しまさか(志麻&あほの坂田。)「我々と1つになりましょう」 “ミサ”がテーマの8度目のバースデーイベント・東京ガーデンシアター公演をレポート
【速報】しまさかでバースデーイベントやるってよwww >>8 Missa
2024.12.8 東京ガーデンシアター
12月に誕生日を迎えた浦島坂田船のメンバー・志麻(12月1日)とあほの坂田。(12月5日)。通称“しまさか”によるライブ『【速報】しまさかでバースデーイベントやるってよwww >>8 Missa』の東京公演が、12月8日・東京ガーデンシアターで開催された。6ヶ所で行われたツアーの折り返し地点となったこのライブの模様をレポートする。
タイトルに“Missa”が含まれていることが示す通り、今年のバースデーイベントのテーマはミサ。開演前のBGMは清らかなミサ曲だった。「間もなく教祖様によるありがたいお言葉のお時間です。皆様、お手元のともし火を消してお待ちください」というアナウンスの直後に荘厳なSEが鳴り響き、儀式のようなムードで包まれた東京ガーデンシアター。靴音を重々しく響かせながら志麻、あほの坂田。がステージに現われた。「ようこそ。紫魔叉炎教団 東京支部へ」「不安、孤独、苦痛。未来への恐れを感じます。恐れることはありません。あなたは1人ではない」「我々がついています」「手元のともし火を照らしなさい」……2人のありがたいお言葉を受け止めた観客が公式グッズ「紫魔叉炎教団ペンライト」を点灯すると、しまさかバースデー2024テーマソング「ジロティナブル」がスタートした。バンド演奏で彩られながら呪文のように繰り返される<ジロティナブル>という一節が、恍惚と興奮を誘ってやまない。続いて「ヒバナ」と「It's...Our Life?」も披露された時点で全観客が信者と化し、ステージ上の2人を崇拝していた。
「多分だけど、しまさか史上、最高キャパだぜ!」と、広い会場を見回して喜んでいた2人。「神って信じてる?」(志麻)「俺たちのことは信じてる? じゃあ祈るんだな、俺たちに」(あほの坂田。)――観客に問いかけてから「神っぽいな」「ウィキアリティ」「ワールズエンド・ダンスホール」「イドラのサーカス」が連発されたが、ダンスパフォーマンスも時折交えつつ響かせる声のコンビネーションが心地よい。それぞれが美声の持ち主だが、重ね合うと新たな輝きが生まれるのを感じた。「まだまだ全力出せてないんじゃないですか? 次の曲、俺らにぶつかってこい!」(志麻)「最大の盛り上がりにふさわしい曲を用意しました。全力で乗れますか? 信じてるぜ!」(あほの坂田。)――煽りの言葉を添えて雪崩れ込んだのは、しまさか初のオリジナル楽曲「ラストフレーズ」。観客の歌声が高まり続け、クライマックスの更新を重ねるかのようだった。
2人が一旦楽屋に戻ったインターバルは、『しまさかハモリ我慢選手権』のムービーが流れた。小学生のようなメイクと服装で「Dreamer」と「ラストフレーズ」を歌いながら、後方にいる合唱団のハモリのパートにつられないように必死でこらえていた志麻とあほの坂田。を観て観客は大爆笑。そんな幕間映像を経て再開されたライブの先陣をきったのは、志麻がソロで歌った「モエチャッカファイア」。続いて、あほの坂田。がソロで「プロポーズ」を披露した後に迎えた小休止。「でっかい場所、ありがとう! 独り占めしていいの?」と、1人でステージに立っていることに少し戸惑っていたあほの坂田。は、「もう1人の主役、みんなで呼ぶ? 俺、33歳になった。次来るやつ、35歳やから」と言いつつ志麻を呼び込んだ。スティックを使ったダンスパフォーマンスを繰り広げた「未完成ユートピア」。2人の歌声が熱く融け合った「二息歩行(Reloaded)」……やはり彼らのコンビネーションは最高だった。
来場者に配布された特典グッズ・会場別「紫魔叉炎教団会員証」に書かれている番号を選んで読み上げ、志麻リス(志麻ファンの呼称)と坂田家(あほの坂田。ファンの呼称)のどちらなのか問いかけていたMCタイム。女性ファンと男性ファンそれぞれに分かれて声を上げてもらう掛け合いも大いに盛り上がった。観客との平和なコミュニケーションを楽しみながら「宗教だね」「楽しい宗教(笑)」と2人は大喜びしていた。
和やかなひと時を経て後半戦に突入。しまさかバージョンによる「CRAZY BUNNY!!」。しまさかバースデー2024テーマソング第2弾「ダンサブリミア」の後、誕生日を祝した乾杯を挟んで、さらに曲が連発されていった。情熱的に歌い上げた「シャララ」。コール&レスポンスが盛り上がった「無駄≠無駄」。志麻がベース、あほの坂田。がギターを弾きながら歌った「曇天」。サングラスをかけた2人が力強くラップした「RED」。警棒を手にしながら響かせる歌声がサディスティックで艶めかしかった「My Sweet Prisoner」……強力なナンバーの連発によって本編は締めくくられた。
アンコールを求める声に応えてライフルを担いでステージに戻ってきたしまさか。ダークなムードをロマンチックに醸し出す「Black Knight」が観客をうっとりさせていた。そして記念撮影が行われた後、「楽しかったですか? 我々と1つになりましょう」(志麻)「今日一番を作ったら、“このライブ、よかった!”ってなると思うねんな。最後の力をお貸しください!」(あほの坂田。)――観客に呼びかけてからラストを飾ったのは「乱×銃」。レーザービームが飛び交う中、観客の大合唱がしまさかの歌に合流していく。アクティブに動きながら歌っていた2人の表情が活き活きとしている。観客もジャンプをしてエンディングを迎えた時、爽快な余韻が会場内に漂っていた。
「信者たちに軽く挨拶、略して“カルアイ”していきましょう」と言いつつも、全く軽くなかった“教祖”による挨拶。2人はあらゆる客席エリアに向かって心を込めて手を振り、投げキッスをしていた。そして、しまさか「今日はどうもありがとうございました!」→しまさか+観客「ジロティナブル! アイ(愛・哀)!」という謎の叫びと共に迎えた終演。肩を組みながらステージを後にした2人を拍手と歓声が見送った。
今年も見どころが満載だったしまさかバースデーイベント。“DeePrison”というタイトルを掲げた昨年は刑務所をモチーフとしていたが、今年の“Missa”も大いに楽しませてくれた。豊富なアイディアを全力で具現化する志麻、あほの坂田。は、まさしくエンターテイナーだ。今後も浦島坂田船での活動はもちろん、様々な形で我々を楽しませてくれるに違いない。
文=田中大
撮影=加藤千絵(CAPS)