吉田康雄のザ・チャレンジへらぶな【超浅場で晩春ベラを狙う:第4回】
テーマは「超浅場で晩春ベラを狙う」。千葉県柏市と我孫子市の境にある北部手賀沼南岸の超浅場で数釣りを楽しんでいた吉田に、とある珍客が現れた。その名もへらクルス!
午前は凄まじい釣れっぷり
取材にせよプライベートにしろ手賀沼水系において、過去にこれほど釣れるポイントを記者は知らない。そのくらいエンジンのかかった吉田の釣れっぷりは凄まじいものだった。
カウントしているのはもちろんヘラだけ。それでも正午までで、すでに40枚超。これにマブナや半ベラを加えたら倍近く竿が曲がったはずだ。
吉田康雄
「どうですか、ここ釣れるでしょ」
そのようだね。本当にビックリだよ。でも腹パンとか型物は顔を見せてくれないね。やはりタイミングの問題かな?
吉田康雄
「おそらくは。いい時だと40cmクラスが普通に交じってきて最大では43cmまで釣ってるんですけどね」
その時期は?
吉田康雄
「皆さんもご存じのとおり手賀沼水系の水位が上がり始める春先ですね。このころがもっとも大型の確率が高いのではないでしょうか」
夢の尺半は?
吉田康雄
「まだ釣ったことはないです。いるんでしょうけど、手賀沼水系で尺半はちょっと難しいですね。いつか釣ってみたいですけどね」
古のエサ「へらクルス」
ところが午後に入ると午前中ほどの勢いはなくなり、ポツポツ竿が曲がる程度へと釣況は落ち込む。まあ、それとて通常の同水系にしたら釣れているほうなのだが。
そんなマッタリし始めた午後の部で、吉田がいきなり奇声を発する。
吉田康雄
「何ですかコレ?妙なエサ袋が引っ掛かってきました!」
泥まみれのまま姿を現したのは「へらクルス」と書かれた古いパッケージだった。製造元は小口油肥株式会社。いわゆる現マルキユー株式会社の前身だ。
裏面を見ると「練って使える本格派グルテン餌」とあるので、おそらくはグルテン系のエサなのだろう。定価は¥200。また空袋20枚で正価100の割合で交換とまで表記されていた。
いったいいつの時代のエサなのか?
吉田康雄
「ボクは見たことも聞いたこともありません」
オレもないなぁ。ちょっと聞いてみようか。
即座にある若いマルキユースタッフに問い合わせしてみたが、まったく知らないとのこと。となるともっと古くからいる社員ならびスタッフでないと知る由もないか。
吉田康雄
「それもそうですが、やはりエサ袋って水の中で分解しないんですね。このへらクルス君だっておそらくは何十年もたっているのでしょうから」
60枚キャッチ
そうだね。誰かが捨てて長い間手賀沼に底に埋もれていたものを、たまたま吉田が引っ掛けた。これって何か運命じみたものを感じない?
吉田康雄
「と言いますと?」
ボクを捨てないでねって水の中からはい上がってきた。つまりはこの記事を借りて、いま一度釣り場を汚すなとメッセージを流してくれって言っているんだよ。
吉田康雄
「なるほど。確かにそうかもしれませんね。わかりました。皆さん、釣り場はキレイにしましょうね。自分が出したゴミは必ず持ち帰る。これを徹底しましょう!」
オレも気を付けるよ。
ところで後半戦だが、へらクルス事件以降はさしたる見せ場もなく、尺~尺1寸がポツポツとなってしまった。夕方になればあるいは何かが起きるかと期待したが、それもなく17時前に納竿した。
釣果は吉田が60枚超で記者は20枚ほど。圧倒的な差を付けられてしまったが、考えてみればそれも当然のこと。今さら吉田は釣りがうまいなどと言うつもりはこれっぽっちもないが、視力と反射神経がいいことだけは確かなようだ(笑)。
次回は「出せるのか!?尺半超in河口湖」です。
<週刊へらニュース編集部 関口/TSURINEWS編>
この記事は『週刊へらニュース』2025年5月30日号に掲載された記事を再編集したものになります。