見どころも満載!JR吉永駅から「旧閑谷学校」まで歩いていってみた(備前市)
レトロなJR吉永駅(備前市)から3.5km。約50分の道のりには眺めのよい牛神さまに、かわいい町のパン屋さん。サクラいっぱいの大池公園など、見どころ満載です。石塀のウラ道から椿の花のトンネルまで。自分だけの「旧閑谷学校」に出会えますよ。
レトロな駅舎・JR吉永駅から出発
JR岡山駅から山陽本線で35分ほど。グリーンの瓦屋根のレトロな駅舎・JR吉永駅へ降りたちました。古いレールの跨線橋。どこか懐かしい駅前広場。「おっさんどこなら八塔寺」というモニュメントの謎が解けぬまま、見知らぬ町にさあ飛び出そう。今日も歩きはじめよう。
【JR吉永駅】
所在地:岡山県備前市吉永町吉永中465-1
クリーム色の看板建築
路地裏の小さな天満宮に、時がきざまれた土壁。ノスタルジックな装飾が、クリーム色した看板建築が、自然と町並みになじむ吉永町。駅周辺からすでにローカルな魅力がいっぱいです。
路傍のねこ
古い街道沿いを歩いていると、ふてぶてしい顔の猫が「JR吉永駅から備前市営バスも走りよるが」とでも言いた気に、じっとこちらを見ています。「閑谷まで歩きたい気分なのです」とご挨拶。どうも納得いかない表情ですが、黙って静かに見送ってくださいました。
メカラウロコパンヤ
カタカナ多めの旗がたなびく線路脇。かわいい町のパン屋「メカラウロコパンヤ」さんです。小さなお店ですが調理パンなどまで種類が豊富。歩いた後のご褒美用に、がっつり炭水化物の「ベーコンとみたらし団子パン」を買ってみました。「どんな味なんだろか」と、あたまにハテナを浮かべながらも歩みは止めず。
【メカラウロコパンヤ】
所在地:岡山県備前市吉永町吉永中357-4
TEL:0869-78-9009
花咲く田舎道
踏切をこえて吉永交差点へ。金剛川にかかる寺橋(てらはし)を渡るといよいよ山ルートがはじまります。幸先の良い紅白の梅。ゆれる菜の花。火の見櫓もたたずむ田舎道。角のコンビニ(ローソン備前吉永店)でしっかり水分などを確保して。ゆっくりゆっくり行きましょう。
フレットミルの石碑
県道261号線の道すがら、「県道拡張記念」と刻まれた石碑があらわれました。その奥の味わい深い建物は、どうやらクレー(ろう石)製造に古くから携わる工場のようです。つなぎ材として欠かせないクレーを粉砕するための石のローラーはこの町の産業・時代の象徴なんですね。
【県道拡張記念の碑】
所在地:岡山県備前市吉永町南方840-1(山陽クレー工業前)
松本寺理性院
ゆるやかに登っていく道沿いの左手、松尾山のふもとには白壁の寺院が。行基が建立したとされる「松本寺理性院(しょうほんじりしょういん)」です。竜宮造りの鐘楼門。どしりと風格ある本堂。細工も見事で見入ってしまいます。ヒノキ造りの薬師如来坐像は県の指定文化財なんだとか。
【松本寺理性院】
所在地:岡山県備前市吉永町南方1338
TEL:0869-84-2135
石垣の上へ
県道をうねうねと登って行くと、足もとにはムラサキ色の野の花。石垣の上には竹林と長い階段。いぶかしげに見上げていると「ぜひ登ってみて!」と地元の方が笑顔で勧めてくださいました。これは素通りするわけにはいきません。
南方の牛神さま
うねるような大木の門をくぐると、そこにはやさしいお顔の牛さんが。周りには小さな牛さんたちもずらりと座っています。さすが「田倉牛神社」で有名な吉永町。南方にもこんなかわいい牛神さまが祀られているんですね。階段の先にはさらに町が一望できる展望スペースも。教えてくださった地元の方に感謝です。
【南方の牛神さま】
所在地:岡山県備前市吉永町南方672付近
大池小池
傾斜がゆるやかになってきました。大池、小池。ため池が仲良くならんでいます。小さな滝や橋。またまたフレットミルの石碑など。水鳥たちをながめながら、深い緑色の池のまわりをゆっくりとお散歩できますよ。
芝生ひろば
大池のさらに先には、気持ちの良い芝生ひろばがありました。東屋でちょっと休憩したり。春の陽をあびて輝くように美しいしだれ桜をながめたり。「すぐそこと 言われて遠い 田舎道」。園内の句碑に思わずほっこりさせられたり。
大池公園
大池・小池から芝生ひろば、そして駐車場まで。大池一帯が大きな大きな公園になっていました。スパイスカレーが人気のカレー屋さんがあったり。季節ごとにマルシェなどのイベントも開催されたり。サクラ並木もとにかく見事な憩いの公園です。
【大池公園】
所在地:岡山県備前市吉永町南方1373-1
閑谷トンネル
閑谷トンネルに差しかかったら、いよいよ閑谷の気配。6体並んだ赤い帽子のおじぞうさんにも導かれ、左にある歩行者自転車専用道へ向かいましょう。レンガの煙突。苔むした木々。タイム・リープ気分で、時も超えそうなトンネルをくぐります。
【閑谷トンネル】(県道261号線)
所在地:岡山県備前市閑谷702-1付近
ウラ旧閑谷学校
ゆるやかな水路。新緑とヤマツツジ。トンネルの先は「旧閑谷学校」の資料館側へとつながっていました。JR吉永駅から約3.5km。徒歩約50分の行程ですが、今回はゆっくり楽しく歩いて1時間半。いよいよ「旧閑谷学校」が目の前に。
石塀のなかの旧閑谷学校
石塀(せきへい)のなかの神域・特別史跡「旧閑谷学校」です。めぐるめぐる石塀はめぐる。まるで巨大な龍がぐるりと取り囲んでいるようです。全長約765m。カマボコ型のフォルム。地下2m以上も築かれた基礎。味わい深さも存在感も圧倒的ですよ。
国宝の講堂
「現存する世界最古の庶民のための公立学校」。旧閑谷学校の象徴、国宝の講堂です。この大きな屋根の下で論語(孔子の言行録)が唱えられてきたんですね。磨きあげられてきた、ぴかぴかの床をその足で感じてください。そして差し込む光の美しさを感じてください。履物をぬごう。こころを解き放とう。
閑谷の山景色
孔子が祀られた聖廟から閑谷の山をただただ眺めました。冬と春と、花と木と。一枚の日本画のような静寂。時間の許す限り眺めていたい風景です。
椿のトンネル
春に閑谷を訪れたなら。閑谷神社の東隣、石塀のむこうにのびる椿山を忘れてはなりません。約400本とも言われるヤブツバキ。枝々が幾重にも折り重なるトンネルの先の墳丘には、池田光政の髪や歯が埋められているんだとか。
論語みくじ
子はなんとのたもうたか。こころして御籤(みくじ)をひらきましょう。この時代をわたしたちはどう生きるべきか。経営、哲学、自主、自立。人生のどんなシーンにも孔子の思想はなにかを教えてくれます。みたらし団子のパンはいつ食すべきか。「空腹では本質が見えませぬ」と、きっと答えてくれるかな?
ひとやすみ
シジュウカラの鳴き声をききながら、前庭のベンチで腹ごなしです。人生のように甘くしょっぱいパンを味わったら、歩こう。まだ見たことない岡山をみつけよう。八塔寺ふるさと村。和意谷。武元兄弟の生誕地。まだまだ未踏の地ばかりです!
【旧閑谷学校】
所在地:岡山県備前市閑谷784
TEL:0869-67-1436(史跡受付)
開門時間:9:00~17:00
休館日:12月29日~31日
入場料:大人400円、小中学生100円、65歳以上200円
駐車場:あり