県高校総体 カヌー女子 カヤックシングル、同ペアの2種目を制した護城慧香(高田3年) 【大分県】
県高校総体のカヌー女子で、高田の護城慧香(もりき・けいか、3年)がカヤックシングル、同ペアの2種目を制した。高校から競技を始めたが、わずか3年で県を代表するトップパドラーにまで成長した背景には、地道に積み上げてきた努力があった。
護城の強みは、持久力と安定感に裏打ちされたレース後半の伸び。かつて陸上の中距離に打ち込んでいた経験が、今のカヌーにしっかりと根を張っている。「苦しい場面でこそ諦めない気持ち」がベースにある。スタートで遅れを取っても慌てず、フォームを崩さず、最後にしっかりと追い上げる、その冷静さは国際大会でさらに磨かれた。
今年5月に日本で開催された「2025アジアパシフィックスプリントカップ」では、日本代表として500mシングルに出場し、決勝進出を果たした。海外の強豪選手との対戦は、競技観を大きく揺さぶる体験だったという。「とにかく前へ出ることに貪欲だった」と語るように、体格や筋力に勝る選手たちの「ガツガツさ」に触れたことで、自身に足りない要素が浮き彫りになった。同時に、テクニックや丁寧にこぐことでは引けを取っていないという手応えもあった。
2種目を制した護城慧香
護城は昨年の県総体で3位に入り、国スポでは準決勝に進出したことをきっかけに自信を深めた。それまでは常に先輩の背中を追い続けていたが、毎日の練習で「距離が近づいてきた」と感じた瞬間、追い越したいという気持ちが芽生えた。そして、迎えた今年の県総体でついに県内の頂点に立った。
今後は腹筋強化を中心に、さらなるフィジカル強化に取り組むという。全国大会ではまだ納得のいく結果を残せていないが、全国高校総体と国スポでの頂点を見据えた挑戦は、すでに始まっている。「自分のことを知ってくれる人が増えた。それがプレッシャーでもあるけど、誇りにもなっている」。周囲の期待を背に受けながら、護城は自分のペースで、真っすぐに前へと進んでいる。そのひとこぎに、積み重ねてきた努力が込められている。
全国高校総体と国スポで日本一を目指す
(柚野真也)