トヨタ東京自動車大学校 地域防災で3者から表彰 地元との長年の連携が評価
館町にある専門学校「トヨタ東京自動車大学校」が、総務省消防庁、東京消防庁、八王子市教育委員会の3者からそれぞれ表彰を受けた。地域と連携した防災活動への長年の貢献が評価された形で、4月24日には、受賞を報告するため学校法人トヨタ整備学園の永田透法人本部長や同校の若林良弘校長らが初宿和夫市長を表敬訪問。喜びと今後の抱負を語った。
受賞したのは、総務省消防庁が主催した「第29回防火まちづくり大賞」の日本防火・防災協会長賞。この賞は、創意工夫に満ちた防災まちづくりを推進した団体に贈られるもので、全国で12団体が受賞した。これは、東京消防庁が主催した「第21回地域の防火防災功労賞」で最優秀賞を受賞したため推薦された形だ。いずれも「学校の特性を活かし、10年間積み上げた地域防災への取り組み」が評価された。
学校特性を生かした貢献
同校はトヨタ自動車(株)直営の専門学校で、昨年創立70周年を迎えた。18歳から20代前半の1000人を超える学生が自動車エンジニアなどを目指し学んでいる。教材としてジャッキや工具、走行のための広い敷地を有していることが特徴で、これらを生かした地域防災への貢献活動を積極的に行ってきた。
若林校長によると、防災活動が活発になったのは2015年頃から。校内多目的広場を緊急時の消防ヘリ離発着場として提供するため、近隣住民の理解を得ようと八王子消防署浅川出張所をはじめとした消防機関と館町町会などの各家庭を回ったことがきっかけとなったという。
その後、同校生徒6人が東京消防庁災害時支援ボランティアに登録。車載ジャッキを使った救助法を指導するため学生が市の防災訓練に参加したり、2019(令和元)年の台風水害時には職員と学生20人が、隣接する浅川地区の土砂排除作業に取り組むなど多岐にわたる活動を行ってきた。
総務省の選定委員は特筆すべき点として「行政の支援も特に受けず、他の事例を特に参考にするでもなく、教職員と地域の良好な関係を保ち続けることで、実行性を伴った防災の取り組みへと最終的に展開したというプロセスそのものにある」とコメントしている。
さらには、地域の防災訓練に学生が参加することで、上級生が下級生を指導する体制を構築。地域防災の中核となる人材育成にもつながっている。このため、子どもたちの健全育成への貢献を評価され八王子市教育委員会表彰を受賞した。
若林校長は「学校と生徒、消防署や町内会など、集まれる仲間の力で頂いたものだと思っている。地域防災には人の顔がよくわかることが大事。受賞は今後の励みになる」と話していた。