猫の便秘を軽く見てはダメ!猫に多い『巨大結腸症』原因や症状、予防法を解説
猫の「巨大結腸症」とは
「巨大結腸症」は、持続的な結腸の拡張と結腸運動の低下があり、重度の便秘を起こしている状態を指します。便が大腸の一部である結腸にたまり、結腸が拡張して排便が困難になる病気です。
犬に比べ猫では起こりやすい病気と言われています。
原因によっては早期に治療を始められれば改善する場合がありますが、原因が治療困難なものや、便秘を放置して結腸に不可逆的な変化が起こると外科手術が必要になることもあります。
猫の「巨大結腸症」の原因
慢性的な便秘が猫で巨大結腸症を引き起こす原因として考えられていますが、実は原因が不明な「特発性巨大結腸症」の場合もあります。
猫の便秘を引き起こす原因として、以下のものが考えられます。
✔水分の摂取が不足している
✔繊維質の少ない食事
✔直腸や肛門周囲の異常
✔毛玉など異物が腸管にある
✔骨折や腫瘍で便が通りにくくなっている
✔結腸の神経異常
✔慢性腎臓病や糖尿病などで脱水を起こしている
✔内分泌疾患や代謝疾患がある
他にも、薬の副作用や関節の痛み、筋力の低下なども、猫の便秘を引き起こす原因となると考えられているため注意が必要です。
猫の「巨大結腸症」の症状と治療
猫の「巨大結腸症」の主な症状は、便秘です。
猫は毎日排便することが理想的ですが、便秘が悪化すると、食欲低下、血便やトイレに行く回数が増えたり、排便しようとする姿勢を繰り返したりする様子が見られます。
また、嘔吐や体重減少がみられたり、元気がなくなったりする以外にも、怒りっぽくなったり大きな鳴き声をあげたりするのもこの症状とされています。
便秘が悪化してこれらのような症状が愛猫に見られた場合、「巨大結腸症」の疑いがあります。
では、「巨大結腸症」と診断されて治療が必要になった場合、具体的にどのような治療が行われるのでしょうか。
まずはレントゲンで結腸の状態や便の量を確認し、便を柔らかくする薬や消化管の動きを良くする薬を使って便秘の治療を開始します。
レントゲンや超音波検査で、骨折や腫瘍など巨大結腸症の物理的な原因が見つかった場合、治療が可能であればその治療が行われます。
骨折や腫瘍などがない場合でも、血液検査を実施し、便秘の原因となるような持病がないかを確認します。持病がある場合は便秘自体の治療と合わせて、持病の治療も行います。
その他、便の摘出、浣腸、お腹のマッサージを行ったり繊維質の多い食事に変更したりします。
薬による治療の効果がなかったり、腸の機能が低下している場合は、結腸を切り取る手術が行われることもありますが、合併症や再発のリスクが伴います。
猫の「巨大結腸症」の予防法
前述のような治療をしないで済むためには、日々の予防が重要です。
ここからは、愛猫を「巨大結腸症」から守るための予防法について確認しておきましょう。
便秘を予防する
冒頭からお伝えしているように、「巨大結腸症」の主な原因と症状は便秘です。その便秘を予防することが、巨大結腸症の予防に直結します。
猫が毎日排便しない、便が硬い、排便に時間がかかるなど少しでも異常があれば早めに対処しましょう。
具体的には、水飲み場を増やし、ウェットフードを与えるなどして愛猫の水分摂取を促したり、食物繊維が多いフードや乳酸菌サプリを与えたりしましょう。フードやサプリは動物病院で扱っている場合もあるので、獣医師に相談して猫にあった物を選びましょう。
便秘が日常化している場合は、悪化する前に動物病院で薬を処方してもうことも検討してください。
持病をコントロールする
慢性腎臓病や糖尿病の影響で脱水を起こしたり、腸の運動が十分でなくなったりして猫が便秘になってしまう場合があります。
それぞれの猫に合った食事療法や投薬などで、愛猫の病気のコントロールをして便秘を防ぎましょう。
毎日愛猫の観察をする
猫の排便の様子を観察して、便秘に早く気づいて対処することが予防につながります。
関節炎、腎臓病、糖尿病など便秘の原因となる病気の早期発見もできるように、日々愛猫の様子を観察しましょう。
まとめ
今回は、猫に多い「巨大結腸症」について解説しました。
猫の「巨大結腸症」は、排便が困難になる病気で、時に命に関わるほど重症化します。便秘が原因となる場合もあり、便秘を予防することがとても大切です。
そのため、猫の便秘が疑われる症状が見られたら早めに対処しましょう。
(獣医師監修:唐野智美)