今年もキター!太公望わくわく 鵜住居川、甲子川アユ釣り“七夕”解禁 釣果は?
川釣りファン待望の季節が今年もやってきた。釜石市の鵜住居川、甲子川は7日、今季のアユ釣りが解禁された。早朝はあいにくの雨模様となったが、両河川ではこの日を待ちわびた釣り人らが長い竿(さお)を繰り出し、1年ぶりの“引き”を楽しんだ。悪天候ながらまずまずの釣果で、解禁日としては大きめの体長22センチほどのアユも見られた。
鵜住居川では鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員154人)の組合員や遊漁券購入者が早朝から各ポイントに散らばった。午前4時半解禁。釣り人らは水流などを見極めながら狙った場所でおとりアユを泳がせ、糸の動きを目で追いながらアタリを待った。竿を握る手に確かな手応えを感じると、竿先を上げて2匹をたも網に誘導。アユの縄張り特性を利用した「友釣り」の醍醐味(だいごみ)を味わった。
同河川には5月12日に、同漁協によってアユの稚魚400キロ(約4万4700匹)が放流された。それから約2カ月―。釣り上げたアユは20センチ前後にまで成長。昨年の解禁日より釣果は少なめながら、久しぶりの感触を楽しむ釣り人からは笑みがこぼれた。
栗林町の道々橋上流で竿を構えた同町の千葉啓太さん(32)は「解禁日前夜は眠れないぐらい気持ちが高ぶる」と待ちに待った様子。シーズン中は県内各河川へ飛び回るが、「鵜住居川のアユは引きがいい。特に天然(アユ)は強い。これが何とも言えない」と地元の魅力をアピール。「水面から2匹が姿を現す瞬間は最高の喜び」と話す。例年だと解禁日は午前8時ごろまでに10匹はいくが、「今年はまだ一桁」と、その後の釣果に期待した。
一関市の“アユ釣り歴30年”という男性(65)は、長持橋下流で午前9時ごろまでに17~18匹を釣り上げた。「雨でいくらか水温が下がり、(野アユの)追いが悪いようだ」と言いつつ、「型はいい。解禁日でこの大きさは珍しいのでは」とヒットを重ねた。同河川の解禁に足を運ぶのは昨年に続き2回目。「高速(三陸沿岸道路)を降りてすぐという近さがいい。新しい道路ができるまでは来たことがなかった」と、沿岸に足を延ばしたきっかけを明かした。釣った魚は冷凍し、「お盆に息子たちが帰省した時にバーベキューをしながらみんなで食べる」と心待ちにした。
漁協の巡回監視員は解禁と同時にパトロール。組合員証、遊漁券不保持などの違反、危険行為がないかなどを見て回った。梅雨入り後、まとまった雨が降らず、川の水量不足を懸念していた組合員ら。川崎組合長は「解禁日前にもう少し降ってくれていれば」と苦笑い。この日は沿岸南部5河川の解禁が重なったが、「県内陸部からの釣り客の姿も見られ、思ったほどの減少ではない」と一安心。「天然遡上も8月には大きくなる。適度な雨で新しいコケ(アユの餌)も生えてくれれば。9月初旬まで長く楽しめるといい」と期待する。
甲子川でも早朝から釣り人が繰り出した。こちらも朝方は雨に見舞われたが、日中は天候が回復。日も差した。毎年、足を運ぶ地元の愛好者によると、解禁初日としては例年より人出は少なめ。五の橋下流域から甲子町大松まで広範囲に釣り人が散らばった。
河川漁協のない甲子川では入漁料を徴収しないため、春先の稚アユの放流は、資源保全に取り組む甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)に寄せられる協力金や市、流域の企業からの助成金で行われている。今年は大雨による増水の影響で、当初予定より3週間ほど遅い6月7日に250キロ(約3万匹)を放流した。
県立釜石病院裏で釣り糸を垂れた甲子町の男性(49)は午前10時ごろまでに8~10匹を釣り上げた。サイズは大きいもので20センチほどと例年並み。「コケが良ければ成長もいいだろうが、あまり良くないようなので…。数も昨年の解禁日よりは少なめ」とちょっと残念そう。それでも、水質の良い河川で育ったアユ特有の“スイカの香り”は顕在で、「おいしそう」と頬を緩めた。
同協力会の安久津会長は「解禁前に見て回った時は魚影は見えていたので、今年(の解禁)はいいかなと思ったが…。今朝の雨が影響したのかな。早めに切り上げた人もいた。今後に期待です」とシーズン本番を楽しみにした。
甲子地域会議と同協力会は味の良さで定評のある甲子川のアユを多くの人に味わってもらおうと、道の駅釜石仙人峠での2年ぶりとなるお振る舞いイベントを計画中。甲子川で釣ったアユを寄付してくれる方を募集しているという。(広報かまいし7月1日号掲載)