瞳がエメラルド&ゴールドのヒョウ インドで撮影した写真家「母なる自然の驚異」
左右で目の色が異なることを「オッドアイ(虹彩異色症)」と呼び、その色は光の量を調整する“虹彩”のメラニン色素の量で決まる。色素量が少なければ青や緑に、多ければ黄色(銅色)に近づき、先天性の場合は遺伝子の突然変異や色素形成異常などが原因だという。そんなオッドアイを持ったヒョウが最近、インド南部カルナータカ州のバンディプール・トラ保護区で撮影された。印ニュースメディア『Down To Earth』などが伝えた。
インド初か? “オッドアイ”を持つヒョウのズームアップ写真はこちら
今月1日、インド南部カルナータカ州の州都バンガロール出身の野生動物写真家ドゥルヴ・パティルさん(Dhruv Patil、21)が、バンディプール・トラ保護区で“オッドアイ”のヒョウの撮影に成功した。
インドでは6~9月がモンスーン期(雨季)にあたるが、ドゥルヴさんはその日、同保護区でのサファリツアーに参加し、低木の上で体を休める年老いた雌のヒョウを見つけた。ただその時はカメラをズームインすることはせず、15分ほど写真を撮ると次の場所に移動した。
ところが帰宅して画像を確認していると、「拡大したヒョウの目が普通と違う」とすぐに気づいたそうで、その時のことをこのように語っている。
「そのヒョウは左目が淡い緑がかった青色で、右目が目立つ茶色をしていた。初めは『ヒョウの年齢からして、あの淡い目の色は白内障だろう』と考えた。でも友人や森林局スタッフが協力してくれてね。注意深く観察したところ、最も珍しい突然変異の一つ、オッドアイであることが判明したんだ。」
実はドゥルヴさんがカメラに興味を持ち、写真を撮り始めたのは10歳だった11年前で、トラ保護区があるバンディプール国立公園にはここ5年間で50回以上訪れていた。だが、この個体を見るのは初めてだったそうで、「この出会いに触発され、オッドアイについての研究論文を読み始めた。そして『オッドアイがどれほど稀なのか』ということを知ることができたんだ」と明かしていた。
そして今月2日、ドゥルヴさんがInstagramでヒョウの写真を公開すると、「なんてゴージャスな猫なの!」「信じられないくらい美しい目」「素晴らしい」「完璧だ」といった声が寄せられた。またドゥルヴさん自身も、興奮冷めやらぬ様子で次のように綴っている。
「エメラルドの瞳とゴールドの瞳…。これは目の色が異なる非常に珍しい突然変異『虹彩異色症』のヒョウで、バンディプール・トラ保護区で撮影した。インドでの目撃例は初めて…。母なる自然の驚異を目にすることができるのは、本当に素晴らしいことだ。」
なおオッドアイは、病気や怪我などの後天的な理由で発症することもあるそうだが、バンガロールを拠点とする環境保護活動家ジョセフ・フーバー氏(Joseph Hoover)は次のように述べた。
「これは間違いなく珍しい写真だね。ただ犬やウマ、トラなどの動物がオッドアイであることは決して珍しくはなく、オッドアイだからといって動物たちの視力が弱いということもないんだよ。」
ちなみに2020年には、左右の瞳の色が違い、白く神秘的な美しさを持つロシアの11歳少女が話題となった。少女は瞳の色がブルーとブラウンで、全身の色素が欠乏する「アルビノ(先天性色素欠乏症)」が原因だった。
画像は『Dhruv Patil Instagram「An eye of emerald and an eye of gold.」』『Condé Nast Traveller India 「Behind the shot: What it took to photograph a rare leopard in Bandipur」(Dhruv Patil)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)