石破茂首相の退陣と株価の上昇。関連性はあるのか、ないのか
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、9月10日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。石破茂首相が辞任を表明した今週の株価の変動について解説した。
佐藤治彦「石破さんが辞める(首相を辞任する)と言ったら、株価が一時期、ボーンと上がったでしょう? (おととい)4万4000円まで。きのうは少し下がったけど、きょうまた上がって史上最高値の終値になっている」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「378円以上、伸びて、今日の終値が4万3837円67銭」
長野智子「なんでこんなに上がるんですか?」
佐藤「9割がたの報道でどう説明しているか。高市さんや小泉さんのような人が首相になってくれたら、もっと予算を使ってくれるから、それに対して期待して上がったと。さらに詳しく言っているところでも、アメリカのFRBが金利を下げることがほぼ確実になった。アメリカの景気が悪くなるのも確実になってきたので、ビックリするほど金利を下げるかもしれない。その期待があって株価が上がりました、と言う。本当のところは違います」
長野「教えてください」
佐藤「この6、7、8月、株価って上がったり下がったり、漂っているような金額だったんです。少しずつ動いているけど急に上がったり下がったりしない。ジャクソンホールの会議まで、アメリカの雇用統計が出るまで動けないね、日本も石破政権がどうなるかわからないから、と言って動かなかった。そういう流れの株式市場の中で、4万4000円まで、この状況でしばらく上がるわけない、と思っている人がたくさんいた」
鈴木「うん……」
佐藤「そういう人たちが、デリバティブという、金融の派生商品。株を買う権利、コールといいます。買う権利を4万4000円でいっぱい売っていた。どういうことか。4万4000円以上になったら、4万4000円で株を買う権利、という、わかりやすく言うと保険商品みたいなものかな。それを売って保険料をもらっていた人がたくさんいるわけ」
長野「なるほど」
佐藤「なぜなら4万4000円まではいかない、と思っていたから。ところが石破さんが辞めることになって。その前にFRBがこれで金利、下げるよね、となって。月曜日、『買い』が入りました。そうしたら薄い商いの中でヒュルヒュルヒュルと上がって、4万4000円にいってしまうかもしれないな、となって。4万4000円のコールのオプションを売っていた人が、損切りするのと一緒なんです。先物で売りをしていた人たちが、株が上がってくると『上がる前に買い戻しておかなきゃ』となるのと同じようなことが大量に起きて。デリバティブのポジションを持っていた人たちがおびえて、いやいやながら買ったんです」
長野「はい」
佐藤「いやいや買って、そのために上がりました。でもいやいや買っている人たちがいなくなったら、買いたい人がいない。だから4万4000円台になったところで、安いところで株を買っていた人がみんな『売り』を浴びせられたので、1日でヒュッと落ちた」
長野「それがきのうってことか。石破さんの退陣と関係は?」
佐藤「ゼロではないですけど、高市さんや小泉さんや、ほかの人になれば予算を増やしてくれる、といった部分で上がったわけではありません」