もったいないから未来をつくる!鶴田町地域活性化支援センター「TSURUTA LABO」オープン!──廃校が活気の源に生まれ変わる
廃校となった旧水元中央小学校が、鶴田町の新たなシンボルへと変貌を遂げた。その名も「TSURUTA LABO(以下、つるラボ)」。地域活性化支援センターとして令和6年11月16日に華々しくオープンした本施設は、「出店チャレンジ、イベント、勉強から居場所づくりまで、さまざまな目的の人がわいわい集まる場所」として注目を集めている。
「もったいないから未来をつくる」を掲げる一般社団法人もったいない研究所が運営を担当。代表理事・岡詩子氏の哲学と鶴田町の想いが融合し、地域と人を結ぶ複合施設が誕生した。その誕生の裏側に迫るべく、岡氏へのインタビューを通して、彼女の情熱、そして未来へのビジョンをお届けする。
鶴田町へのUターンがもたらした新たな挑戦
大学進学とともに上京し、一時は東京で働いていた岡氏が鶴田町へ戻ったのは、「組織で働くことへの苦手意識」がきっかけだった。戻ってきた当時は「もう二度と働くもんか!と思っていた」と笑う岡氏だが、趣味だったリネンストールづくりが彼女の新たな活路を拓くことに。
(一社)もったいない研究所 代表理事 岡 詩子氏
「元々リネンという素材が好きだったのと、普通に洋服を作るとカーブの裁断が発生し無駄になる端切れが出てしまってもったいないので、直線で構成されたデザインで服を作るようになりました。」と語る岡氏。「もったいない」が核となる価値観は、リネンストールブランド「KOMO」の設立から、やがて現在の活動へとつながる一筋の道を形づくった。
「もったいない」という哲学から生まれたつるラボ
「もったいないから未来をつくる」という理念の延長線上にあったのが、旧水元中央小学校の利活用だった。岡氏は5年ほど前から、「廃校になったこの場所を何とかしたい」と町に掛け合っていたそうだ。
廃校となった旧水元中央小学校をそのまま活用
町内の各学校から持ち寄られたスリッパがよい感じ
ピカピカの屋内
「廃校となった旧水元中央小学校を活用して、人と人が偶発的に出会う場所をつくりたい。もっと言うと、何かしたい人を支えてあげる場所にしたい。そして、将来のすごい人を一番最初に支えたのは私だよ、とドヤ顔がしたい笑」という熱い想いがついに形となり、岡氏が代表理事を務める(一社)もったいない研究所が、町からの指定を受け、旧水元中央小学校を鶴田町地域活性化支援センター「TURUTA LABO」として管理・運営することとなった。
ある種、順風満帆に見える岡氏の取り組みだが、何か大きな壁や課題はなかったのだろうか。
「全てが初めてで、何から始めてよいかわからなかった状態でしたが、特に規約づくりが大変でした。そんな私を助けてくれたのが、虹のマートの浜田大豊さん(まるごと青森ブログ「津軽の台所 虹のマート〜「百年市場」を目指す若き挑戦者」参照)。浜田さんは虹のマートの大家さんとして、多数のテナントを管理されているので、規約やルールの大切さや整備の仕方まできめ細やかに教えていただきました。当初、楽観的な性格の私は、誰も悪さなんかしないと考えているところがありましたが、つるラボは町から預かっている大切な施設ですので、気持ちを新たに、規約やルールづくりをしっかりと行いました。」
写真奥:虹のマート運営会社の(株)生き活き市場 専務取締役 浜田 大豊氏(つるラボトークイベントの様子)
つるラボの魅力とDX
つるラボは、誰もが自由に利用できる多目的施設だ。特徴は、「来る人のグラデーションに合わせた空間設計」と岡氏。
・シェアショップで新たなビジネスに挑戦したり、
・イベントスベースでイベントを開いたり、
・コワーキングスペースで仕事や勉強に集中したり、
・フリースペースで自由に過ごしたり。
シェアショップ(校長先生の演台がよい雰囲気)
ゆったりとしたフリースペース イベントにも利用可能
貸オフィス(写真はフォトスタジオとして)
コワーキングスペース
「チャレンジのしやすさが最大のウリです」と語る岡氏。シェアショップは1日3,000円、イベントスペースは1日5,000円と手頃で、起業や活動の第一歩を踏み出すには絶好の場だ。また、スマートロックの導入などデジタル技術を活用し、貸オフィスは24時間利用可能な仕組みも注目ポイント。今後は予約・決済もデジタル化し、地域のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しながら、人間的なつながりを深める施設運営を目指している。「デジタルを活用することでできた時間でお話好きなおばあちゃんとおしゃべりしたいんです。」と、DXの本質を突く言葉を岡氏はこともなげに話す。
地域と未来を結ぶ「つるラボ」の展望
つるラボは「人と人とをつなぎ、地域へ循環させる拠点」として機能することを目指している。例えば、シェアショップや貸オフィスを利用してビジネスを始めた人が、やがて街の空き店舗を活用していく流れを生み出したいという。
「つるラボからどんどん街へ人を送り出していきたい」と語る岡氏の姿からは、鶴田町への愛情と確かなビジョンが垣間見える。
SDGsを体現する取り組みとしての注目
「もったいない」をキーワードに持続可能な未来を描くつるラボ。SDGsの観点からも注目される施設であり、これからの動向に期待が高まる。
岡氏は最後にこう語る。「つるラボはただの貸スペースではなく、人とアイデアが交わる場所です。これからは面白いトークイベントなども定期的に開催していきますので、ぜひ遊びに来てください!」
夕暮れも美しいつるラボ
未来を担う拠点「つるラボ」。ここから地域にどんな変化が生まれるのか──今後も目が離せない。
by くどお