどん減って現在の社会のあり方やシステムが維持が難しくなる中で、どのように外国人を受け入れ、日本人も外国人も幸せになれる社会を目指すのかというそういう全体像をまず考えて、国民の理解を得ながらそれに向けた施策を進めていくことが大事じゃないかと思います。

(山田)特に静岡県は県西部を中心に、元々外国人の方って多い地域じゃないですか。全国的に見ても、外国人と一緒に暮らすことには慣れてる方かなと僕は思います。

(橋本)浜松は特に、先進地と言われています。その経験を基に、静岡県内でももっと学んで充実させていくことも必要だろうし、これから外国人を受け入れる全国の自治体に紹介し、実例を見て改善してもらうっていうことも大事かなと思いますね。

(山田)本当に他人事じゃありません。静岡県人口流出はワースト4位ですからね。我々も考えていかなきゃいけないニュースだなと思いました。今日の勉強はこれでおしまい!

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