外国人へ向けた防災の取り組みの広がり
30年前の1月17日は阪神淡路大震災が起こり、多くの方が被害に遭われ、そこからの教訓として防災への取り組みも広がりを見せていますが、昨年12月、三重の四日市市では「外国人の方向け」の取り組みが行われました。
詳しく、一般社団法人 グローカルユース 樋口 恵美さんに伺いました。
一般社団法人 グローカルユース 樋口 恵美さん
防災教室を2日間にわたり行いました。 初日の土曜日は主に四日市在住の外国人に向けて、どのように呼び掛けをすれば必要な情報が伝わるかということを勉強しました。
2日目には避難所開設された際に避難所にやってこられた外国人にどのように伝えれば正しく伝わるかということを避難所を運営する側の日本人を含めて勉強をしました。
どこへ逃げたらいいのか、避難所の場所、それから配給される物資のこと、そういったことも全くわかってなかったと思います。
一番心配されるのはやっぱり宗教上の食べ物の問題ですとか、炊き出しなんかに使われる食材の中に宗教上に食べてはいけないものを食べられないものが入ってたりすると、その方たちは食べられないので、そういったことをしてる方もいますね。
・今、四日市には1万2598人の外国人の方が在住しており、その割合が増えてきたことから、防災教室などが行われるようになった。
2日間に渡って行われた防災教室。
・1日目は、災害が起きたときにテレビやラジオやインターネットなどを通じて必要な情報が発信される際、良く目にするであろう単語や四文字熟語だったり、(緊急避難、河川の氾濫など)そういった文言は外国人にはわかりにくいということでやさしくかみ砕いて、やさしい日本語に直して伝えようと言う内容の勉強会。
・2日目は、外国人の方にとって、何が不安なのか、また、どのような日本語で呼びかけると伝わりやすいのか、どう対応するのが正解か、その擦り合わせを行うために避難所を運営する側の日本人スタッフを交えた勉強会も行われた。
また、そうした防災教室でも役立ちそうな、外国人向けの防災学習教材もあります。
開発に携わった、神戸学院大学 社会防災学科 前林清和教授のお話しです。
防災タイムアタック
神戸学院大学 社会防災学科 前林清和教授
この教材はですね、外国人住民を対象としてやさしい日本語で防災についてですね、クイズ形式で学ぶ教材です。
例えばですね、南海トラフ巨大地震はもうすぐ起こると言われてますけどもどうですか?っていうことでこれはもうイエスです。30年以内に70~80%でおきますのでイエスということですね。
南海トラフ巨大地震が起こると30秒ぐらい揺れますっていうのはどっちかというとこれはノーです。大体1分半から2分ぐらい揺れますので、下手したら3分ぐらい揺れますので、これは答えはノーと。
その中で答えた後、簡単な解説をしていくようになってます。大体使われた外国人の方、ほとんど100%皆さんわかりやすかったとかっていう答えはいただいてますね。
・OSAKA 防災タイムアタック やさしい にほんごで BOSAI というもの。
・この教材は、大阪市の外国人住民を対象として作られましたが、大阪市総合生涯学習センターのホームページから誰でもダウンロードでき、内容も汎用性の高いものになっているので、どこでも使える。
・四日市市同様に、英語ではなく、あえて、やさしい「日本語」にこだわっていて、理由を聞いてみると、実際避難する際は、周りに居る人たちと助け合ったり呼び掛け合ったり、助け合いがとても重要で、災害時にその場に英語を話せる人が奇跡的に居るかなんて分からない。その為、周囲とコミュニケーションがとれるよう、やさしくても日本語で教材を作っているとのこと。
・大阪市在住の外国人の方は現在17万人。南海トラフが起きると12万人の死者が想定されている。
大阪だけでなく、南海トラフは千葉から沖縄まで大規模地震と予想されている中で、全国的に取り組みの広がりは必要とのこと。
ただ課題もあります。再び、樋口さんと前林教授のお話しです。
樋口さんと前林教授
財政面に問題がないかあるかといったら、大いにあると思います。もっともっと国や県や市がそういった活動に関しての予算を作っていただいて、そしてそれを民間というかこの地域におろしていただければもっといろいろな活動ができると思います。準備物も事前にできると思います。
南海トラフ30年なんて言ったらみんな30年あるんじゃないか!と変な勘違いをしますけども、30年以内で70から80%ということで10年以内に30%ということは、明日でも起こるということも含めて、もう今、どんどん南海トラフに対する研修を広げていかないといつ来るかわからないという危機感を持って、みんな対処していただければなと思います。
・今すぐ、取り組んでいかなければならない。
特に大規模地震において、地域、民間レベルの取り組みだけでは足りない。
予算も人も、国からもっと支援が必要と両者共通のコメントでした。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:竹内紫麻)