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赤い体色が綺麗な<キンギョハナダイ> 採集家にも人気の魚を漁港で釣る?

サカナト

キンギョハナダイ(提供:たつ)

キンギョハナダイという魚を知っていますか。

水族館やダイビングで見ることができる、名前のごとく金魚のようにヒラヒラした、赤くて綺麗な魚です。

一方、採集マニアの視点からすると、少し特殊な環境で観察ができる魚でもあるのです。

【画像で見る】紳士的な魚<キンギョハナダイ>が求愛に成功した瞬間

雌雄で違う特徴をもつキンギョハナダイ

キンギョハナダイは、日本各地の海で見ることができるスズキ目ハタ科の魚。鮮やかな赤・ピンクの体色で、紫のアイシャドウをもつとても綺麗な魚です。

オスのキンギョハナダイ(提供:たつ)

ハナダイの仲間は似たような種類が多く、色や形が近い魚も多いです。

キンギョハナダイはハナダイの仲間でもよく見られる普通種で、通称は「キンハナ」。ダイバーはもちろん、マリンアクアリストからも人気があります。

性転換を行う魚で、多数のメスの中から大きい個体がオスとして性転換します。ハーレムを作り、群れで生活しています。

メスのキンギョハナダイ(提供:たつ)

飼育の観点から数匹で飼育したり雄雌で見た目の違いを楽しんだりと、魅力がたっぷりな魚でもあります。

オスは赤色をしており、メスはオレンジ、イエロー、ピンク色が綺麗に発色。個体差、成長による変化も観察できるので飼育も楽しいでしょう。

観賞魚としても採集魚としても魅力あり

キンギョハナダイは、その綺麗さから水槽でとても映えるので、観賞魚として人気があります。水族館でよく見かけるほか、アクアリウムショップにもコンスタントに入荷しているようです。

キンギョハナダイ(提供:たつ)

沖の深いところに群れているので採集はなかなか難しく、キンギョハナダイを採集している人は採集家の中でも熟練者が多いです。

「釣り」の視点で見ると……

筆者は日常的に潜水採集をしていますが、キンギョハナダイを採集できたのは過去3回のみ。

ですが、あるきっかけから潜水とは異なる入手方法を見つけました。それが、漁港で釣ることです。

もともと漁港では見られない魚だと思っていましたが、夏のある時、水面にピンクの個体を発見。それ以来、様々な漁港を観察すると、定期的に目視できることがわかりました。

図鑑の記載内容とは異なる様子

ただ、その様子は図鑑に記載されたものとは少し違います。基本的に単独でいるのです。

キンギョハナダイは群れることが有名ですが、漁港で見る時は1匹もしくは2~3匹でいることが多いです。理由はわかりませんが、生まれた際に潮に流されてしまい、本来の仲間たちとはぐれてしまったものと推測します。

漁港で見たキンギョハナダイ(提供:たつ)

そして、1回見つけると、1~2ヶ月は同じ場所にいてくれるので、何回も観察することができます。

キンギョハナダイのような泳ぎが速い魚は、網で採集するのは至難の業。釣りで挑戦した方が“熱い戦い”ができます。

キンギョハナダイを釣る仕掛けはシンプル

筆者は、釣りは初心者ですが、釣れたときの仕掛けと道具を紹介します。

キンギョハナダイは小さな魚のので、仕掛けは小魚向けのものを使用。竿やリールはどのようなものでも、あまり困らないでしょう。

仕掛けはハリ(改良鮎エサ1号、ハリス0.4号糸付)と極小のオモリ、エサは冷凍アミエビでした。非常にシンプルな仕掛けで、釣り方としてはアミエビをハリにつけて垂らすだけで、食いついたら引き上げるだけです。

時期は7~9月で、釣った時間は正午~午後4時。午前中はあまり釣れない気がします。天気は晴れ、満潮に向かっている時間帯でした。

釣れそうで釣れない、見えているけど釣れない

簡単に釣れそうですが、なかなか釣れません。見えているけど、釣れないまどろっこしさ……。1匹を釣るのに半日を要しました。

いちばん厄介なのは、他の魚がたくさん寄ってきてしまうこと。アミエビを垂らすと、その周りにソラスズメダイやオトメベラ、ニシキベラ、メジナ、オヤビッチャ、カゴカキダイ、アイゴ、カサゴなど様々な魚が集まってきます。

これはこれでいろんな魚が見れて楽しいのですが、特にメジナとソラスズメダイはたくさんいるうえ、エサへの食いつきが強く、少し厄介でした。

キンギョハナダイは食いつきが良くないので、この猛攻をかわしながら釣るのはだいぶ根気がいる釣りになります。

エサがあると魚たちが集まるので、キンギョハナダイから数メートルのところ撒きエサをして、他の魚達を向こうにおびきよせてからキンギョハナダイだけをねらう……というのを繰り返すことで、釣ることができました。

いつでも食いつくわけではなく、ある一定の時間に食いつく印象です。狙う時間は正午から午後3時頃の間あたりがいいかもしれません。

簡単な道具で美しい魚が釣れる楽しさ

キンギョハナダイは一般的に釣魚の対象にならない魚ですが、釣りたい魚を狙い、頑張って釣った魚にはとても大きな価値を感じます。採集方法の1つとして、ぜひこの感覚を体験してみてください。

また、本当に釣りたい魚を自分の水槽で泳いでいるシーンを想像しながら釣ったときは達成感があり、心が満たされる感覚になりました。

キンギョハナダイだけでなく、釣りでは同じ仲間のサクラダイゴンベの仲間ハタの仲間など様々な魚の幼魚を採集することができます。竿1本で近くの漁港に足を運んでみるのもいいですよ。

(サカナトライター:たつ)

参考文献

吉野雄輔(2018)、山渓ハンディ図鑑13 日本の海水魚、山と溪谷社、P114

つり具の上州屋 アウトドアワールド東大和店(2021)、知識ゼロからの釣り入門、幻冬舎、P3,P47

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