がん患者への支援策、水道水の水質検査など多彩な質疑、四日市市議会一般質問
三重県四日市市議会は9月27日、一般質問があり、がん患者への市の支援策や水道水の水質検査など、幅広い質疑があった。40歳未満の若年がん患者の在宅療養への支援が10月から始まることや、がんによる外見の変化を補う「アピアランスケア」の支援について市が検討に入ることが説明された。
この日は、政友クラブの荻須智之さん、森川慎さん、森康哲さん、フューチャー四日市の伊世利子さん、後藤純子さんの5人が質問に立った。
〇アピアランスケアの支援策は2025年度に検討
がん患者支援は後藤さんが質問。若い患者は介護保険制度などの対象にならず自己負担が大きかったが、市は10月から介護制度に準じた在宅介護サービスや福祉用具貸与などの費用の一部を補助する制度を始めると説明した。40歳未満で、自宅での療養を希望する人を対象に、訪問介護や訪問入浴などのメニューが用意される。
アピアランスケアでは、三重県がウィッグや乳房補正具などの購入費用を助成しており、自治体によっては独自の助成もしている。ただ、県は、現行の助成制度は2025年度までとし、内容を変更することを考えているとされるため、四日市市は県の動向を見つつ、2025年度中に市の支援策について検討するという。
〇水質検査、今回も「必要なし」
荻須さんは6月に引き続き、ネオニコチノイド系の農薬が水道水に影響を及ぼしていないかを調べるべきだと指摘。市側は、国の定める計算方法などで異常な検出はなく、あらたに高額の検出装置を導入する考えもないと回答した。朝明中学校の通学路問題も継続して質問しており、大矢知郵便局前の交差点を通るよりも山分地区の交差点を通る方が安全だと指摘した。市側は、地元自治会を含む地元の意見で決めた通学路で、その後もアンケート調査をするなど意見を聞いていると答弁した。
荻須さんは、昨年10月に導入された電子図書館の利用状況も質問した。市側は、これまでに約96000回の利用があり、紙の本の利用状況に変化がないため、利用の純増とみられること、利用の約8割が1人1台のタブレットを持つ小中学生だったことなどを説明した。
〇予算配分の考え方など問う
森川さんは、適正な契約をめざした公契約条例に労働報酬下限額を明記し、この条例の趣旨を徹底すべきだと指摘した。市側は、全国の自治体でも判断が分かれていると説明、ただちに明記は難しいとした。森川さんは、「10年前と変わらない答弁であり、実行力のある条例にしていくべきだ」と批判した。また、行政の仕事が富の再分配であるならば、足りないところ、必要とされるところに市の考えで思い切って予算を投入するなど、もっと創造的なやり方をすべきだと、予算編成のあり方などを含め検討を求めた。
〇セントレア海上アクセス復活を求める
森さんは、2年で撤退したセントレアへの海上アクセスを復活してはどうかと求めた。直通の高速バスが運休してしまい、港地区のにぎわいなどが研究されている今の状況だからこそ検討できるとした。森智広市長も答弁を求められ、「まずは高速バスの再開を支援したいが、港まちづくり構想の中で検討しないといけない課題だと思っている」などと話した。
伊世さんは、四日市市での新型コロナ対応について質問した。市側は、5類相当になっても、感染拡大の波が起こりえることを想定して事前準備に努めるとした。ワクチンの副反応では23件(うち6件が死亡)を国に申請、ワクチンによるものと認定されたのは12件で、5件は否定されたという。10月から定期予防接種が始まるため、伊世さんは、重症化予防の役割を果たせるよう、個人が選択の判断がしっかりできるようにしてほしいと求めた。伊世さんは、災害時に個々の力では難しい要支援者の避難について、効果的な運用ができるよう検討を求めた。