ルノワールとセザンヌの印象が変わる!? 「オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」が5月29日~9月7日、『三菱一号館美術館』で開催
印象派・ポスト印象派の巨匠として知られるピエール=オーギュスト・ルノワール(1841~1919)とポール・セザンヌ(1839~1906)。この2人に焦点を当てた展覧会「オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」が2025年5月29日(木)~9月7日(日)、東京都千代田区の『三菱一号館美術館』で開催される。TOP画像=ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》1885-1895年 油彩・カンヴァス 『オランジュリー美術館』(C) GrandPalaisRmn (musée de l’Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF。
肖像画、静物画、戸外制作と章立てて2人の作品を展示
20世紀初頭にも並べて論じられることがあったルノワールとセザンヌ。ルノワールとセザンヌは1874年の第1回印象派展に参加したものの、モネのように筆触分割を推し進めて抽象化していくのではなく、形態(かたち)を保ちながらそれぞれの絵画表現を突き詰めていった。
本展では改めて2人に焦点を当て、20世紀美術を主に扱った画商でコレクターのポール・ギヨームが収集した作品を中心に展覧する。ギヨームは印象派・ポスト印象派の作家の中でもこの2人のみを収集し、そのコレクションは彼が43歳で亡くなったあとも、妻のドメニカと再婚相手の建築家で実業家のジャン・ウォルターが収集の継続によって発展した。ドメニカより一部、変更を施された部分はあったが、今でも『オランジュリー美術館』のコレクションの中核として、多くの人々を魅了し続けている。
またルノワールとセザンヌの作品のみならず、2人に影響を受けたピカソの作品も併せて展示し、後世に与えた影響も浮き彫りにしていく内容となっている。
並べることで浮かび上がる巨匠2人の作品の魅力
ミラノ、マルティニ(スイス)、香港を経て、世界巡回展として日本で唯一開催となる本展。
その大きな見どころとなるのが、パリの『オランジュリー美術館』によるルノワールとセザンヌの2人展だ。『オランジュリー美術館』のコレクションの中でも、特にポール・ギヨームが礎を築いたフランス近代美術の一大コレクションが登場し、「ルノワールとセザンヌ」に初めて焦点を当てる。2人の作品を見比べることができる構成になっている。
また、印象派の殿堂『オルセー美術館』からも作品群が集結。ルノワール《ピアノの前の少女たち》、セザンヌ《画家の息子の肖像》、ピカソ《布をまとう裸婦》らの傑作に加えて、ルノワールとセザンヌによる肖像画、静物画、風景画など、52点の代表的な作品が展示される。モダン・アートへの道を拓いた2人の巨匠に迫るとともに、当時の交流が垣間見られるのも興味深い。
開催概要
「オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」
開催期間:2025年5月29日(木)~9月7日(日)
開催時間:10:00~18:00(祝を除く金・第2水・8月の土、9月1~7日は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし祝の場合と6月30日・7月28日・8月25日・9月1日は開館)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
アクセス:JR東京駅から徒歩5分、地下鉄千代田線二重橋前〈丸の内〉駅から徒歩3分、JR・地下鉄有楽町駅から徒歩6分、地下鉄日比谷駅から徒歩3分、地下鉄丸ノ内線東京駅から徒歩6分
観覧料:一般2500円、大学生1500円、高校生1300円、小・中学生無料
※障害者手帳をお持ちの人は半額、その介護者1名は無料。
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP https://mimt.jp/ex/renoir-cezanne/
取材・文=前田真紀 ※画像提供は主催者
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。