あなたの食事、今のままで大丈夫?無料でがんや脳卒中のリスクも分かり、すぐに結果を確認できる静岡県の「食と生活習慣チェック」とは?
アンケートに答えて10年後の病気リスクも見える化
今回は「食と生活習慣チェック」について、静岡社会健康医学大学院大学教授の山本精一郎さんに「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティーの鉄崎幹人、内野菜美が話を聞きました。
鉄崎:「食と生活習慣チェック」は大事なテーマですね。この調査は、具体的にどのような内容なのでしょうか?
山本:県立の静岡社会健康医学大学院大学という大学院だけの大学が中心となって行っているものです。静岡県と協力し、県民の食生活や健康状態を詳しく調査するために実施しています。
この大学は、静岡で働く医師や看護師、保健師、栄養士など、これからの医学を背負う人が修士の大学院で学び、また現場に戻って活躍するための社会人向けの大学院です。
鉄崎:プロがもう一度学び直す場なんですね。
内野:この「食と生活習慣チェック」は健康診断や人間ドックとは違うんですか?
山本:はい。健康診断では血圧測定や血液検査を行いますが、この調査は質問票によるアンケートで、例えばご飯や野菜を1日にどのくらい食べるか聞きます。
その結果から、食塩や油、野菜、カリウムの摂取量などが分かります。個人の健康状態というより食生活の状態が分かります。
食生活のリスクを赤・青・黄で分かりやすく提示
内野:アンケート形式なら気軽にできていいですね。ということで、私たちも事前に「食と生活習慣チェック」をやってみました。
鉄崎:そうなんです。
内野:山本さん、私たちの食習慣はどうでしたか?
山本:まず鉄崎さんですが、見たことがないような結果でした。
鉄崎:えぇ〜!何それ!どういうこと?
内野:大丈夫なんですか?(笑)
山本:結果は分かりやすく示すために、安全なら青、要注意は黄色、改善が必要でかなり悪い場合は赤と信号をイメージした結果が出ます。鉄崎さんは、赤と黄色ばかりでカラフルでした(笑)。
鉄崎:そんなカラフルはいらんのよ(笑)。
山本:具体的には、タンパク質や脂質、飽和脂肪酸、炭水化物、食物繊維、アルコール、食塩、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンC、葉酸など、項目ごとに「多い」「少ない」と判定されるのですが、鉄崎さんの結果はかなり色とりどりでした。
内野:うわぁ、偏ってる〜。
鉄崎:質問を受けながら、俺は偏っているなと感じていました。まず、肉をめっちゃ食べてるし、お酒も毎晩飲むし、タバコも毎日吸うし、これはやばいなぁと。
山本:それが結果に如実に出ました。回答するだけで、自分の食生活を見直すきっかけになる調査だと思います。ただ、回答時間は結構長かったですよね?
鉄崎:10分ちょいくらいかな。
山本:我々はいろいろなものを食べているので5〜6問で分かるわけないんです。
鉄崎:「緑黄色野菜はどのくらい食べていますか」「葉物野菜はどのくらいですか」といった具合に細かい質問内容なので、結果もくわしく出るんだろうと思っていました。僕の場合、どう改善すればいいのでしょうか?
山本:結果には改善方法やどんな病気につながるのかなどが書かれています。これを機にぜひお酒を減らしたり、どんな野菜をもっと摂ればいいかなどぜひ守っていただきたいです。
鉄崎:ありがとうございます。参考にします!
ダイエット中ということもわかってしまう
内野:私の結果はどうでしたか?
山本:内野さんは青が多くて鉄崎さんより良いのですが、全体的な摂取量が同じ年齢の女性と比べて少なすぎるんですよ。多分ダイエットをしてるんじゃないですか。
内野:あ〜、大正解です!(笑)なんで分かるんですか?
山本:この年齢だとどれくらい食べなければという基準があるのですが、それに比べて大分低く、64%ぐらい足りない結果が出ました。
内野:危ない…。万年ダイエッターなので…。やっぱり良くないんですね。
鉄崎:でも俺はなんか納得いかんなあ。こんなに健康的に毎晩おいしいお肉を食べて、お酒を飲んでいるのに(笑)。
内野:納得してください(笑)。
山本:今の食生活を続けた場合、今後10年間にがんや脳卒中などの循環器疾患にどれくらいなる確率があるかも分かります。ぜひ、それも参考にしていただきたいです
鉄崎:僕はもう60歳なので、特に気を付けたほうがいいですね。つい誘惑に負けてしまうんですが先生、何かアドバイスはありますか?
山本:せめて運動をするとか?
鉄崎:筋トレぐらいですね。でも、この調査結果は分かりやすくて、生活の指針として役立ちそうです。
市町単位での健康データ分析が明らかにする地域ごとの課題
鉄崎:この調査結果はどのように活用されるのですか?
山本:個人の生活の見直しはもちろん、県内市町ごとのデータを集計し、市町ごとの健康政策に使ってもらうのが本来の目的です。「この市町は食塩摂取量が多い」「野菜が足りない」といった傾向が分かります。
鉄崎:なるほど!市町ごとの食生活の特徴が分かるのは面白いですね。
山本:都道府県ごとの調査は国でも行っていますが、各県100人ぐらい抽出して調査しているので、それでは市町ごとの傾向までは分からないんです。なので今回の調査は市町ごとに集計する全国でも珍しい試みなんです。
鉄崎:静岡県は横に長いじゃないですか。西部と東部で何か違いが出ていますか?
山本:はい、全然違います。元々東部の方に脳卒中や糖尿病が多いのは分かっていました。ただ、それはあくまで結果であって、生活習慣病の背景にある原因があるはずで、恐らく食塩の摂り過ぎや野菜不足ではないかと思われていたのですが、今回の調査で市町ごとに集計した結果、その通りの傾向が証明されました。
社員の健康状態も見える化!企業向け活用で健康経営を支援
鉄崎:この調査は企業でも活用できそうですね。
山本:企業も使えるように工夫しています。申し込みをいただくとグループコードを発行し、企業ごとに集計できるようにしています。もっと言えば内勤と外勤の健康状態の違いも分かります。
鉄崎:営業さんの12月は酒量が増えるとか、そういうのが出るわけだ!
内野:このデータは気になりますね。
山本:データの正確性を保つには、一定以上の回答数が必要です。大勢の皆さんにぜひ受けてほしいと思っています。
鉄崎:我々もやってみて、めちゃくちゃ正確なデータが出るのは間違いないですからね。この調査を受けたい場合、どうすれば良いですか?
山本:動画も出ているので、静岡社会健康医学大学院大学のホームページを見てください。サイトは「静岡SPH 食」か「食と生活習慣チェック」で検索すると出てきます。
企業向けオンラインセミナーを開催
内野:2025年1月10日には企業向けのオンラインセミナーを開くんですよね?
山本:最近は「健康経営」が注目されていますが、実際に何をやればいいのか分からないところが多いと思います。この調査を活用してまずは会社の社員の健康状態を知る。企業向けのセミナーです。
鉄崎:これはいつ開催ですか?
山本:来年(2025年)の1月10日です。企業の方で参加したい方は、「SHIZUOKA Business Compass」のホームページに「データで見える!部署別健康リスクの実態」として情報が掲載されています。
鉄崎:最後にリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
山本:この調査では、皆さんの回答を市町の健康増進施策に使わせてもらいますが、個人情報は取得しませんので、回答者が誰かは分からないようになっています。それは安心していただきたいですし、皆さん自身の健康チェックにもなるので、ぜひ挑戦してみてください。
鉄崎:山本さん、ありがとうございました。
※2024年12月11日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。