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自然豊かな仁保で特別な一点モノを 山口市「日ト」

山口さん

山口市の仁保上郷という緑豊かな場所にある「日ト(ひと)」(山口県山口市仁保上郷536-1)。「道の駅 仁保の郷」から車で4分ほどの場所にある、勾配屋根が特徴的なギャラリーです。

【写真はこちら】光と影が作る美しいギャラリー

お店に続く通り道に「OPEN」の柱が立っていたら、営業日です。

木製の引き戸を開けると、大きな窓越しに目に飛び込んでくるのは、四季折々の景色。

その窓から注ぐ光と影によって浮かび上がる日々の道具が、オリジナルな存在感を放ちながら迎えてくれますよ。

日トがデザインしたガラスの器

こちらのギャラリーではそんな作品たちを購入する事ができます。

fresco製の涼器 11,000円

美しい影を織りなす涼器は、「日ト」がデザインし、大阪にあるガラス工房「fresco」が制作したもの。
窓から差す光がガラスの器を照らすと、美しい放射線の影が現れるのが印象的です。

色馴染みの良いガラス素材は、乗せる料理を選ばない為何度でも食卓に並びそう。

fresco製のタンブラー 8,800~10,725円

同じく「fresco」の手によるタンブラーは、「シュリーレン現象」という、氷が液体に溶ける時にガラスの表面に現れる靄(もや)を表現しています。

製作の過程でガラスが固まる前に手作業で跡をつけている為、一つとして同じものはありません。
偶然気泡が入ることもあり、小さなアクセントになっています。こちらも光に照らすと、波紋のような美しい影が現れます。

移ろいを楽しむソフトレザー

「日ト」には木材を使った什器に、緻密さと精巧さが際立つ革製品もありました。

ステッチの精度に作り手の誠実さを感じ、手に取る時は敬意を払いたくなります。

MUMGROUNDの革作品 4,180〜28,600円

菱目打ちというフォークのような道具を使い、革に穴を開け手縫い作業で仕上げます。その為、穴の数やバランスを絶妙に合わせることが出来、息を呑むような美しい仕上がりになっています。

革製品は使い手の肌に寄り添うように変化し、天然素材ならではの温かさや味わいがあります。手作業で作られている為、機械より強度があり、程よいテンションで革に無理をさせない優しさがあります。

今は売り切れていますが、A4サイズのトートバッグは作家の故谷川俊太郎さんも購入されたといいます。ミニサイズ(15,400円)は店頭にあるので、手に取ることができます。

額縁のように料理を魅せるお弁当箱

朝倉家具の三ツ星弁当箱 8,800~8,965円

新潟の「朝倉家具」が手掛ける三ツ星弁当箱は、絶妙なカーブの作りが特徴。
一般的なわっぱ弁当に比べ、楕円形というよりは長方形の角を、丸くカットしたような形になっています。

その為、卵焼きや里芋の煮っ転がしなど、形のしっかりあるおかずが綺麗に収まります。

隙間なく詰められたおかずは、まるでアート作品の様。

蓋を閉めた時のカポッという音と、中から漏れる低い空気の音が小気味よく、「ごちそうさま」の後まで楽しめそうです。

本体は杉、蓋は桐なので、余分な水分を調整し、料理を美味しく保ちます。

デザイナーでもあるオーナーの視点

ギャラリーがオープンしたのは2023年1月。季節によって、例えば冬至と夏至では光の入り方が違う為、ディスプレイを変えるという程、作品の見え方を大切にしているそうです。

オーナーである藤本敦央(あつお)さん(写真右)に、愛すべき作品たちを、どのように選んでいるのか聞いてみました。

「自分はデザイン畑の人間なので、まずは形が美しいもの。そして実際に使ってみて、使いやすいもの、世代を超えて引き継げるものを選んでいます。」

また、「大体の素材は、人間より寿命が長いので、物質的(壊れにくいもの)、精神的(壊したくないと思えるもの)にも長く使えるものを選びたい」と語ってくれました。

長年使うと出てくる傷や日焼け、しみなどを「汚れ」や「劣化」ではなく「経年変化」として、その時々の状態を受け入れる敦央さんの優しさを感じました。作品たちの小さな個体差にも気付き、それを楽しむ豊かな目を持たれています。

購入で悩んだら相談すると、新たな特徴が見つかるかもしれませんよ。

革職人であり、妻でもある香奈さんの物語

前述した「MUMGROUND」を手掛けるのは妻の香奈(かな)さん(上記写真左)。

香奈さんの生まれ育った東京の下町は、革職人が多く、革漉きの工場も沢山あったそうです。
学生の頃は革屋さんへ行き、素材を集め、文化祭で販売するなど、自然と革職人の道へ進んでいました。

有名ブランドの店舗内で展示を始めたのを皮切りに、青山や赤坂へと展示場を移し、多くの人の目に触れるようになりました。
美しいステッチ、革の風合いとアイテムがマッチしているのを見ると、そのバランスは沢山の作品を生み出して来た経験値からだと分かります。

静かな話口調ですが、一心に熱意を持って制作に向かう様子が想像できます。

大きな窓から仁保の景色を眺めて

「日ト」の空間では背筋が伸びるような美しさがありますが、オーナー夫妻との会話に思わず前のめりになる瞬間があります。

店内ではお茶席7席も設けてあり、オーナーが東京で出会った選りすぐりの珈琲も頂けます。

ぜひ珈琲を飲みながら、会話を交わしてみてくださいね。

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