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【「第6回熱海未来音楽祭2024」終了 】 「YMO第4の男」、爆裂ロックデュオ、ZABADAK特別ユニット

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアート&カルチャーに関するコラム。今回は10月12~14日に熱海市で行われた「第6回熱海未来音楽祭2024」から。

開催3日目、10月14日に主会場の起雲閣を訪ねた。

和室では、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)にシンセサイザー奏者として参加し、「YMO第4の男」の異名を取る松武秀樹さんが、異色の「シンセ講座」を開いた。1970年代から使っているシンセ「Moog Synthesizer IIIc」を持ち込み、ヤマハのバーチャルアナログシンセで音作りの手ほどきをした。

ムーグの「IIIc」は「タンス」という異名があるだけに、和室がよく似合う。高級な調度品のようなたたずまいだ。松武さんは、現在もレコーディングに使っているという名機を前に、シンセサイザーについて「ゼロから自分が望んでいる音を作る楽しさがある」と語った。高橋幸宏さん、坂本龍一さんが相次いで鬼籍に入ったことに触れ「『YMOがシンセサイザーでやりたかったこと』について、生きている限り僕が受け継いでいきたい」と宣言した。

この日の起雲閣では、音楽サロンで二つのバンドの演奏があった。FU-CHING-GIDOはチャラン・ポ・ランタンでドラムを担当するふーちんさんと、チューバ奏者のギデオン・ジュークスさん。最小単位の「バンド」だが、非常に激しく、熱く、分厚い演奏を披露した。ふーちんさんは、右手と両足でドラムをたたきながら、左手で鍵盤ハーモニカやキーボードを操る。ギデオンさんは、左足の指先で足元の器材を操り、チューバの旋律と同期させる。

スナッピーでシャープなふーちんさんのドラムサウンドは、癖になる心地良さとも言うべきか。チューバを打楽器のように扱う場面があるギデオンさんもしかり。二人とも「こうでなくてはいけない」という縛りがないのだ。アンコールに応えたジミ・ヘンドリックス「ファイアー」は、文字通り火の出るほどの激しい演奏だった。サビの部分は主旋律が吹かれなかったが、確かに「ジミヘン」の歌メロが聞こえた。

中心メンバーの吉良知彦さん亡き後、ギタリスト鬼怒無月さんを加えて再生なったZABADAKは、ボーカリスト小峰公子さんの旧友でもある佐藤正治さんのパーカッションを加えた「ZABADAK + M」として出演。小峰さんのアコーディオン、鬼怒さんのディストーションがかかったギターに、佐藤さんのジャンベを中心にした打楽器ユニットが有機的に絡んでいた。

7拍子のリズムに大陸的な歌声を響かせてスタートしたステージは、アニメ「狼と香辛料」オープニングテーマの「旅の途中」も披露。アンコールでは小峰さんの選曲で福島の民謡を取り上げ、表情豊かなボーカリゼーションで会場を魅了した。(は)

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