【魚が旨い!北九州の名店】小倉随一の繁華街で選りすぐりの旬魚と地酒を愉しむ
福岡県内では工業地帯のイメージが強い北九州市だが、実は魚介類の宝庫でもある。北に響灘(日本海)、東に豊前海(瀬戸内海)という性格の異なる漁場に面し、年間を通じて実に様々な魚種が水揚げされている。その台所といわれる旦過市場には獲れたての鮮魚が並び、有名寿司店をはじめとする魚料理の旨さは全国屈指のレベル。そんな北九州の店から、特に魚が旨い名店を紹介したい。
小倉駅から徒歩5分程の距離にある堺町界隈は小倉藩城下町時代から商人の町として栄え、今も小倉屈指の賑わいを見せる繁華街。バーやスナック、クラブといった遊興店が並ぶ中、旬の食材を使った本格的な和食が食べられるのが「あそび割烹 賢太朗」だ。
店内は小上がり4席、カウンター8席のこぢんまりとした空間。カウンター前のネタケースには、獲れたての魚介類や旬の野菜がズラリと並んでいる。どれも店主の柳井望さんが信頼のおける魚屋、八百屋から仕入れたもので、地物をはじめ全国の産地から選りすぐた食材ばかりだ。アラカルトでも注文できるが、内容・コスパともに優れた、おまかせの「賢太朗コース」(8,800円〜)がオススメだ。
先付とともにビールで喉を潤した後、出てきたのは「甘鯛の松笠焼き」(写真右)と「かき揚げ」。前者はこの店の名物でもあり、パリッと焼かれた皮目の食感が堪らない。後者はムカゴ、ギンナン、クリといった秋の味覚のオンパレードで、ビールを早々に飲み干して日本酒にチェンジすることにした。
この日の造りは、天草の本マグロに長崎のクエ、シマアジ、本ガツオ、関門ダコ、珍しい高知産のナガタチカマスといったラインアップ。地元で醸される北九州の地酒「夢天心」と合わせれば、これぞ"口福"といった幸せな気分に包まれる。
秋の味覚の王様といえば、松茸にとどめを刺す。白身のヤガラ、三つ葉とともに蒸した出汁を土瓶からお猪口に注いで一口飲めば鼻腔いっぱいに秋の香りが広がり、これまた日本酒が進んで仕方ないったらありゃしない。
この後もお凌ぎの和え物や今年の初物だった秋刀魚の塩焼き、葛餅、銀シャリ、甘味など懐石をベースにした料理が続き、価格以上に得られる満足感はこの上ない。
ホワイトボードに書かれた日本酒は地元九州・山口を中心に酒どころの東北まで、全国の蔵元から厳選した逸品ぞろい。店主の柳井さんに相談すれば、料理に合わせてオススメしてくれる。
カウンターメインの店内は店主や隣客との距離感も近く、地元民ならずともすぐに打ち解けることができる親近感に溢れている。初めて訪れる一見客でも、小倉の夜を愉しむにはもってこいの一軒だ、
あそび割烹 賢太朗
北九州市小倉北区堺町1丁目5−1
093-551-0314