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【奈良県 山下真知事 第2回】「女性が働く」価値観のアップデートは、県からやっていく!

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出産した後、育児の期間を経て復職するときに、夫の両親から理解を得られなかったという経験をした人はいませんか? 「男性は外で働くもの」「女性は家庭を守るもの」といった価値観は時代背景にも左右されるため、親世代から共働きに対して理解を得るのは難しいケースがあるのかもしれません。

奈良県庁では「まずは県から」と、固定的性別役割分担やその意識を払拭すべく取り組みを行っています。アンケート結果も含めて、価値観のアップデートに必要なことを山下真知事から教えていただきました。

※取材は2024年10月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

まだまだ昔の価値観が残る?奈良県の女性の就業事情

――第1回のインタビューで、県庁の職員の方が「子育てしながら働くことに自身や夫の両親から理解が得られなかったと涙ながらに話してくれた」という話を聞きました。県庁に限らず、奈良県ではこういうケースは多いのでしょうか。

山下真知事(以下、山下知事):大阪府などの大都市では核家族が多く共働きは一般的ですが、奈良県では夫が働き、妻は専業主婦という家庭も多くあります。自身や夫の両親から「家にいなさい」と言われるケースは、ひょっとしたら他府県よりも多いのかもしれません。2015年の調査では、「『夫が外で働き、妻が家を守る』との意識を持つ県民の割合」は、全国平均が44.2%であったのに対し、奈良県では50.4%で第1位でした。しかし今は、男女の役割分担に関する意識は若年層を中心に、男女ともに改善してきていると奈良県独自の調査でわかってきています。

――奈良県の共働きに関する価値観をアップデートするのに、県として行っていることはありますか?

山下知事:奈良県では、まずは県から働き方改革や意識の変革を行っていこうと「県庁の働き方・職場環境改革推進会議」を設置しました。メンバーは私や副知事、各部の部長で、6つのワーキンググループがあります。

そのひとつが「育休取得促進ワーキンググループ」です。ここでは男性・女性ともに育児休業取得を促進するべく取り組みをしています。まずは県庁での育児休業取得を促進し、それを実現したうえで、市町村の役場や民間企業にも呼びかけていく予定です。

もうひとつの特徴的な取り組みは、「ジェンダー平等推進プロジェクトチーム」です。県庁内の、性別によるアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)やジェンダーギャップをなくしていこうという取り組みをしています。

「女性がお茶くみしなければ」気にしているのはむしろ女性の方?

――ジェンダー平等への取り組みとは、たとえばどのようなことをされていますか?

山下知事:県庁内でアンコンシャス・バイアスについて意識調査を実施したことがあり、興味深い結果が出ています。たとえば「職場でのお茶出しや雑用は女性がするべきだという職場風土がある」と答えた人の割合は、女性が29.4%、男性が9.3%でした。この数字を見ると、男性は必ずしも、女性にお茶出しや雑用をさせたいわけではないということがわかります。男性側も期待していないけれども、女性側が「お茶出しや雑用をしないといけない」と思い行動している可能性もあります。しかしこれは、「そこまでしなくていいよ、お茶は各自淹れればいいよ」と、課長や係長など職場の長が声かけをすれば、だんだんと解消していく慣習ではないかと思うのです。まずはそういう声かけをぜひ管理職の人にしてもらうよう、呼びかけているとともに、アンコンシャス・バイアスやジェンダーギャップ解消についてさまざまな価値観を持って議論しています。

――上司の方に行動してもらえると組織内の雰囲気も変わりますね。忖度の傾向は女性に限ったことでしょうか。男性側にもありますか?

山下知事:男性の方にも、同じような傾向が見られます。同じアンケートで、「公用車で出張する際の運転は、男性がやるべきという雰囲気があると思うか」という設問に対し、「ある」と答えた人の割合は、女性よりも男性の方が多い結果となりました。これもまた男性側に、「車の運転は男性がするもの」という刷り込みに近い考え方があることを示唆しています。もちろん車の運転が得意な女性もいますから、役割を性別で固定せず、できる人が運転をするといいですよね。

県庁で実施したアンコンシャス・バイアスの意識調査については、市町村と教職員、企業にも同じような調査をしています。その結果は分析中ではありますが、奈良県全域で意識を変えていきたいですね。

(編集後記) 「求められる役割」を意識するあまり、男女の役割固定につながっているという、興味深いアンケート結果を教えていただきました。奈良県のみならず、全国でもあてはまる地域があるかもしれません。

※取材は2024年10月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

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