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着物リメイク「竹姫」~ 着物から生み出す、世界にひとつだけの洋服や小物を作るアパレルブランド

倉敷とことこ

着物リメイク「竹姫」~ 着物から生み出す、世界にひとつだけの洋服や小物を作るアパレルブランド

最後に着物を着た日を覚えていますか?

成人式や結婚式のような人生の節目以外で、着物を日常的に着ている人は少ないと思います。私も着物は「特別なもの」というイメージがあり、着る機会はもちろん、普段目にすることもあまりないように感じています。

美観地区にお店を構える「竹姫」は、岡山初、真備発信の着物ドレスのデザインカット・リメイクを手がけるブランドです。着物から生み出された洋服や小物は、日常にも取り入れやすいお洒落なアイテムばかり。

竹姫の店頭に並ぶリメイク品を見ていると、遠い存在だった着物が身近に感じられます

着物の新たな魅力が知れる「竹姫」を取材してきました。

着物リメイク「竹姫」について

竹姫の店舗入り口

竹姫」はJR倉敷駅から徒歩約10分、美観地区内にあります。

店内は、色とりどりのアイテムがずらりと並んでおり、着物ならではの上品さと華やかさを感じられる空間です。アイテムを手に取ってゆっくりと見ることができます。

店内のようす

私は着物を遠い存在のように感じていましたが、ポーチやエコバッグなど、身近なアイテムに変身した着物を見て「これなら日常使いができそう」だと思いました。

着物生地で作られたポーチ

竹姫では、持ち込んだ着物のリメイクもできます。
「思い入れがあるけど着る機会がない……」という着物も、リメイクすることで気軽に普段使いができるアイテムへと変身します。

また、店内ではリメイク用の生地も販売しているので、お好みの着物生地と作りたいアイテムを選んで、自分だけのリメイク品を注文することも可能です。

竹姫の店舗は2023年8月にオープンしましたが、ブランドのスタートは2011年4月までさかのぼります。

美容室「M2(エムツー)」の外観 画像提供:有限会社エムツー

竹姫の前身となる真備町の美容室「M2」がレンタル用の着物で着物ドレス作りを始めたことをきっかけに、リメイク事業をスタート。平成30年7月豪雨による一時休業もありましたが、地元の人達の応援もあり復活しました。

竹姫の名前の由来は、もともと美容室があった真備町の特産品にちなんだと、着物ドレスにちなんだを組み合わせて、現代のかぐや姫をイメージしたそうです。

着物本来の良さを残す、リメイク品の特徴と魅力

竹姫に並ぶアイテムは、なんとすべてのデザインが一点物
同じ着物から作られたアイテムでも、切り取る位置などで柄が変わるため、世界にひとつだけのアイテムと出会えます。

着物生地で作られたエコバッグ

リメイクされる着物はシルク(絹)で織られていることが多く、シルク特有のなめらかな肌触りや艶(つや)感が残り、どのリメイク品も着物が持つ魅力をそのまま引き継いでいます。着心地の良さを気に入るお客さんも多いそうです。

私も着物アロハシャツを試着させてもらいましたが、想像以上に軽く、華やかな柄のおかげなのか顔もぱっと明るくなりました。和柄と洋服の組み合わせはかなり相性が良いと感じます。

リメイク品のお手入れは、クリーニングに出すほかにも、シルク用の洗剤を使用すれば自宅で洗うこともできるそうです。ただし、色落ちなどの経年変化もあるため、長く着続けるには扱いにひと手間がかかります。

お店のかたは、

「最近は、洗濯機で気兼ねなく洗えるような機能性重視のアイテムが人気なので、着物のお手入れの手間はデメリットだと思っていました。ですが、それを着物本来の良さとして受け取ってくださるお客さんが多くてビックリしています」

と話してくれました。
手間がかかるからこそ大切に扱い、愛着が湧いてくるのかもしれません。

着物リメイクのアイテムを紹介

特に気になったアイテムの一部を紹介します。

着物ドレス・ジャケット

店内に入ってまず目を惹くのが、マネキンが着ている華やかな着物ドレスです。
着物ドレスは、竹姫がリメイク事業を始めるきっかけとなったアイテムでもあります。

着物ドレス

細かな縫製技術や裾の広がりかたなど、見れば見るほどこだわりが詰まっており、そのていねいな職人技に感動します。ドレスの形に合わせて、柄をつなぎ合わせることは非常に難しいそうです。

着物ドレスと合わせて紹介したいのが、着物ジャケット。ジャケットは2枚の女性用着物から作られているため、唯一無二の柄の組み合わせが楽しめます。

着物ジャケット。左は「大島紬(おおしまつむぎ)」で作られている。

通常の着物で作られたジャケット(左)は目を惹くインパクトがあり、奄美大島(あまみおおしま)伝統の着物「大島紬(おおしまつむぎ)」で作られたジャケット(右)は、シックで上品な印象です。

着物ドレスと着物ジャケットでウェディングフォトを撮れば、他の人とはめったにかぶらないような、特別な写真が撮れそうですね。

着物アロハシャツ

お店のかたに「最近人気なんです」と教えてもらったのが、こちらのアロハシャツ。
海外から来られるお客さんにも人気があり、春頃から購入が増えはじめたと言います。

着物アロハシャツ

派手な和柄が、ラフなアロハシャツの形と絶妙に合っており、普段使いしやすいと思いました。羽織ったり、1枚だけで着たりと、さまざまな着こなしができるのでおしゃれの幅が広がるアイテムです。

柄の種類が豊富なので、自分に合ったシャツを探すのが楽しくなります。

豊富な柄のアロハシャツ

名刺入れやポーチなどの小物アイテムも

洋服以外にも、さまざまな小物がリメイクされています。

着物ショルダーバッグは、洋服に合わせやすい形とデザインなのでさまざまな場面で使えそうです。クリアケースで着物生地が守られているので、汚れがつきにくいのもうれしいポイント。

着物ショルダーバッグ

中のポーチは入れ替えることもできるので、その日のファッションに合わせてデザインを変えられます
ポーチ単体でも使いやすいですが、カバンとしても使えることで飽きずに長く楽しめます。

カラフルな着物ポーチ

ネクタイや名刺入れなど、ビジネスシーンでも使えそうなアイテムもありました
ささやかながらもきちんと存在感があり、和ならではの「粋」を感じられます。話のネタにもなりそうです。

着物ネクタイ
着物名刺入れ

普段使いはもちろん、さまざまな場面で使えそうな着物リメイク品が並ぶ竹姫。

観光客のかただけではなく、地元の人も訪れるという着物リメイクのアパレルブランドは、どのように誕生したのでしょうか。
店長の蕨野裕一郎(わらびの ゆういちろう)さんに取材しました。

店長・蕨野裕一郎さんにインタビュー

竹姫の店長・蕨野裕一郎(わらびの ゆういちろう)さん

竹姫の店長・蕨野裕一郎(わらびの ゆういちろう)さんに、竹姫誕生のきっかけと、今後の展望についてお話を聞きました。

「竹姫」は真備町の美容室から生まれた

──着物リメイクはどのようなきっかけで生まれたのですか?

蕨野(敬称略)──

義母が、もともと真備で「M2(エムツー)」という美容室を営んでいて、そこでは成人式やブライダル用の着物のレンタルもおこなっていました。

レンタルや着付けも対応していくなかで、所持している着物の数もかなり増えたのですが、数が増えるとやはり出番の少ない着物も出てきて、着ない着物がもったいないと感じていたんです。

そこで、「着物でドレスを作ったら、着てもらえる機会も増えるかな」と着物ドレスを作りはじめたことから、着物リメイクがスタートしました。最初に作ったのがドレスでしたね。

着物ドレスを作りはじめたのは10年以上前ですが、当時は世間的にもかなり珍しかったと思います。

義母は美容室を営む傍ら、着物ドレスを東京の催事へ出店して「海外にも行かないか」と声を掛けていただいたこともあるようです。しかし、美容室の本業との両立が難しかったので、しばらくは販売店を出さずにレンタルを続けていました。

──最初はレンタルのみだったんですね。真備町は平成30年7月豪雨がありましたが、被害はありましたか?

蕨野──

豪雨災害では、美容室が全部水に浸かってしまいました。着物もドレスもほとんどダメになってしまって、お店自体も復旧できず、営業できなかった期間があります。

ただ、すぐに地元のお客さんたちから「お店を開けてほしい」「早く髪を切ってほしい」という声をもらいました。美容室は長年地元でやってきたお店だったので、お客さんからいろいろな声があったみたいです。おそらく、お客さんも美容室も被災者同士で、話しやすいこともあったんだと思います。

被災した1か月後には玉島の仮店舗で営業再開して、そこから1年半後、真備に新店舗を建てて戻ってきました。

──美容室が復活した後、どのような流れで竹姫の店舗をオープンすることになったのですか?

蕨野──

被災後はレンタルできる着物がほとんどありませんでしたが、お客さんが着物を何着か持ってきてくださったので、頂いた着物でなにかできないか考えていました

当時私はアパレル会社で働いていて、義母に「着物ドレスに合わせるなら、タキシードとして着られる着物ジャケットを作ったら、他のブランドにもないようなカッコいいものが生まれるんじゃないか」と話したことがありました。そこで、お客さんから頂いた着物で着物ジャケットを作ることにしたんです。

店内に並ぶ着物ジャケット

初めて出来上がった着物ジャケットを見たとき、本当にすごくかっこよくて。
これは『借りたい!着たい!と思ってくれる人がきっといる、と思いましたね。

そこから少しずつ私もお店をお手伝いするようになり、義母から「着物リメイク品のお店をオープンするから任せたい」とお話をもらって、勤めていた会社を辞めて竹姫の店長として準備を進めていきました。

ジャケットやエコバッグ、ネクタイ、アロハシャツなど、新たなリメイク品を少しずつ増やし、着物ドレス以外のリメイク品も販売できるようにして、2023年8月に竹姫がオープンしました。

着物リメイク品を手に取ったお客さんの反応

──お客さんから特に反響があるアイテムはなんですか?

蕨野──

お客さんに特に喜ばれるのは、その場で選んでいただいた着物生地で作るリメイク品です。

小物であれば店内で作れるので、お好みの生地でオーダーが可能です。

蕨野さんが製作したスマホケース

たとえば、美観地区を観光する前にお店に寄って注文してもらえたら、観光されている間にアイテムを作れるので、帰られる際に完成品をお渡しするといったこともできますよ。

お土産や旅の記念として、多くのかたに喜んでいただいています。喜ぶ姿を見られると、作った僕までうれしくなりますね。

──着物は重いイメージがありましたが、想像上に軽くて着心地が良いですね

蕨野──

そうなんです、着物は意外と薄くて軽いんですよ。

結婚式や成人式で着る着物は、裏地がついているので厚みも感じられますし、帯が締まるので動きにくい印象を持っているかたも多いんですが、着物自体はたいして重くないんです。試着されて驚くかたも多いですね。

いずれは海外にもリメイク品を届けたい

──お店の今後の展望について教えてください。

蕨野──

まずはアイテムの種類を増やして、着物リメイクでさまざまなコーディネートを楽しめるようにしていきたいです。
あとはブランドの認知度も上げたいので、遠方にお住まいのかたでも着物を持ち込んでリメイクできるような仕組みや、海外に向けたECサイトの制作や出店も検討しています。

いずれは海外の舞台で着物リメイクを出していきたいですね。

最初は日本で着物リメイクを広めていくのがセオリーかもしれませんが、海外から来られたお客さんの反応を見ていても、着物の魅力を新鮮に感じてもらえると実感したので、挑戦してみたいです。

今はジャパンエキスポの出店を目指して、準備を進めています。

──最後に読者へメッセージをお願いします。

蕨野──

竹姫は、リメイク品をとおして着物を気軽に楽しめるようなブランドにしていきたいと思っています。

日々のコーディネートにぜひ着物を取り入れていただきたいですし、思い入れのある着物をリメイクして普段使ってもらえたら良いなと思うので、ぜひ着物リメイクに興味を持っていただけたらうれしいです。

あとは、ブランドや商品だけでなく、スタッフである私たちも好きになってもらえるようなお店にしていきたいと考えています。

家に帰ってリメイク品を手に取ったときに、私たちのことを思い出してもらえる……そのような心に残る接客を提供できたらと思うので、ぜひお店に来てみてくださいね。

おわりに

竹姫に並ぶ着物リメイク品はどれも日常使いがしやすく、「特別な機会に着るもの」「重くて硬い」という着物の概念が吹き飛ぶようなものばかりでした。

他の人とはかぶらない、一点物のデザインというのも愛着が湧くポイントになりそうです。
着物ドレスをはじめ、どのアイテムもこだわりぬいた職人技が光っており、竹姫が生み出す唯一無二の魅力だと感じました。

また、お店のかたもていねいにアイテムを説明してくださるので、会話も含めて買い物の時間が楽しく過ごせると思います。

コーディネートにひとつ取り入れるだけでも、品の良さが格段に上がる着物リメイク。
竹姫のアイテムを通して、着物のおしゃれを身近に楽しんでみてはいかがでしょうか。

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