逆転の発想で採用活動、カヤックが「嘘の会社説明会」を開催 参加者に嘘をついてもらう取り組みも
カヤック(神奈川県鎌倉市)は10月17日、「嘘(うそ)の会社説明会」と題した、2026年卒の就活生を対象にした企業説明会を開催することを発表した。
参加者にも嘘つき体験の場を提供、新しい発想力のある人材創出を目指す
ともにおもしろく働く仲間の採用に力を入れる同社が、不透明な就職活動に疑問を感じている就活生に向けて、説明内容が嘘だらけの説明会を実施する。中途入社希望者を含め、興味のある人は基本的に誰でも参加可能。
同社の沿革や事業内容、業務内容、社員のクリエイターなどを、本社がある鎌倉の街やオフィスを巡りながら紹介する。また、説明会参加者に積極的に嘘を考えてもらう「アイデアフルな嘘つき体験」の場も設ける。
「嘘はアイデアの最初の一歩」 エイプリルフール採用には3000人以上が応募
嘘のネガティブなイメージを採用活動で生かす。ネガティブなイメージを逆転の発想で人気コンテンツに仕立ててきた同社の社員は、9割がプランナーやデザイナー、エンジニアなどクリエイターに従事しており、事業内容に「日本的面白コンテンツ事業」を掲げる。
同社は既成概念にとらわれない発想力・企画力で、世の中におもしろいサービスやコンテンツを提供する「面白法人」ならではの、オリジナルの採用キャンペーンを数多く行ってきた。エイプリルフール限定で嘘の履歴書を受け付ける「エイプリルフール採用」は累計3000人以上の応募があり、1人が入社したという。
今回は「嘘はアイデアの最初の一歩であり、人を楽しませる嘘は世の中におもしろいモノを生み出す可能性を秘めている」という持論のもと開催。同社は「嘘の中に隠された、本当のカヤックの魅力を感じてください」とコメントしている。
説明会は、さまざまなジャンルのマニア・専門家がガイドするツアーなど、SNSで話題のユニークな体験型ツアーを展開する、マニアな合同会社(東京都江戸川区)との共同企画・制作で実施する。11月に計4回、各回25人定員で、応募多数の場合は抽選。
8割の就活生が就職活動に違和感、「建前の嘘」で向き合っているのが実態?
就職支援プログラムを運営する特定非営利活動法人キャリア解放区(東京都豊島区)が9月に行った「Z世代の就職活動に関する意識調査」によると、就活経験者の約3割が「面接やESで嘘や誇張を語る経験をしたことがある」と回答(29.0%)。その中には「他人のエントリーシートの文面をコピペした」と吐露した人も含まれる(9.0%)。
また、「就職活動をしていて変だと感じたり、違和感を持ったりしたことがある」人は8割に達しており、調査では「今の就職活動が、Z世代にフィットしたものとは言い難い」と指摘する。
企業と学生が互いに「建前の嘘」を通して向き合う就活の実態は、就活生が自分をよく見せようと事実を誇張する傾向がある一方で、企業も会社をよく見せるために都合の悪い情報をはぐらかしていると、カヤックは言及。「参加者には本説明会を通して、嘘の中に見えてくる本当のカヤックの魅力を感じていただきたい」とコメントしている。
カヤックは、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)の知的財産の重要性を伝えるユニークなウェブショートドラマを企画・作成。3月に英治出版を子会社化した際は、パーパスを守るためにと1株を残した。
今回の発表の詳細はカヤックの公式リリースにて確認できる。